刑務官が受刑者を「さん」づけで呼ぶ。 | 刑務所体験記&更生道

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刑務所を出所して半年、刑務所内の現実、出所後の苦難と更生の道を辿るドキュメントブログです。

 

 

 

 

 

刑務官が受刑者をさんづけで呼ぶといったニュースが。

 

刑務官による受刑者への暴言・暴行が根絶されないといったことからだとか。

 

また、受刑者も刑務官をさんづけで呼ぶらしい。

 

これが良いか悪いかなんて議論する気はないが、元受刑者として多少の違和感は感じる。

 

私が刑務所にいた頃は、もちろん刑務官が受刑者をさんづけで呼ぶことなどなく、逆に受刑者が刑務官をさんづけで呼んだら懲罰ものだっただろう。笑。

 

当時は、刑務官は受刑者を呼び捨て、どんな若い刑務官であっても受刑者を呼び捨て。

 

基本、称呼番号で呼ばれることはない。

 

名字をそのまま呼び捨て。

 

私自身、特に違和感もなく過ごしてた。

 

また私が過ごした刑務所は九州だったので、刑務官のことをオヤジと呼んでた。

 

先生と呼ぶ施設もあると聞いたが、先生ではないわなって皆話してた。

 

私自身、何度も言うが、刑務官から暴言・暴行など一切受けたことがない。

 

また私が知る限り、そういったことを受けた者もいなかった。

 

運が良かったのか、それとも知らずに過ごしたのかは分からないが、私が出会った刑務官方々は本当に人情味があり、厳しくもあったが受刑者を想ってくれてた。

 

それを十分感じることもできた。

 

時代の流れで受刑者をさんづけで呼ぶようになったのだろうが、一番大切なことは信頼関係。

 

受刑者は犯罪を犯したのだから厳しい環境におかれて当然、それを管理・監視する刑務官が呼び捨てであろうが多少理不尽なことを言おうがそれでいいと私は思ってた。

 

私自身、社会で理不尽極まりないことをしたが故に刑務所に入っているのだからと。

 

それでも真面目に耐え抜き、反省し、後悔を繰り返し更生に向かおうとしている受刑者に暴言・暴行を行う刑務官はいないと信じたい。

 

私の担当オヤジは常々言ってた。

 

「待ってくれてる人達を日々想え」

 

「お前たち以上に待っている人達は苦しみながら、それでもお前たちの一日も早い帰りを日々耐え抜き待っていてくれてる」

 

「それを想えばお前たちが今何をすべきか分かるはずだ」

 

この言葉が一番心に響いた。

 

そういうことを朝一番、工場で堂々と言ってくれてた。

 

本当っすよ。

 

時には個人的に冗談など交わし、私の地元がこう変わってたぞ、お前出所したら家族を一番に考えろよって言ってくれた。

 

仮釈放本面接が却下された翌朝は一番に諦めるなよ、必ず仮釈放で出れるからと励ましてもくれた。

 

仮釈放が決まった時も、本当に良かった、よう頑張ったなって。

 

私の担当オヤジが良い人だっただけかも知れない。

 

ただ、事実としてそういった尊敬すべき刑務官がいることは伝えたい。

 

私は今も刑務所で出会った刑務官方々に感謝しかない。

 

刑務官も受刑者も同じ人間、刑務官だってイライラすることもあるだろう。

 

担当オヤジが笑いながら言ってた。

 

お前はもうすぐ出れるけど、俺は無期懲役だって。

 

刑務所という閉鎖的な空間で、受刑者と対峙する仕事を何十年と続けること、本当に大変だと思う。

 

受刑者のケアも必要だが、刑務官のケアも大切なのではないかと感じる。

 

さんづけで呼ぶことで少しでも互いが良い関係性を保ち、更生という目的に近づくことを祈ってる。

 

受刑者の皆さん今日もお疲れ様です。

 

刑務官方々、今日もお勤めご苦労様です。

 

待ち人皆さん、今日もお疲れ様です。

 

皆さんにとって明日以降がまた良い日であるよう願ってます☆

 

では素敵な日曜日を^^

 

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