JRの2022年3月ダイヤ改正の分析、次はJR東海編です。JR東日本管内の分析がまだ途中ですが、後日アップしますので、しばしお待ちください。

 

https://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000041637.pdf

 

1.東海道新幹線(東京~新大阪) ※東京~岡山・広島・福岡方面については、JR西日本ダイヤ改正分析の記事で後日考察の予定です。

 

〇早朝・夜間の「のぞみ」30本(定期13本、臨時17本)が速達化され、東京~新大阪間で最大6分短縮されます。これにより、同区間を2時間24分で結ぶ「のぞみ」が増えます。日中の「のぞみ」は2時間27分~2時間30分かかるので、早朝・夜間の利便性が向上します。

〇名古屋駅での「のぞみ」-「ひかり」、「のぞみ」-「こだま」の接続が図られ、「のぞみ」通過駅からの利便性が向上します。名古屋駅で緩急接続するケースは意外と少ないので、いい改正だと思います。

 

2.在来線

(1)中央本線 普通・快速列車 8両に統一、朝ラッシュ時増発、新型車両投入

名古屋~中津川間の列車は、現在4~10両編成で運行されていますが、これが全列車8両編成に統一されます。また、新型車両315系が投入され、2023年度中に全列車が315系での運行となります。

なお、現行では平日朝ラッシュ時(名古屋着7:29~8:46)は全列車10両編成で運行されており、改正後は8両編成になることで輸送力が減少するため、その補填として、名古屋行き普通列車が3本(高蔵寺発・多治見発・土岐市発各1本)増発されるほか、土岐市発の1本が瑞浪発に延長されます。

 

(2)中央本線 ホームライナーの運行区間・停車駅・本数変更

中央本線のホームライナーは、現在名古屋~多治見・瑞浪・中津川間で運行されますが、全て名古屋~瑞浪間に統一されます。停車駅も名古屋・金山・鶴舞・千種・大曽根・高蔵寺・多治見・土岐市・瑞浪に統一されます。

また、本数が以下の通り変更となります。

朝ラッシュ時名古屋行き上り 現行:多治見発2本、瑞浪発1本     → 改正後:瑞浪発2本

夕夜間時名古屋発下り    現行:瑞浪行き3本、中津川行き2本 → 改正後:瑞浪行き2本

 

朝ラッシュ時は3本から2本に減りますが、瑞浪発の列車は増発となりました。減便はしつつも、通勤客をライナーにより取り込みたいという狙いがあるとみられます。

一方で、夕方・夜間のライナーは、本数が一気に減ることになり、中津川への乗り入れもなくなります。ただし、瑞浪で先行する中津川行きに接続するほか、名古屋発20時台の快速瑞浪行き(おそらく名古屋発20:47の列車)を中津川行きに延長し、減便分を補填します。

 

(3)関西本線 区間快速の停車駅変更

全ての区間快速が、八田・春田に停車します。これにより、区間快速の通過駅は永和・長島の2駅のみとなります。(画像はJR東海プレスリリースから抜粋)

八田・春田はどちらも名古屋市にある駅です。JR東海は各駅の乗車人員を公表していないので詳細は分かりませんが、名古屋駅の近くとあって一定の利用者がいると思われます。朝7・8時台の八田駅・春田駅の改正前後の時刻表が掲載されていたので、現在の時刻表と改正後の予想時刻表を作成してみました☆

なお、改正後の時刻は当方の予想ですので、実際の時刻とは異なる可能性があります。ご注意ください。

区間快速は朝夕を中心に運行されています。関西本線は単線区間もあり、ラッシュ時は特に列車の行き違い待ちが発生します。現行の区間快速でも、蟹江~名古屋間の所要時間が普通と大差ない列車も存在していますが、これは行き違い待ちのために春田や八田で運転停車しているためです。

運転停車のため、区間快速が駅に停車してもドアは開かず、ホームにいる乗客は乗り込むことができません。どうせ停まる必要があるのならと、今回の改正で両駅を区間快速停車駅とし、利便性を高めることとしたのだと考えられます。

関西本線と並行する近鉄名古屋線の近鉄八田駅に停車する本数は、7時台が4本、8時台が5本なので、今回の区間快速停車によって、本数面で近鉄と同程度になります。名古屋市内の利用においても、近鉄からシェアを奪いたいという意図もあると考えられます。

 

(4)東海道線上り・中央本線下り・高山本線下り 深夜帯の列車設定見直し 

昨年はJR・私鉄の多くが最終列車の繰り上げや深夜帯の減便を実施した中、JR東海は実施しませんでした。しかし、今年の改正では、終電繰り上げや減便を実施することとなりました。

 

①東海道本線上り(名古屋から豊橋方面)

名古屋駅の現行・改正後の駅時刻表をもとに、改正後の予想ダイヤを作成しました。改正後の時刻は当方の予想ですので、実際の時刻とは異なる可能性があります。ご注意ください。

名古屋23:16発の快速豊橋行きが、23:28発に変更されます。これにより、名古屋行き上り最終「のぞみ78号」からの乗り継ぎが便利になります。快速系統の23時台の運行間隔が概ね30分前後に均等化されるのも、よいポイントです。

名古屋0:20発の普通大府行きは廃止となります。新幹線の下り最終「ひかり669号」からの接続列車は、23:57発の快速豊橋行きもしくは23:59発の普通岡崎行きなので、新幹線からの接続に支障は出ません。

また、名古屋23:57発の区間快速豊橋行きが快速に格上げされます。これにより、岡崎~豊橋間の快速通過駅の最終列車の時刻が20分以上早まります。ただ、「ひかり669号」からは、豊橋で下り普通岡崎行き(豊橋23:36発)に乗り継げるので、改正後も「ひかり669号」から岡崎~豊橋間の快速通過駅へ引き続き到達可能です。

 

②中央本線

プレスリリースをもとに改正後の時刻表を作成してみました。繰り返しになりますが、改正後の時刻は当方の予想ですので、実際の時刻とは異なる可能性があります。ご注意ください。

名古屋0:05発の快速瑞浪行きが、23:57発の普通瑞浪行きとなります。これに伴い、瑞浪行き最終列車の時刻が3~8分程度繰り上がるほか、名古屋23:57発の普通多治見行きが廃止となります。また、名古屋0:20発の普通高蔵寺行き最終列車は、0:05発と15分繰り上がります。

終電繰り上げや減便はされましすが、、東海道新幹線の最終列車に乗れば、改正後も現行通り瑞浪まで到達可能です。快速を普通に格下げしたことで、減便による利便性低下を最小限に留めているのも特徴です。

 

③関西本線

こちらもプレスリリースをもとに改正後の時刻表を作成してみました。くどいですが、改正後の時刻は当方の予想ですので、実際の時刻とは異なる可能性があります。ご注意ください。

現在では名古屋23:39発四日市行き、最終列車が名古屋23:57発亀山行きとなっていますが、改正後はこの発車順序が入れ替わり、名古屋23:40発亀山行き、最終列車が名古屋23:57発四日市行きとなります。これにより、南四日市~亀山間の下り最終列車が15分程度繰り上がります。

また、今回の改正により、東海道新幹線下り最終「ひかり669号」から亀山行きに乗り継ぐことができなくなり、四日市までしか到達できなくなります。

しかし、「ひかり669号」の3分前に、東京発23:00の臨時「のぞみ71号」が設定されています。この「のぞみ71号」は主に金曜日や日曜日(もしくは連休最終日)に運行されている、比較的運行日が多い臨時列車です。この「のぞみ71号」は名古屋23:34着、東海道新幹線と関西本線の標準乗り換え時間は6分(JTB時刻表掲載)なので、23:40発の亀山行き最終に乗り継ぐことが可能です。

こうしてみると、現行名古屋23:39発のところを、改正後は23:40発に変更しているのは、のぞみ71号からの接続時間を確保するためという見方もできます。たった1分、されど1分ですね。

 

④高山本線

23時台の岐阜発美濃太田行きの発車時刻を繰り上げます(岐阜23:25発→岐阜発23:10発に変更、岐阜23:59発最終列車は23:40発に変更)

最終列車は20分繰り上がることとなりましたが、22時台以降の運転間隔が概ね30分間隔に平準化されるので、利用しやすくなる面もあります。

 

(5)静岡地区 ホームライナーは平日のみの運行へ

静岡地区で土休日に運行されている以下のホームライナーは廃止となります。

<下り>

ホームライナー静岡31号 沼津7:30発 静岡行き  

ホームライナー浜松3号 沼津18:31発 浜松行き

<上り>

ホームライナー沼津2号 静岡7:00発 沼津行き

ホームライナー静岡34号 浜松6:58発 静岡行き

ホームライナー静岡36号 浜松8:29発 静岡行き

ホームライナー沼津8号 静岡20:20発 沼津行き

 

特にホームライナー浜松3号は、特急並みの走りで静岡地区を駆け抜ける上に、浜松から普通列車となってそのまま豊橋に行くので、青春18きっぷ利用者にとっては重宝する列車ですが、平日のみの運転となってしまいます。まぁ、18きっぷシーズン以外はすいているという話も聞くので、致し方ないのかもしれません。

 

(6)各特急に使用されてきた「ワイドビュー」の呼称をとりやめます。まぁ、JR世代の車両になって長い時間が経過しているので、取りやめても差し支えないでしょう。

 

<まとめ>

いかがでしたでしょうか。ついにJR東海でも終電繰り上げや深夜帯の減便を実施しました。しかし、こうして分析すると、東海道新幹線からの接続は確保するという、強い意志というか、矜持を感じます。

東海道新幹線においても、定期列車の減便はなく、需要の変化分は臨時列車で対応し、輸送サービスを守り抜くというJR東海の使命感を感じます。次年度は少しでも旅客が回復することを願うばかりです。