大阪と京都を結ぶ京阪電車。そんな京阪は快速特急「洛楽」が最も速い列車で、京橋~七条間の32駅をすっ飛ばし、44kmの道のりをノンストップで走るというすごい列車です。しかし、本数は平日に下り3本、上り2本、土休日は下り5本、上り4本しか走っていないというレアキャラです。 

 一方、特急は快速特急の次に速い列車で、こちらは毎時4本走っています。そのため、大部分の時間帯では特急が一番速い列車であり、特急が何かに追い抜かされるなんてことは普通はあり得ません。

 しかし今日、何気なくダイさんが投稿した下記の動画を観て、この11月に設定された秋の特別ダイヤで、なんと京阪の特急が追い抜かされるというダイヤが組まれていたというではありませんか!

 

 どうしてそんなダイヤが設定されたのか、例によってダイヤグラムで分析してみました。

 

1.ダイヤグラム

※桃:快速特急「洛楽」 赤:特急 紫:快速急行 青:準急 黒:普通 

※ダイヤをきれいに見せるため、あえて発車時刻を1分ほどずらしているところがあります

 

 赤い点線で示しているのが、今回設定された2本の臨時特急を示しています。どちらの列車も三条発中之島行きであり、天満橋からは中之島線へ入ります。そして、いずれも快速特急「洛楽」の3分前に三条を発車しています。

 七条駅をでると、龍谷大前深草で準急を追い抜き、特急らしく走っていきます。が、次の丹波橋で快速特急「洛楽」に追い抜かされてしまいます…びっくりびっくりびっくり 丹波橋には2分ほど停車しますが、そのわずかな間に快速特急の追い抜きは行われます。

 香里園までは先行する普通や準急の後追いとなるため、あまり速く走ることはできません。しかし、萱島で複々線区間に入ると、普通列車を走りながら追い抜くことができるため、定期の特急列車と同様に京橋までかっ飛ばして走っていきます…

 ダイヤグラムは縦軸が距離、横軸が時間を表します。線の傾きが急なほど速く、緩やかなほど遅いです。こうしてみると、丹波橋~香里園間はややゆったり走っていることがお分かりいただけるかと思います。

 

2.背景

 土休日の京阪本線の下り(大阪方面)の特急は、行楽客で常に混雑しています。紅葉が見ごろを迎える11月下旬は、いつにもまして行楽客が多くなるため、臨時特急を設定することとしたのでしょう。

 ダイさんの動画を見ると、車内は比較的空いていたことがうかがえます。これは、ダイさんも仰っていたとおり、快速特急「洛楽」に追い抜かされてしまう列車であること、樟葉~天満橋間は臨時特急のすぐ後ろを定期特急が追いかけていることが要因だったと思われます。車両も3000系や8000系とは違い、ロングシートの一般車両で運行されていたことも影響していたかもしれません。

 それなら特急ではなく、快速急行や急行でもよかった気がしますが、大阪側で定期特急がすぐ後ろに迫ってくるため、定期特急から逃げ切るために臨時特急にしたと考えられます。

 

3.まとめ

 いかがでしたでしょうか。特急は実質的に京阪で最も速い列車であるため、臨時とはいえその特急が追い抜かされるダイヤが設定されたことは衝撃でした。ただ、臨時列車は定期列車の合間を縫って走らなければならないという面もあり、このような珍ダイヤが組まれたのでしょう。

 思えば、新型コロナの影響で観光客が減り、ここのところ臨時列車もあまり設定されていませんでした。観光客の客足が少し戻ってきていることが伺えるのは好材料なので、何とか利用回復が進んでほしいところです。