血圧によって寿命は変わらない、減塩も関係がない
人間というのは必ず死にます。死の原因は、肺炎のこともあるし、脳出血のこともある、糖尿病のこともある。
年を取ってくるとだんだん病気がちになって、そして何かの病気がきっかけになって死ぬ。今の世の中には徳川家康も生きていないし、お釈迦様も生きてはおられないわけです。
ですから人間の死ぬ理由としては天寿、つまり昔は老衰と言ったりしたのですが、老衰で死ぬ場合と、まだ老衰はしていないけれど病気や事故で亡くなる場合とがあるのです。
そのときにがんだとかそういうものは明確にそれが死因だとわかりますが、その他のものになると老衰と何かの病気をそれほどはっきりと区別することはできないのです。
ここで何が言いたいのかというと「血圧が低いほうがいい」とか「減塩したほうが血圧は高くならない」といったような、もう日本社会では当然中の当然と思われていることであっても実は大きなトリックがある。その裏にはお金儲け、もしくは善人であっても非常に錯覚しやすい人、そして知識不足の医師……、そういったものが関与しているということを指摘したいのです。
もしも血圧によって寿命は変わらない、減塩も関係がないということになると、味は自分の好みによって加減すればいいし、血圧がどのくらいになったかということもまった< 心配することなく生活することができるようになり、日々の生活は非常に明るくなるでしょう。
『フェイクニュースを見破る 武器としての理系思考』武田邦彦 (ビジネス社刊) R060611
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