ディズニー映画語り オオカミは笑う | すきなものしか語れない

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ディズニー映画を自己満で語るつまらないブログを粛々と書いています。一投稿の文章が兎に角長いです。ごめんなさい。


はいどんも。


今日はディズニーの原点である短編映画シリーズ語り。


「ミッキー・マウスシリーズ」「ドナルド・ダックシリーズ」等と並ぶディズニーの代表的な短編作品群である「シリー・シンフォニー」シリーズの登場です。


ディズニーは元々短編カートゥーン主戦場小さな映画制作会社でした。


その中で、キャラクターを中心として展開したミッキードナルドシリーズとは違い、音楽アニメーション精密に融合させた単発作品のシリーズとしてスタートしたのがシリー・シンフォニーです。


ウォルトの友人であった音楽クリエイターのカール・スターリング提案した「アニメーションに合わせた音楽」ではなく「音楽に合わせたアニメーション」という発想から始まった今シリーズは独自の発展を遂げていき、ウォルトディズニースタジオにとって、新しいアイデアや技術・手法等を試す最良の実験の場として機能することになります。


その過程の中で、【初のカラーアニメーション】【マルチプレーンカメラの導入】【ドナルドダックの誕生】等映画界に様々な影響を与えながら多数の名作を生み出していきました。


このシリーズでのディズニーの実験の数々は、やがて初の長編アニメーション映画制作という偉業へ直接結びついていく事になります。


アカデミー賞受賞作品もとても多く、シリー・シンフォニーシリーズとしては実に7本の作品が受賞を成し遂げました。


今回はそんな作品群の中から、あのシリー・シンフォニーシリーズ随一の大ヒットとなったあの作品三番目の続編について語っていきたいと思います。



(※当ブログは基本ネタバレありです。ご了承下さい。)


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  オオカミは笑う

(原題:Three Little Wolves)

1936年

監督

デイヴィッド・ハンド



データ


1936年に公開されたシリー・シンフォニーシリーズ第60作目(諸説により前後あり)となる短編アニメーション映画



古くから伝わるイギリスの民話原作1933年に短編映画化され大ヒットを記録した「三匹の子ぶた」の正式な続編作品であり、同時にイソップ童話でも知られる「狼少年」アレンジして組み合わせた作品でもあります。



監督はディズニーレジェンドデイヴィッド・ハンド。ディズニーのもとで様々な短編作品を作り上げた他、「白雪姫」「ダンボ」「バンビ」の監督を担当した事でも知られています。


ストーリーアーティストはディズニーランド建設の立役者としても知られるレジェンドウィリアム・コットレル、ブランクを挟みながらも1933年のミッキー短編〜2001年のモンスターズ・インクまでという長期間ディズニーに貢献し続けたジョー・グラント

音楽は「白雪姫」「ダンボ」「バンビ」等の錚々たるディズニーミュージックを手掛けたフランク・チャーチル

彼が一作目で作った大ヒット曲「狼なんか怖くない (Who's Afraid of the Big Bad Wolf)」は今作でも使用されています。


ボイスキャストには前二作と同様、、


ピント・コルヴィグ(プラクティカル・ピッグ)

ビリー・ブレッチャー(ビッグ・バッド・ウルフ)

ドロシー・コンプトン(ファイファー・ピッグ)

メアリー・モダー(フィドラー・ピッグ)


となっています。



1933年「三匹の子ぶた」空前の大ヒットはディズニーや関連会社にとって非常に意義のある大きな成功であり、アニメーション業界シリー・シンフォニーシリーズ社会的認知度価値の上昇にも繋がりました。


これを弾みに初の長編アニメーション制作足掛かりとしたいディズニーでしたが、世間配給会社が望んだのは【子ぶたの続編】


「豚で豚を超えることはできない」と、続編化に消極的ウォルトでしたが配給会社押し切られる形で、単なる続編ではなく新たな題材子ぶた組み合わせた「赤ずきんちゃん」1934年に公開します。


それと同様の手法で1936年に公開された三本目の続編がこの「オオカミは笑う」です。


二作目同様に一作目のような大ヒットを生み出すことはできませんでしたが、しかしながらその職人芸の如きクオリティの高さ一定以上の支持を獲得し、特にビッグ・バッド・ウルフは今作から新登場した子オオカミと共にキャラクターとしてより大きな人気を獲得する等、シリーズとしての確固たる立ち位置を獲得するのに一役買いました。


又その後のリバイバル等でも「三匹の子ぶた」抱合せでリリースされる事が多く、もちろん一作目に及びはしないもののシリー・シンフォニーシリーズの中でも上位に入る人気の高さと認知度を誇る作品となっています。



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あらすじ



ある日プラクティカル・ピッグは狼に備えた撃退装置を製作していた。


しかし兄である二人の子豚は相変わらず危機感を全く持たず、同じくプラクティカルが作った狼警報機を使って彼にイタズラをして遊び惚ける。


一方、ビッグ・バッド・ウルフは三人の子供達と共に今度こそ子豚達を捕食する為、とある計画を練っていた…。


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感想





「三匹の子ぶた」シリーズ三作目となった今作。

相変わらずそのアニメーション化け物レベル細やかさと滑らかさです。

本当に当時の短編カートゥーンの域軽く越えています。

この1930年代のディズニーのアニメーションは、沢山の現代の方々にも是非とも観て欲しいんですよね。この時代このレベルのアニメーションを量産していたディズニーって……やっぱり半端ないですよ本当に。



さて、シリーズ三作目の今作もまた、前作「赤ずきんちゃん」同様【三匹の子ぶた】+【全く別の童話】という構成引き継いだスタイルになっています。

今回の題材は【狼少年】

さらに今回は新キャラクターとしてビッグ・バッド・ウルフ三人の子供達が初登場。

お馴染みのヒット曲「狼なんか怖くない (Who's Afraid of the Big Bad Wolf)」の他、オオカミ達の歌う新曲も楽しむことが出来ます。

子供にも分かりやすい教訓テーマをしっかりと表現しながらも流れるような展開に様々な捻りやギャグが盛り込まれた、楽しく学べる隙のないエンターテインメントぶりは健在となっていますね。



個人的には一作目より好きかもしれないです。

完全に子供向けだった一作目に比べて、大人に向けた皮肉や風刺もさり気なく効いたギャグや展開がとても良いですね。

キャラクター作画ディティールもより精度を増してるような気がしました。

最後の狼撃退装置の描写なんかも、ホントに素晴らしかったです。

そして相変わらず兄豚のお二人はなかなかのクズっぷりで….w

子狼達も非常に良いスパイスになっていましたね。

豚の体の部位をどうやって食べようか…みたいなはなかなかインパクトありました。



ただ個人的にやはりこのシリーズ、そしてこの作品の何よりもの収穫は間違いなく、ヴィランであるビッグ・バッド・ウルフの飛躍なんですよね。

このキャラクターはシリーズを重ねるごとにその魅力を増していて、今作では完全に子豚達メインストーリー喰っています。

自分が認識している中では、ここまでキャラクターとして飛躍し人気を獲得したディズニーヴィランはミッキー・マウスの宿敵ピートに次いで二番目じゃないかな…と思うんですよね。

いや、人気の面で言ったらもしかしたら当時ピートより上だったかもしれません。

間違いなく悪役なんだけど、何処か憎みきれない、何故か少し応援したくなってしまうようなこのキャラクター性は、後のフック船長等、ディズニーお得意の「魅力的なヴィラン像の形成」元祖的存在なんじゃないかなと思います。

実際にこの作品も見所は色々あるんですが、何よりものハイライトとして【ウルフの(二作連続での)女装】をあげる人が凄く多いんですよね。

自分もそう思いますw

子狼とのおもしろやりとりも、結果的に彼の魅力をさらに引き立たせる要因になっていた気がしました。

恐いだけではない、キャラクターとしてチャーミングな部分が最もうまく表現できてるのが今作だと思いましたね。



実際にこのビッグ・バッド・ウルフは現在でもキャラクターとして子豚達圧倒的に凌ぐ人気を獲得し続けています。

熱狂的なファンも結構多いんですよね。

「三匹の子ぶた」のこの一連の続編シリーズは、ウォルトは終始あまり気に入っておらず、これがこの後ディズニーが続編に対して消極的になった一つの大きな要因だとも言われています。

ただ、確かに作品として一作目を超えるものは出なかったもしれませんが、このシリーズ化があったからこそ、ビッグ・バッド・ウルフはそれをきっかけにその魅力や人気を増す事に成功したというのもまた事実なんですよね。

そしてこのキャラクターが、後のディズニーの【ヴィラン作り】大きな影響を与えた事もこれまた事実

何がどこに繋がるか、、本当にわからない。

ただ確かなのは、こういう短編作品一つ一つにも情熱と拘りをもって向き合ったクリエイター達が居たからこそ、その後のディズニー大きな発展があった、という事。

このシリー・シンフォニーシリーズを観ていると、本当にそういう事を改めて痛感します。



無駄な作品は1本もないんですよね。



「オオカミは笑う」は現在ディズニープラスで配信中です♪



子供の度は観たことかある方も多いとは思いますが、たかが短編映画と侮らず機会があれば是非大人の視点で、もう一度改めて観てみるのもオススメですね。



もちろん現代のお子様にだってしっかりオススメです!




はい。


というわけで今回はこの辺で!


今回も長文駄文にお付き合い頂きありがとうございました♪


また次回!


しーゆーねくすとたぁいむー。