ディズニー映画語り アラジン | すきなものしか語れない

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元ディズニーシー長年単パサー。今はおもにディズニー映画中心に好きなものだけ勝手に語るつまらないブログです。Dヲタだった頃の記事は思い出として残してます。


はぃどぅもぉ。


さて、今回はディズニーアニメーション映画史。時代はついに1990年代、ディズニーアニメーションスタジオの第二黄金期【ディズニー・ルネサンス】と言われている時代の真っ只中。


暗黒期と呼ばれた1980年代の低迷から、起死回生の一本「リトル・マーメイド」と共についにその財政と世間の評価・信頼大きく回復させる事に成功したディズニー。


さらに前作の「美女と野獣」では、そんなリトル・マーメイドを遥かに凌ぐ収益と共に【アニメーション映画史上初のアカデミー作品賞ノミネート】という偉業も成し遂げます。


そして注目が集まった偉業が続く中での次作。

大きな期待とプレッシャーがかかる中公開されたのは、リトル・マーメイドを成功に導いたあの最強コンビが満を持して再びタッグを組んだこの作品でした…。




(※当ブログは基本ネタバレありです。ご了承下さい。)



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  アラジン

(原題:Aladdin)

1992年

監督

ジョン・マスカー

ロン・クレメンツ



データ


ウォルトディズニーアニメーションスタジオ31作目の長編アニメーション。



原作はイスラム世界の説話集である『千夜一夜物語(アラビアンナイト)』

その中の一編「アラジンと魔法のランプ」をもとに、舞台を中国からアラブ系の架空の町【アグラバー】へ変更し、さらにディズニー流の脚色やミュージカルをふんだんに盛り込み制作された一本です。


また、ロジャー・ラビットのアニメーション監督を務めたリチャード・ウィリアムズが長年温めていたアニメーション作品【泥棒と靴屋】から、多大なインスピレーションを受けて制作されています。



この作品は1980年代後半にあのハワード・アッシュマンが企画を発案した事から立ち上がりました。(彼についてはこちらの記事 を参照)。

しかし当初上層部の判断で今作の制作は一度棚上げされます。


その後リトル・マーメイドの監督コンビであるジョン・マスカーロン・クレメンツ等が参加したことで制作は本格化しますが、その後間もなくして発案者のハワード亡き人となってしまっていました。


アラン・メンケンと共に数曲の制作は行えたものの、予定していた「A Whole New World」の制作には間に合わず。後の作詞をティム・ライス引き継ぐ形となっています。



監督は前述通りリトル・マーメイド大成功を収めたジョン・マスカーロン・クレメンツの二人。リトル・マーメイド制作で燃え尽きてしまい「美女と野獣」のオファーを断っていたこの二人が満を持しての復活となりました。


脚本は監督の2人が兼務している他「シュレック」「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズで知られるテッド・エリオットテリー・ロッシオも参加。


ストーリーアーティストとして「リロ・アンド・スティッチ」クリス・サンダース「ライオン・キング」ロジャー・アラーズ「魔法にかけられて」ケヴィン・リマ70年以上のディズニーキャリアを誇り2023年に亡くなったレジェンドバーニー・マティンソン等…美女と野獣に続いて錚々たる顔ぶれが集結。



音楽は前述通りディズニーミュージックレジェンドアラン・メンケン。そしてハワード・アッシュマンとその後任のティム・ライス



主人公のアラジン役は大人気シットコム「フルハウス」のスティーブ役でも知られるスコット・ウェインガー。歌はブラッド・ケイン

日本語版は初版は羽賀研二さん。

後に三木眞一郎さんに差し替え。


プリンセスのジャスミン役には当時新人であったリンダ・ラーキン。歌はレア・サロンガ

彼女は「ムーラン」でも主人公の歌声を提供しています。日本語版は麻生かほ里さん。


上記の主役2人はその後も現在に至るまで様々な媒体や作品で長きに渡り同役を演じ続けています。


ジーニー役にはコメディアンであり当時正に超売れっ子俳優として活躍していた大物ロビン・ウィリアムズ。日本語版は山寺宏一さん。

 

ヴィランのジャファーを演じたのは俳優のジョナサン・フリーマン。彼もまた現在におけるまで様々な作品や媒体でジャファー役を長年演じ続けています。日本語版は宝田明さん。



他にもプーさんの専属声優ジム・カミングスやディズニー作品をはじめ「おさるのジョージ」など様々な動物ボイスをこなす実力者フランク・ウェルカーデール役でも有名なコーリー・バートンなど、、脇を固めるキャスト陣非常に豪華です。



ディズニーが誇る精鋭達によって制作されたこの渾身の一本興行収入で見事「美女と野獣」上回る大ヒットを記録。


「A Whole New World」楽曲賞、そしてアラン・メンケンスコア賞というアカデミー2部門受賞を達成し、アニメーション史上最高興行収入(当時)も達成。


数々のグッズ展開やOVAでの続編展開、TVアニメ化、ゲーム化、パーク進出などなど、、まさに破竹の大ブレイクへ発展します。


日本でも「美女と野獣」以上の数字を記録し、アラジン旋風と言える一大ブームが巻き起こりました。


評価面においても一般評価・批判家レビュー共に圧倒的な高評価となり、演出やアニメーション、音楽…など世界的な大絶賛を獲得します。


特にジーニーのキャラクター力、キャストを務めたロビン・ウィリアムスの名演技は多方面から称賛されました。


この作品をもって「ディズニー第2黄金期」及び「ディズニー・ルネサンス」をまさに揺るぎない物に確定させたと言っても良い、ディズニー映画史においても非常に重要な一本


現在でもその作品キャラクタートップクラスの圧倒的な人気を誇り続けており、公開から30年を越えても尚ディズニー史上押しも押されぬ代表作の一つとして世界中の人々から愛され続けています。



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あらすじ



砂漠の中にある王国アグラバー。

生きる為に盗人をしながら暮らす青年アラジンはある日、自由な暮らしを求めて宮殿を抜け出したプリンセス・ジャスミンと出会う。


しかし王の座を狙う国務大臣ジャファーに騙され、魔法の洞窟へとあるランプをとりに行く事に…


洞窟の奥に納められていたランプ。

そこから現れたのは陽気なランプの精・ジーニーだった。

願い事を3つ叶える力を持った魔人・ジーニーの出現により、ドブネズミだったアラジンの運命は大きく動き出していくことになる…。

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感想




流石ディズニー第2黄金期ピーク時の作品。

アニメーションから音楽演出キャラクターまで隙がなく総合的には驚くほど良く出来ています。


アグラバーの街並み宮殿繊細な描き込とディテールによる対比


全く違う立場の中で同じ「囚われの身」というキーワードに悩む若者二人の邂逅。


がいくつか用意された緩急のついた飽きさせない展開


メッセージ性エンタメ性絶妙なバランス


プリンセスロマンスボーイズアクションアドベンチャー融合させたディズニームービー新機軸確立



…この辺は本当に見事です。


作画は個人的にはリトル・マーメイドの方が好みですが特に背景画アニメーションの滑らかさ、特にジャスミンの表情の豊かさ等は本当にに良く出来ていると思いました。


あとはやはり音楽ミュージカル

ディズニー映画の大ヒット作品にはほぼ必ず大当たりの名曲がセットで存在しているのが大きな特長の一つですよね。


この映画でもそれは例外ではなく、中でもアカデミー賞を獲得した「A Whole New World」はなんとディズニー映画で初めてグラミー賞の最優秀楽曲賞を受賞。さらに全米チャート1位を記録する等、数多あるディズニーソングスの中でもトップクラスの結果と人気を誇る大名曲です。


さらにハワード・アッシュマンが手掛けた「Prince Ali」での見応え抜群のパレードシーン


そして同じくハワードの手掛けた「Friend Like Me」の楽曲とそのシーンは圧巻で、物語的には脱線であるにも関わらず本編を喰ってしまう程の、本当に何度でも見たくなる素晴らしさです。



……といった具合に、まさにディズニーの真髄が詰まった一本と言ってとも過言ではない傑作ではあるのですが……


しかしながら…個人的にはやはり「美女と野獣」「リトル・マーメイド」には及んでいないというのが正直な意見だったりします。



その理由は後ほど……



サブキャラクターの絶妙な存在感



まずは大好きな部分から。

この映画の一番の功績魅力的なサブキャラクター達その新たなスタイルを生み出したことだと個人的には思っていて…。


白雪姫の小人達、そしてピノキオのジミニーから始まったディズニーの名脇役の系譜


その進化系を見せつけ、以降のディズニー作品における新たなスタンダードを作ったのが今作じゃないかなと感じています。


全キャラクター見事に何かしら引っかかるフックが必ずあるんですよね。



愛らしく愛着のわきやすいアブー魔法の絨毯、ジャスミンの父サルタンの憎めない無能さと愛らしさ、ヴィラン側のイヤーゴのそのやかましさ等は逸品です。


そして何よりもやはりあの圧倒的大人気キャラクター誕生


そう。


ランプの魔人【ジーニー】を生み出した事。


これがこの映画の最大の功績だと思います。




ジーニーがここまで魅力的なキャラクターになったのは、これはやはり間違いなくオリジナル声優を務めたロビン・ウィリアムズが最も大きいでしょう。


それと彼の代名詞といえる名曲「フレンド・ライク・ミー」を手掛けたハワード・アッシュマン


制作当初、もともとジーニーはこんなにハイテンションなキャラクターになる予定ではなかったと言います。


しかし、担当声優のロビン・ウィリアムズがアフレコ時にマシンガンのようなハイテンションジョークアドリブで連発し、それに寄せるようにキャラ設定シーンそのものまでも変更されていったと言います。


そして彼が登場時に歌う「フレンド・ライク・ミー」ハワードが散りばめた連発される言葉遊びや歌詞もキャラクターの肉付けに大きく貢献


こうして、現在誰もが知るジーニーのあの陽気なハイテンションキャラクターは生まれました。


盗人の主人公、思い悩む若者二人、ヴィラン・ジャファーの強烈な負のオーラ…

暗くネガティブな要素沢山ある中で、今作がポジティブディズニーらしさを保てたのはこのジーニー愛嬌抜群なキャラクターによるところが非常に大きかったと思います。


そして彼の最も凄いところは、これだけ強烈なキャラクターでありながら、あくまでも映画の中では完璧な脇役に徹している事なんです。


これが本当に凄い

似たポジションのキャラとして王様の剣のマーリンが居ますが、彼との決定的な違いはまさにこの部分なんですよね。




主要人物描写に関する違和感




さて、ここからがマイナスな話題。


この作品が美女と野獣リトル・マーメイドに及ばないと思う個人的な最大の理由は、やはりそのストーリープロットです。



これは色々なところで言われてる事ですが、主人公のアラジンがどうしても作中で言われている「ダイヤの原石」のような青年だと思えないんですよね。


どうしても。



まず盗人という設定の描写の仕方

「生きる為に盗む。仕方ないだろ。」

と彼は主張しますが、貧しくても真っ当に精一杯生きてる人はきっとアグラバーにも沢山いるはずです。

金持ちや国から奪い貧しい人に与える義賊のロビン・フッドとはまた違いますからね。

ロビン・フッドさえ嫌がったウォルト存命だったら…きっとこの企画は通さなかったでしょうね。


「たかがパン一つだろ。」と言いますが盗みは盗みです。商売人が生活の為に売っているものです。


一応盗んだパンをたまたま出くわした貧しい子供に与えるフォローが入っていますが、それでも弱いと思います。


どうしても、少しでも良いからアラジンが盗みを後悔するような描写が欲しかった…。


そしてジーニーの力で王子になった後は、今度は本当のことをジャスミンに言えず、ジーニーを自由にするという約束を反故にしてしまいます。


これに関しても後で「どうかしていた。僕が間違っていた。」フォローは入りますが…

うーん…

どうしてもやはりこの作品のテーマである見た目は汚くても中身はダイヤモンドというフレーズにピッタリのキャラ設定ではない気がします。


友達思いではあるし、子供にも優しい。


確かにそうですが、それだけで盗人であることや嘘つきである事が帳消しになる程…甘くはないですよね…。



そしてプリンセスのジャスミン

アリエルベルをさらにパワーアップさせたような、自分を強く持つ大人の女性として全体的には非常に魅力的に描かれています。


ただ彼女が持つ囚われの身という悩みも、やはり見方を変えると【恵まれた環境に感謝できないご令嬢のありがちなわがまま】とも取れてしまいます。

もちろん恋愛結婚が出来ないのは年頃の女性には大問題であり気の毒ですが、それにしても彼女の言動は少し自己中心的が過ぎる部分も。


自由を求めて城を抜け出したのに、街で金銭トラブルが起きたらすぐ「父に払って貰う…」と発言しちゃうあたり、、やはり甘さが見えてしまいます。



最後のジーニーを見てもわかる通り、この映画のテーマ【何かに囚われた自分を解放して新しい世界に自由に飛び立つ】伝えたいのはわかるのですが、総じるとこの主役二人の悩みに観ている人が共感しきれないのがこの作品の一番の欠点かなと…思います。


但し、この二人のキャラクター魅力がないと言ってるわけでは決してありませんし、アラジンに関しては彼を反面教師にして映画のメッセージを伝えようとしている事もわかります。


本当の願いを叶える為には自分を変えなければいけない…


という物ですね。



ただ、オールオッケーハッピーエンドとなっている今作では、その反面教師によるメッセージもうまく伝えきれているとは言えないんですよね…。途中確かにアラジンは酷い目にはあいますが…。



もう少し描き方が違っていたら…とはどうしても思ってしまいますね。



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まとめ



少々マイナス面が多めになってしまいましたが…

しかしそれでも尚、、


キャラクターの楽しさ、音楽やアニメーションの素晴らしさ、ジーニーを起点とした怒涛のギャグ、アトラクション的なアクションやファンタジー、そしてロマンス…


などなど、ディズニーのエンターテインメント映画として魅力的な部分が沢山詰まっている素敵な作品であることは間違いありません。


そしてミュージカルシーン、特にフレンド・ライク・ミーホール・ニュー・ワールドのシーンは間違いなく映画史に残るまさに圧巻の出来です。


作品そのものではなくシーンに惚れる…

という経験をしたのは、思えばこの作品この2曲人生で初めてだったかもしれません。


自分は元気が出ないとき、この映画のジーニー登場〜フレンド・ライク・ミーシーンのみを何度もリピートするのがルーティンだったころがありますねw



それと、上手くいっていたかどうかは別としても、単純なプリンセスロマンスファンタジーではなく、現実社会にも通ずる人間の弱さや成長を描こうとした事も非常に大きくて、あらゆる面でやはりこれ以降のディズニー作品新たな指標となった重要な一本だと思います。



実写のウィル・スミス版ジーニーも良いですが、やはり個人的にはオリジナルであるこのロビン・ウィリアムスジーニーを推したいですね。


実写版しか見たことがないという方も、子供の頃見たっきり…という方も、是非改めてチェックして頂きたいですし、未見の映画ファンディズニーファンの方がいたら、何卒一度はご鑑賞頂きたい…


そんな、ディズニーが誇る傑作エンターテイメント作品です。





「アラジン」は現在ディズニープラスで配信中です♪




はい。


というわけで今回はこの辺で!


いつも長文駄文にお付き合い頂き本当にありがとうございます。感謝です!



では、また次回!


しーゆーねくすとたぁいむー。


 

 





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