勝負は走る前から決まっていた~大阪国際女子マラソン | Yookのブログ

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市民ランナー。フルマラソン2時間44分11秒。ハーフマラソン1時間17分39秒。走るより観る方が好き。スポーツ栄養オタク。実験台は自分と妻(仲間募集中)。

先日開催された大阪国際女子マラソン。

天満屋の前田穂南選手が1時間18分59秒の日本新記録で準優勝しました。

 

今大会はもともと前田選手と松田選手(ダイハツ)、佐藤選手(積水化学)の3つ巴と予想されていました。結果的に日本人1~3位はその3人なのですが、前田選手と松田選手はフィニッシュタイムで4分以上の差がでるほどに力の差がありました。

 

なぜこのようなことになったのか。

それは前田選手がもともと日本記録更新(2時間19分12秒)を念頭において準備をしてきたことにあります。

 

それに対して松田選手は4年前に一山選手(資生堂、当時ワコール)が出した2時間20分26秒を目標に、佐藤選手も2時間21分切りを念頭に準備をしてきたそうです。

 

なんで3人でそんなに目標が違うのかというとパリ五輪3枠目に選ばれるための設定記録が2時間21分41秒だからです。

 

これより速く走れる人自体そこまでいないわけなので、佐藤選手の目標ですら遅いわけではないのです。ちなみにこの4年間で1時間21分より速く走れた選手は松田選手(2022年の大阪国際)と新谷選手(2023年のヒューストン)の2人しかいない時点でその難易度が分かります。

 

そのような20分台、21分台を目標として練習を積んできたにも関わらず、前田選手が日本新を想定した練習をしてきたために、当日のレース展開も日本新を狙うものになったことが、松田選手と佐藤選手にとっては想定外でありキツイものであったと思います。

 

想像してください。ずっとサブ3の練習(1キロ4分15秒)をしてきたのに、レース当日になってサブエガ(1キロ4分)をきるレースをさせられたら肉体的にはもちろん精神的にも辛いでしょう。

 

マラソンや陸上、駅伝では「自分のレースをした人が勝つ、他人のレースに付き合ったら負ける」というのがありますが、今回は前田選手が自分のレースをして、松田選手と佐藤選手は前田選手のレースにつきあった、だから負けてしまったのだと思います。

 

つくづくどういう準備をしてレースに挑まないといけないのかというのを教えてくれたのが今回の大阪国際女子マラソンでした。

 

最後に前田選手の日本新という目標は妥当だったのかということについて。彼女の大会前の自己ベストは松田選手や佐藤選手より遅いものでした。それでもなぜ彼女が2時間19分12秒更新を目指していたのか?無謀ではないのか?

 

答えは「決して無謀ではない」。なぜなら彼女は4年前の青梅マラソン(30km)で野口みずきさんの30km日本記録を更新していたから。彼女にはもともと日本記録を更新できる力があって、今回ようやくその力が戻ってきただけなのでした。4年前のあのMGCでも圧勝した前田選手が戻ってきたというわけです。仮に今回の結果をうけてパリ五輪代表に選ばれて、練習・調整ともに上手くいけばパリ五輪はひょっとしてひょっとするかもしれません。