はいどうも。
今回は【ディズニーの実写映画作品】を一本語っていきます。
個人的な見解なんですが、実写映画に関してはアニメーション映画程「これはこうで、あれはこうで、」と不用意に語れるものでもないと思っているんですよね。
それとやはり基本的にディズニーの最近のアニメーションの実写化押しには正直抵抗があります。
アニメーションに比べて諸々事情や要素が複雑であり、作品単体のみと向き合えない作品が多い気がするんですよね。
ただもちろん中には全てを超越するくらい素晴らしい作品も沢山ありますし、アニメーションではなく実写という手法で表現されるディズニーの世界というのはやはりまた違った広がりや魅力を持っているのも事実です。
という事で今回はそんなディズニー実写作品の中から、異彩な存在感を放ち続けるあの人気作品の約30年ぶりとなったこちらの続編作品について語っていきたいと思います。
(※当ブログは基本ネタバレありです。ご了承下さい。)
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トロン:レガシー
(原題:Tron: Legacy)
2010年
監督
ジョセフ・コシンスキー
データ
史上初のコンピューターアニメーション本格導入映画として1982年に公開されカルト的人気を獲得した「トロン」の28年ぶりとなる正当続編作品。
ウォルト・ディズニー・ピクチャーズと2024年まで同社の社長を務める事になるショーン・ベイリーのプロダクションにて共同制作が行われ、2010年に劇場公開されました。
原案者のスティーブン・リズバーガーが自らディズニーに持ちかけた前作とは違い、オリジナルのカルト的人気の上昇を受けて本作のファンであったショーン・ベイリーが中心となりディズニー側から積極的に制作が進められました。
一作目で拘り続けたコンピューターの中の世界という異色な設定や先進的な表現を、最新鋭のCG技術や視覚効果、さらに3D撮影等を駆使して進化させた作品です。
特にCGI技術により人物を完全に再現するその画期的な手法は多方面から大きな注目を集めました。
前作の主人公フリンとその息子サムを中心に、リアルと同様前作から約28年後の出来事を描いたSFアクションアドベンチャー。
監督を務めたのはジョセフ・コシンスキー。
兼ねてからCG及びCGI技術作品に造詣が深く、ディズニーに指名される形になるで本作にて長編映画の初監督を務める事になりました。
脚本には人気テレビドラマ「LOST」そして「ワンス・アポン・ア・タイム」を手掛けたコンビであるアダム・ホロウィッツとエドワード・キッツィス。
CG演出の制作にはディズニー・ピクサーのクリエイターも参加しています。
音楽は超有名エレクトロニクス音楽デュオのダフト・パンク。電子音楽の第一人者として大衆音楽界に大きな影響を与えました。
主人公であるケヴィン・フリンを演じたのは前作に引き続きアカデミー賞俳優であるジェフ・ブリッジス。
今作のヴィランであるクルー役も彼が演じていますが、厳密には彼の若い頃の容姿をCGIにて再現したキャラクターとなっています。
ケヴィンの息子であるサム役には様々な映画作品で活躍する俳優兼ミュージシャンのギャレット・ヘドランド。
今作のヒロインであるクオラ役を著名女優であるオリヴィア・ワイルドが演じました。
前作の主人公トロン(アラン)役を演じたブルース・ボックスライトナーは今作でもアラン役を務め、さらにフリン同様CGI技術にてトロン役も再び演じています。
他にも前作でディリンジャー等を演じたデヴィッド・ワーナー、音楽を担当したダフト・パンク、前作の監督でありトロンの生みの親、スティーブン・リスバーガー等がゲスト出演しています。
90年代から噂されながらもなかなか実現に至らなかった、ある意味伝説となっているカリスマ作品「トロン」の待望の続編という事で公開前から大きな話題を呼び、ディズニーによるプロモーションも大々的な展開がなされました。
その効果もあり興行収入としては前作を遥かに越える大ヒットを記録する事に成功します。多大な宣伝費をかけたディズニーの期待値は下回ったという事ですが、それでも数字としては4億円を越え、その年のヒット映画上位の作品となりました。
評価としては賛の多い賛否両論といった具合で、主にその映像表現、視覚効果、音楽に称賛が集まりましたが、反面、前作の反省点を活かしドラマ性やキャラクター性・深みを強化したストーリーに関しては難解で散らかっているとの批判も多く上がっています。
特大のブレイクではありませんでしたが、前作同様熱心なファンを多く獲得するカルト的な人気作品となり、今作をきっかけとしてトロンは本格的なシリーズ化が決定。
ディズニーパークでのアトラクション化やテレビアニメーションシリーズも制作され、2025年には新作続編の公開を控えるなど、現在でも長きに渡り愛されるディズニーの人気コンテンツの1つとなっています。
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あらすじ
感想
改善されたストーリー
前作で主な批判点となっていたストーリーの散らかり具合やドラマ性の欠如に関しては、ある程度の改善が見られています。
サムとケヴィンの親子ドラマやクオラやクルー、ズース等のキャラクター描写等もある程度魅力的に描けているし、本筋に関しても前作の要素をうまく取り込み、根底のテーマもしっかり引き継いで拡大していたと思います。
それと賛否あったトロンの扱いですが、個人的にはかなり上手かったと思いますね。
トロンって、そもそもタイトルキャラクターでありながら一作目からして絶対的な主役ではないので、作り手側からしても扱いが難しかったと思いますね。
欲を言えば一シーンくらいしっかり顔を見せて欲しかったですが、最後の最後に自分のプログラムとしての使命を思い出す展開は良かったです。
ただ、全体的には一作目程ではないですが描写不足、フォロー不足は否めないかなとは思います。
デジタルと人間・父と子くらいに絞ったらもっとうまく纏まったと思いますが、そこに宗教的概念やアイソーの下りなんかを盛り込んだ事でちょっとややこしくなっちゃいました。
あと前作からそうでしたけどこのシリーズはちょっと説明台詞が上手くないってのはあるんですよね。
ただトータルとして観ると、SFエンターテイメントとして充分に楽しめる物語になっていたとは思います。
それと主役のケヴィンは飄々としていた前作からだいぶキャラ変わっちゃってるなーと思わせつつ、要所要所に本来の彼らしい台詞とかも盛り込んでいて、そういう細かいところにも愛を感じましたね。
映像技術とデザイン
これはもう説明するよりもまず観てもらった方がよくわかると思いますが、そのクオリティは見事の一言です。
独自のデザイン性や光のラインの演出、フリスビーバトルやライトサイクル等、オリジナルの良さをしっかりと引き継いだ上で現在の技術にうまく置き換えて進化させていて、1982年には不可能だった【トロンの本当にやりたかった事】をしっかりと具現化しています。
そしてもう一つ今作で特筆すべきなのはCGIを駆使したキャラクターの形成です。
今作で登場するヴィランのクルーですが、彼はケヴィンが若い頃に生み出したサイバー上の自分の分身。なのでその容姿は若い頃のケヴィンそのものです。
このキャラクターを全編に渡ってCGIを使って表現しているんです。
つまり彼の体は別役者、顔は全てケヴィン役のジェフの演技を参考として作られたCG映像。
このクオリティがホントに半端ないんですよ。
これは正にある種映画の革命とも言えます。
現在のCGを駆使すれば、もはやどんな年齢のどんな人物でも映画に登場させられるという事です。
実写映画の大きな弱点の1つであった【時間の経過による役者の変化】問題が克服されつつあるという事。
末恐ろしい時代です。
驚きと共に、近い未来もしかしたらホントに【映画に役者が不要となってしまう時代】が来るような気がして、ちょっと恐くもなりましたね。。
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まとめ
個人的にSFをそれほど見ないからかも知れないですが、この作品は1本のエンタメ映画としても続編作品としても普通に楽しく観ることができました。
もちろん不満点も無い訳じゃないですが、最早ある種伝説化していた「トロン」という作品をここまで真っ向から向き合って続編化して、このクオリティを誇示出来たというのは本当に凄いことだと思います。
オリジナルと同様に、制作者側の作品への愛と情熱をひしひしと感じる作品になっていて、やっぱり続編はこうじゃないとなぁ…と改めて思いましたね。
今後のシリーズ化に向けてちゃんと世界や可能性を広げてるのも流石ですし、ストーリーに多少分かりづらい部分もありますが、それを補う程の映像世界とアトラクション体験を堪能できるまさにSFエンターテイメントのお手本のような作品じゃないでしょうか。
その上でオリジナルから引き継いだ【デジタルと人間】という大きなテーマで、このデジタル社会となった現代に一石を投じる役目も充分果たしている、良く出来た1本になっていると思います。
来年予定されている続編公開をはじめ、今後の展開にも期待したいと思います♪