1人の母の死 やっと家族になれたのに | NPO法人 ゆずりは学園のブログ

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「ママさん、病院に早く会いに来て」

先週の6日の金曜日、電話が入りました。

 

彼が在学中、時々家から追い出されたり、時には友達の家に泊まったり、なかなか家族がうまくいきませんでした。心が上手につながらないのです。互いに尖っていて、自分の素直な気持ちが相手に届かないといった状況が続いていました。高校最後の方で、少しずつ家族になっていきました。でも、母親の病気が発覚。学園に歩いてみえる姿は、本当に辛そうでした。彼が短大に進学、立派に卒業。資格も取って、会社に就職。

 

5日の水曜日、私が授業をしていると彼が学園に来ました。

母親の病気がますます深刻になり、もう自宅では無理だから病院に入院させてきたと言いました。もうこれ以上やることはないと強制退院してからの自宅療養の時間も長かったですね。

 

翌日の6日。今回の電話になりました。

 

急いで彼の職場に向かい、面会許可書を預かります。会社の制服がとても似合います。すぐに、病院に向かいます。9階の病室に行きます。部屋には誰もいません。一人でベッドにいて、息も荒く、あの学園でいつもお話していたお母さんとは本当に別人のように見えました。

「もっと元気なうちに会いたかったです」と涙を流されます。

私も本当に申し訳なく思いました。

病室に長くいるのは、本当に辛く、彼が

「元気に、立派に働いていましたよ」と伝えると、

「ありがとうございました」

それが最後の言葉になりました。

自宅に行くと、お父さんが面会許可書を待っていて、今から病院に行くと言われました。家が改築工事中なのが分かりました。

「きれいな家にもうすぐなるのですが」と言われます。

 

10日、午後3時9分。永眠。

 

「ママさん、母さん、死んじゃった。また学園に遊びに行ってもいいかな」

「本当のお母さんはいなくなったけど、学園のママさんは待っているよ」

やっと新しくきれいになった家で、家族が仲良く過ごせるようになったのですが、叶いませんでした。

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