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もしあなたが刑務所に入ることになったら。
入らないに越したことはないが、裁判官から実刑を言い渡されたなら。
持って行くべきものはなにか。
それはお金でも雑誌でも服でも日用品でもない。
一番多く持って行くべきものは。
自分自身の思い出。
その思い出は多ければ多いほどいい。
刑務所に入れば金などほぼ役に立たない。
高価な時計やバッグなど持ち込めない。
刑務所で未来を想像することは辛さを増長するだけ。
未来を想像すれば自身の懲役の長さに心が病む。
そんな時、思い出が自分を救う。
両親に愛された記憶、恋人、家族との思い出、自分が頑張れてた頃の記憶、思い出は多ければ多いほどいい。
刑務所であっても心の中までは支配管理されない。
辛い懲役の中で休日、眠りに落ちる前に思い出の数々を蘇らせ、少しの癒しを得る。
思い出はまた後悔もさせてくれる。
刑務所では誰もが皆後悔する。
後悔の連続、後悔の日々が出所まで続く。
ただそれも必要なこと。
素敵な思い出たちが後悔を与えてくれる。
その後悔が更生に繋がる。
思い出が与えてくれる後悔は少し優しく、自身を立ち直らせる。
季節ごとに思い出される記憶は、時に独居で涙さえ流させてくれる。
まだ自分にも涙なんて流せるのだと気付かせてくれる。
特に両親、恋人、家族との思い出は優しい後悔を与えてくれる。
もう二度と刑務所なんか来るようなことはしないと誓える。
思い出だけで出所までの日々をなんとか乗り越えられる。
どんなに辛くても、どんなに苦しくても、思い出だけは優しく語りかけてくれる。
受刑者にも犯罪を犯さず必死に生きてた頃があり、素敵な思い出もある。
その頃に戻りたいと心から後悔する。
それでいい。
刑務所で一生分の後悔をすればいい。
出所後の未来で後悔しないように。
思い出、これだけは刑務所にたくさん持って行けばいい。
素敵な思い出は自分に優しさ、心の安らぎを与え、自分自身が優しくなれる大切なものだから。
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