19日(土)、ローカル路線バスの旅Z第19弾(谷川岳→銀山温泉)が放送されました。ルート検証は「タビリス」を運営する鎌倉先生が詳細まで解説をされているので、こちらをご覧ください。この記事はあくまでも私の感想です。

 

 

 ここでは、放送・座談会およびルート検証記事を見て、思ったことを書こうと思います。放送を見る前、「谷川岳ロープウェイを朝一番に出発、4日間とも平日」という仮定で、私もこのお題にトライしてみましたが、尾花沢でゴール失敗となりました…

 前置きが長くなりましたが、ポイントだと思ったところを見ていきたいと思います。

 

ポイント1 道の駅尾瀬かたしな前

 一行は道の駅尾瀬かたしな前で、尾瀬越えをするか、日光へ抜けるかの選択肢を迫られ、日光方面へ進みました。季節限定の長距離ロングバスにつられた形ではありますが、大清水から一ノ瀬へ向かうバスも登山シーズン限定のシャトルバスなわけで、どちらに乗っても季節限定の手段だったわけです。

 ただ、上毛高原時点で尾瀬越えルートが頭の片隅にあれば、上毛高原での聞き込みも違った形となり、道の駅かたしなであれだけあたふたせずに済んだのでは?と思います。

 尾瀬越えをするとなると、アップダウンのある登山道を通らなくてはいけません。福島県側のバスの情報だけでなく、登山道や宿泊地についての情報を十分に仕入れていないと、尾瀬越えルートを選択できないでしょう。

 しかも、道の駅にいる時点で時間はお昼過ぎだったので、猶更山中、しかも登山道を進むという選択肢はとりづらいでしょう。日光方面へ進んでもゴールはできるわけで、一行が日光ルートを選択したのは妥当な判断だったと思います。

 

ポイント2 尾瀬越えは現実的か

 ネット上での書き込みを見ると、「登山道の7km徒歩は現実的ではない」とのコメントも見られました。もし尾瀬越えを選択するとなると、1日目の一ノ瀬到着は14:15、尾瀬沼のほとりにある尾瀬沼ヒュッテまでは徒歩2時間程度のようなので、1日目は尾瀬沼ヒュッテに宿泊となるでしょう。16時半頃の到着であれば登山的にはぎりぎりセーフかな、というところですね…

 なお、福島県側の沼山峠からのバスの最終は17:00発なので、これには間に合わないでしょう。仮に間に合ったとしても、2日目からの行程は尾瀬沼宿泊の場合と変わりません。

 沼山峠からのバスの始発は8:10。尾瀬沼ヒュッテから沼山峠までは徒歩1時間30分程度、高低差も100mほどと群馬県側ほどきつくはないので、2日目は尾瀬沼出発で十分間に合うでしょう。

 それにしても、テレ東が尾瀬越えルートへ進むことをどれだけ想定していたんでしょうか。まさか、装備もなしに歩かせる気だったわけではないと信じたいです。また、大勢で当日急に山小屋に宿泊できたのかなど、いくつか気になることはありました。

 また、尾瀬越えルートをとると、3日目に白布峠を18km歩かなくてはならないうえに、米沢市内でうまく乗り継がないとゴールできません。会津若松から喜多方方面へ進んだり、米沢市内での乗り継ぎに失敗したら、ほぼ負けが決定します。

 以上を踏まえると、尾瀬越えルートは解の1つではあっても、最適解というにはふさわしくないと思います。

 

ポイント3 いかに早く郡山へ到達できるか

 魔の3日目、磐城石川を出発したメンバーは、順調に郡山まで到達しました。なんの疑問もなく見ていましたが、鎌倉先生によると、もっと早く郡山へ到達できるルート(白河~天栄村~須賀川もしくは磐城石川~上蓬田~郡山)があったようです。

 郡山にもう少し早く着ければ、白石までの18km徒歩を避けることができたというのは驚きでした。私も出演者同様、磐城石川~郡山間は実際ルートのように須賀川経由しかないだろうと決めてかかっていました。

 今回のお題の隠れポイントは、「いかに郡山へ早く到達できるルートを見つけるか」にあったのかもしれません。

 なお本宮~二本松については、かつては大玉村の村営バス路線があり、岳温泉経由で二本松方面へバスで乗り継げたのですが、オンエアでも取り上げられていた通り、今年3月で廃止になってしまいました。この廃止については、路線バスで日本縦断中の西園寺さんも涙を飲んだ区間でした。

 

ポイント4 遠刈田での選択

 最後のポイントは、蔵王越えで山形入りするか、仙台へ行って48ライナーを捕まえるかというところでしょう。結果的に蔵王越えのロングバスの魅力につられて失敗に終わったわけですが、あそこは私でも疑いなく蔵王越えを選んだと思います。

 「過去の経験から仙台を目指そうとすると失敗、蔵王越えルートを見つけられたら成功」という設定も考えられますし、少ない乗り継ぎで一気に山形まで繋がるなら、選びたくなるのも納得です。ただ、もう少し仙台ルートについて細かく検討してもよかったかなとは思いました。お昼ごろに仙台に着けるとわかっていれば、一行は仙台ルートをとったと思われるので。

 

ポイント5 最終日が土曜日

 今回のお題を一段と難しくしたのは、最終日が土曜日だったということでしょう。最終日が土曜日でなければ、3日目に国見に宿泊し、早朝に越河峠を歩いて越えて、朝一番の越河清水発のバスに乗ればゴール可能だったのですが、土曜日は白石市民バスが運行されていません。それに、白石市街までいかないと宿もないため、あの夜遅くから国見役場~越河清水~白石の18kmを歩いて突破するしかない状況となっていました。さすがに不憫に思いました。

 尾瀬ルートから最短経路でゴールへ向かうにせよ、土休日は米沢~長井間でバスが途絶えるため、3日目のうちに長井まで到達しなければなりません。これもかなりの難題です。

 実は、4日目が8月の平日であれば、蔵王越えルートでもゴールが可能でした。そう考えると、田中さんが言っていた通り、「ゴール失敗に納得いかない」というのもうなずけます。

 

〇新潟ルート

 上毛高原駅は新幹線駅であり、尾瀬や猿ヶ京への玄関口です。ここでは、猿ヶ京経由で新潟方面へ進むか、尾瀬・日光方面へ進むかの選択を迫られますが、新潟方面へのルートは峠区間でバスが途絶えると知り、断念します。

 一行は過去に第10弾で、越後湯沢から山形まで行くお題を経験済みということもあってか、上毛高原でのルート選択はさほど問題にはなりませんでした。

 

 

 しかし、鎌倉先生の検証記事を読むと、新潟ルートでもゴール可能と知り、驚きました。その理由は陸羽西線のバス代行区間を利用できるから。そうでした、完全に忘れてました。やはり鎌倉先生はすごいです。

 難易度としては、到達解が複数あり、徒歩もトータル20kmほどで抑えられた点からみても、最難関とまではいえません。しかし、最終日が土曜日だったことが、クリアを難しくした感じはありました。

 

おわりに 羽田・田中コンビについて

 羽田さんと田中さんは、ルイルイ・蛭子さんの後を継いで、これまで19+1回バス旅に挑んでこられました。このコンビに対して、ネット上ではいろんな意見がありますが、長距離の歩きもいとわず、ストイックにゴールを目指す羽田さん、できるだけ歩きたくないと言いながらも頑張ってついていく田中さん。このコンビも面白かったです。

 ただ、残念だった点は2つありました。1つはゴールに猪突猛進するあまり、旅の途中で出会った人との絡みが少なかったということ。もう1つは路線図や地図をもっと見て、「もっといい乗り継ぎはないのか」「もっと早く行く方法はないのか」「自分たちが行きたい場所へ行くには、どこを通っていかなければいけないのか」を考えたうえで聞き込みすれば、よりうまくいったのではないかと思います。

 現に、今回も2日目の磐城石川、4日目の白石で営業所の聞き込みをせず、ルート検討が中途半端だった感がありました。それが失敗につながったように思います。昨今の状況ならある程度は仕方ありませんが、「いざとなったら歩けばいい」という雰囲気が出すぎていたと感じることもあり、そこは少々寂しいときもありました。

 それでも、バス路線網が廃止によって縮小の一途をたどり、長い徒歩を入れないとお題が成立しないような状況の中で、これまで徒歩もいとわず頑張ってこられて、本当にすごかったと思います。5年間、本当にお疲れさまでした。そして、ありがとうございました。

 次はどなたになるかは分かりませんが、企画は続いてほしいと思います。