ダイオキシン 新型コロナウイルス禍に似た「ダイオキシン問題」 | Cの憂鬱

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ダイオキシン 新型コロナウイルス禍に似た「ダイオキシン問題」 「ダイオキシン」というと、30歳以上の人ならば誰でも聞いたことがあるでしょう。 1995年から2005年あたりまでの約10年間、現在の新型コロナウイルスと同じくらい、テレビをつければダイオキシンという騒ぎ方でした。 科学というのは一般の人からするとその真の内容がわからないために、新聞やテレビが無責任な態度で報じたときには、ものすごく大きな事件にされてしまうことがあります。 ダイオキシン騒ぎというのはまさにその典型で、テレビでは“史上最強の毒物”などといって繰り返し放送されました。中でも多くの時間をさいて放送していたのが、久米宏さんがMCをやられていた「ニュースステーシ ョン」(テレビ朝日系)です。 そこでの報道が善意だったか錯覚だったかはわかりませんが、とにかくダイオキシンが非常に毒であるという報道を連日流していました。そのおかげか「ニュースステーション」の名前が世に知れ渡り、ニュース番組としては断トツの視聴率を稼ぎ、久米さん自身も「ニュースキャスター」として名を馳せることになりました。 この番組では、ダイオキシンの毒性ということを極めて強調した報道がなされて、その結果としてものす ごく多くの人を不安に陥れ、日常生活においても庭の焚火(たきび)が禁止になり、家庭用小型焼却炉の使用も禁止になるという状況が起こりました。 ところが、これが間違いであるということが判明します。2003年から2004年にかけてどんどん報道が縮小されていき、ついに2005年以降はダイオキシンの報道がなくなりました。

この世からダイオキシンがなくなったから、報道も減ったということではありません。 ダイオキシンは自然にも発生しますし、山火事などでも大星に発生します。 実際にダイオキシンの量は、毎日のように 報道をされたときとほぼ同じ量がその後も世界に存在しています。つまりダイオキシンはそのままあるのですが、報道だけがなくなったのです。 そしてダイオキシンの総量は変わっていないのに、ダイオキシン報道がなくなってからは世界的にもダイオキシンによって健康被害を受けた患者というのは出なくなりました。 その以前には、ウクライナの大統領選挙において大統領候補が毒物としてダイオキシンを盛られて障害になっただとか、ベトナム戦争でアメリカ軍が使った枯葉剤に含まれるダイオキシンのせいで奇形の子が生まれたなどと、いろんなことが言われていたのですが、今ではそうしたことはまったく聞かれません。 『フェイクニュースを見破る 武器としての理系思考』武田邦彦 (ビジネス社刊) R060601 P081