「正勝吾勝」(まさかつあかつ)は、日本書紀に「正哉吾勝」(まさかあかつ)と出てくる。
これは、「maškakātu」(harrow)を表す借訓表記であって、「鉏」(すき)に繋がっている。
つまり、「šību」[ŠU.GI4](老人)=「白髪」(しらか)や、【SRQA】(櫛、572)を含意する。
#動詞【SRQ】(comb the hair、570)の派生名詞こそが、【SRQA】(櫛、572)や、
#【SRWQ十A】(harrow、1079)である。この基本事項に十分注意して頂きたい。
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此処で、「迩藝速日」の「迩藝」に当たる「lītu」[NÍG.È](勝)は、(※「littu」(勝)の場合あり)
「littu」(old age)に掛かる。ARIONは、「ニギハヤヒ」の幼名は、
「トシ」と言う。当該の「トシ」は、まずもって、「年」(とし)を表そう。
その「年」(とし)は、口頭言語では、いわゆる「年寄」を含意する。
即ち、ARIONが言うところの「トシ」は、「littu」(年)を表し、さらに、
「lītu」[NÍG.È](勝)を表すのである。即ち、「トシ」=「littu」(年)は、
「šību」[ŠU.GI4](老人)を含意し、「鉏」(すき)を含意し、結果的に、
結果的に、「maškakātu」(harrow)を含意する。以上に鑑みるならば、
「正勝吾勝勝速日」の「勝速日」は、間違い無く「迩藝速日」と言える。
要するに、「正勝吾勝」は、幼名の「年」(とし)に由来する別称なのだ。