はいどうも。
さてさて、早いもので今年もいよいよクリスマスまでもう間もなくですね。
という事で今回はおときちが史上最も大好きな永遠不滅のNo.1クリスマス作品について語っていきたいと思います。
そしてこの作品は同時に、おときちが最も大好きなミッキーマウス作品の一つでもあるんです。
ミッキーマウスは1928年の短編映画「蒸気船ウィリー」でデビューを飾って以来、実に120本以上の映画に出演、様々な役柄を演じてきました。
今でこそ圧倒的な知名度で名実共にディズニーの顔となっているミッキーですが、実は彼のムービースターとしての道のりは決して順風満帆ではありませんでした。
鮮烈なデビューで一躍人気者になりますが、人気が出すぎた事で、初期のミッキー本来最大の特徴でもあったやんちゃっぷりが発揮できなくなっていき(タバコを吸ったりお酒をのんだり動物をおもちゃにしてひっぱたいたり、初期の彼はわりとやりたい放題でした)、性格がどんどん温厚になるにつれ作品から面白みや新鮮味が失われ、人気は徐々に低迷。
反対にその個性的なキャラで人気の出たドナルドやグーフィー、プルート等に短編映画の主役を譲る形で1953年「ミッキーの魚釣り」を最後に銀幕舞台から姿を消すことになります。
そんなミッキーマウスが実に約30年ぶりにの時を経て再び映画の舞台にカムバックした記念すべき一本。
そしてそれは同時にディズニーが誇る傑作クリスマス・ムービーの誕生ともなったのでした。
(※当ブログは基本ネタバレありです。ご了承下さい。)
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ミッキーのクリスマスキャロル
(原題:Mickey's Christmas Carol)
1983年
監督
バーニー・マティンソン
データ
ミッキーマウスシリーズ124作目(諸説あり)となる30分枠の中編劇場映画。
1983年「ビアンカの大冒険」と同時上映にて劇場公開されました。
1953年の「ミッキーの魚釣り」以来ミッキーが30年ぶりのスクリーンカムバックを果たした作品であり、1980年〜1990年代にかけての所謂【新生ミッキー3部作】の1作目に当たります。
監督は今年他界されるまで、70年以上に渡りディズニーの様々な作品を支え続けてきたバーニー・マッティンソン。
脚本もバーニー・マッティンソンが監督と兼務で手掛けている他スクルージ役のアラン・ヤング等もストーリー構築に参加しています。
音楽はアーウィン・コスタル。シャーマン兄弟と組み「メリー・ポピンズ」をはじめ様々なディズニー映画音楽を作り上げた人物です。
又、アニメーターにはグレン・キーンや先日引退を表明したマーク・ヘン、デール・ベア、さらにはあのジョン・ラセターも参加しているという非常に豪華な布陣。
タイトルの通りチャールズ・ディケンズの名作小説『クリスマス・キャロル』が原作の30分中編映画です。
30分という尺なので凝縮や割愛はありますが基本的には大きな改変はなく原作を踏襲したストーリーとなっています。
強欲な金貸しスクルージがイブの晩に不思議な経験を通してクリスマスの大切な精神を学ぶファンタジー。
その名の通りあの超有名なクリスマスストーリー「クリスマスキャロル」をディズニーキャラクター達が演じたという形がとられています。
【ミッキーの〜】…とタイトルにはついてるものの、この映画でミッキーが演じるのは脇役のボブ・クラチット役。
主役はドナルドの叔父、スクルージ・マグダックが務めました。
他にもミニー、ドナルド、グーフィー、デイジー、ピート、チップとデール、ジミニー・クリケット、さらには「ミッキーと豆の木」から巨人のウィリー「 イカボードとトード氏」からトード、ネズミとモグラ、ミッキーの甥っ子モーティーとフェルディ、ミニーの姪っ子メロディ等々、有名どころからマニアックキャラまでまさにディズニーオールスターズのような豪華な出演者陣が脇を固めます。
主役のスクルージ役にはイギリスの俳優アラン・ヤング。人気シリーズ「ダック・テイルズ」等を中心に長きに渡りスクルージの声を演じました。
日本語版は北村弘一さん。
彼もまた2007年に他界されるまで様々な作品でスクルージを演じきってくれた方でした。
ミッキー演じるボブ・クラチット役には三代目ミッキー声優のウェイン・オルウィン。
今作は彼がミッキーを演じた初めての映画作品となりました。
日本語版は約30年に渡りミッキーを演じた【日本で最も有名なミッキー】青柳隆志さん。
ドナルドダック演じるフレッドを演じたのは初代ドナルド声優のクラレンス・ナッシュ。
彼が最後にドナルドを演じた遺作となりました。日本語版は山寺宏一さん。
グーフィー(ジェイコブ・マーレイ)役では「メイベリー110番」で有名なハル・スミス。
日本語版は【日本で一番有名なグーフィー】島香裕さん。
ジミニー・クリケット役に2代目として30年以上彼の声を担当したエディ・キャロル。
日本語版は「ピノキオ」と同じ肝付兼太さん。
といった具合に豪華なキャスト陣なんですが、今作は特に3代目ミッキー【ウェイン・オルウィン】のデビュー作であり同時に初代ドナルド【クラレンス・ナッシュ】の最後の作品でもある、非常にメモリアルな一本としても有名です。
実に30年ぶりとなるミッキーマウスのスクリーンムービーとなった今作は簡潔ながらも原作のメッセージやテーマをしっかりと残したその構成の逸品さや作画アニメーションのクオリティの高さ、往年のディズニーオールスターの共演が話題を呼びアカデミー賞にもノミネートされる等非常に高い評価を獲得しました。
現在でも日本でこそ知名度は低めですが、家族で楽しめる最高峰のクリスマスムービーの一つとして沢山の人々から愛され続けています。
各キャラクターの共演や意外な演技や役どころが楽しめるという点でファンからも非常に人気の高い一本です。
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あらすじ
とある年のクリスマス・イヴ。
金貸しの会社を営むスクルージは、非効率で非現実的なクリスマスが大嫌いだった。
安い給料でこき使っていた唯一の従業員ボブ・クラチットがクリスマスに半日休みが欲しいと言い出したり、甥っ子のフレッドがクリスマスディナーの誘いに現れたりした事もありそのイライラはつのる一方。
そんな時追い打ちをかけるようにクリスマスの慈善活動で寄付を募る来客が現れ、ついにスクルージのイライラは爆発する。
「自分で稼いだ金を他人にくれてやるなんて、信じられない世の中だ。」と嘆くスクルージ。
その夜。
仕事を終えて帰宅したスクルージのもとに死んだはずのかつての相棒ジェイコブ・マーリーが突然姿を現す。
彼とスクルージはかつてパートナーとして共に貧しい人々から金を奪い取る卑劣な仕事を繰り返していた。
ジェイコブはスクルージに警告する。
「かつての悪行のバツで自分は永遠に重い鎖を背負わされる事になった。お前はそれ以上だ。今夜眼の前に現れる3人の妖精の話を聞き言う通りにしないと、大変な事になるぞ」と。
そんなジェイコブの言葉を信じず鼻で笑い飛ばし眠りにつくスクルージ。
そして、スクルージの身にかつてないクリスマスの奇跡が巻き起ころうとしていた…
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感想
とにかく大好きなんですよね。
「好きな映画は?」と不意に聞かれたら1〜3番目に必ず名前を出すくらい、昔からずっと大好きな映画です。
と同時に、おそらく一番好きな理由を言葉で説明するのが難しい映画でもあります。
「どこがどう好き」とかじゃなくて「ただ好き」なんですよ。
作中で描かれるテーマやメッセージもその伝え方も手描きの温かみ溢れるそのアニメーションも、音楽も、ダークテイストとの絶妙なバランスによる独特な雰囲気も、キャラクターの演技も、全部がどストライクなんです。
まず肝となるストーリーですが、これがまた本当に見事で。
30分という短い時間の中で原作の良いところや大事な部分はしっかりと残しつつ、子供にもわかるように、どんな人が見てもわかるように、ディズニーキャラのエンタメ性をうまく利用しながら説教臭くないギリギリのところでキレイに要点をまとめています。
冗談抜きでこの作品ほど「クリスマスとはいったいどんな日なのか」という事を簡潔に、誰の胸にも響く形で教えてくれる作品を他に知りません。原作や他のクリスマスキャロル関連作品も含めて、、です。
日本人にあまり馴染みのない、宗教とかそういう事でもない【クリスマスの精神とは何か】という事を本当にわかりやすく、楽しく、印象深く刻んでくれる映画です。
書いてて思いましたが、個人的におそらくこの映画を好きな一番の理由は多分ここかな、と思います。
どういう日かは全くわからないけど、とりあえずクリスマスはクリスマス。
としか思ってなかった自分にクリスマスの精神的な意味を教えてくれたのは間違いなくこの映画でした。
そして作画と演出。
この作り込みも半端ないです。
ディズニーきっての名アニメーターが揃い踏みしてるので作画はどこを切り取っても見事。
動きも構図もデザインも、正に職人芸です。
そこに手描き独特の味わい深さが加わって唯一無二のノスタルジーホラーファンタジーみたいな独特な世界観が完成されています。
ディズニー手書き時代の最高傑作の一つじゃないでしょうかね。
特にミッキーマウスとスクルージの作画は、個人的には後にも先にもこれがナンバーワンだと今でも思っています。
背景描写の手の込みようも本当にすごい。
そして大人でも間違いなく引き込まれる演出。
このクリスマスキャロルという物語には結構暗いシーンというか、ジトっとしたシーン、セミホラー的なシーンも登場します。
驚くのはそれらのシーンをディズニーキャラクターを使ってもしっかり怖く、おどろおどろしく、印象深く感じさせていること。
変な手加減していないというか。
冒頭からクライマックスまで、子供に向けて確実に作られていながらそれでも子供向けの作り方をしていません。
最期の墓場のシーンの演出なんか大人が見てもゾッとするくらい真に迫ってます。
スクルージは本当ににくたらしく、ミッキーは本当に健気で、精霊達が見せる過去や未来は本当に悲惨で悲しく恐ろしいのです。
非常に印象に残るシーン、ともするとトラウマになりそうなシーンも沢山あります。
そういう部分とディズニーキャラクターを活かしたエンターテインメント要素のバランスが絶妙なんですよね。
個人的には過去のクリスマスの精のシーンでスクルージが彼女とのハネムーン用のバンガローを差し押さえたってシーンは本当にゾッとしました。
だからこそ、最後のハッピーエンドが効くし説得力があるんですよね。
子供向けクリスマスムービーとしては本当に異常なくらい鬼気迫る演出とシーンが多いんですよ。
ディズニーキャラクター達の魅力があってこその思いきった演出だと思います。
そしてキャラクターの配役がこれまた絶妙なんですよね。
ミッキーのボブ・クラチットなんて最高にはまり役ですし、驚いたのはグーフィーのジェイコブ・マーレイ。
極悪人であるジェイコブとおとぼけ代表のグーフィーの掛け合わせが大成功していて、本当に絶妙です。
あとは「ミッキーと豆の木」のウィリーのオマージュなんかファンには堪らないですよね。
印象的な演出ながらも非常にテンポよく、しっかり起承転結のおさえるべき所を無駄なく積み上げて尚且つコアな人達が喜ぶコネタ等も盛り沢山。
オープニングとエンディングで全体を優しく包み込むテーマソングも本当に素晴らしくて大好きです。
あとはやっぱり芯を捉えた印象に残るフレーズの数々。
個人的にはスクルージとウィリーの【気前の良さ】についての会話はもう座右の銘と言えるくらい、今では大切な言葉になっています。
「これまでワシに1度でも気前よくしてくれた人がいたか?」
「してもらう理由を作らないからだ。」
てやつです。
子供の頃に見て衝撃を受けて、今でも本当に大切にしている言葉ですね。
とにかく子供用のクリスマス短編だと侮ってほしくないですね。
一つの映画として本当に恐ろしいほどよく出来ています。
ディズニーアニメーションの底力を見た気がしましたね。
個人的には生涯の大好きな映画ランキングトップ10には余裕で入ってくる一作です。
毎年クリスマスの時期には必ず見ますね。
サンタとかプレゼントとかそんなことじゃなく、恋人といる日とか家族といる日とかそういう事でもなく。
「クリスマスって、いつもよりほんの少しだけ皆が皆に優しくなれる日なんだ。」
そういう事を教えてくれる映画です。
これを見てから、おときちはクリスマスが大好きになりました。
クリスマスに家族で観る作品として、これ以上の物はないと思いますし、クリスマスじゃなくても、家族でじゃなくても、いつ見ても素晴らしい作品です。
何かと世知辛いこの時代。
今年のクリスマスはこの作品を観ながら【クリスマスとは何か?】をスクルージと一緒に考えてみるのは如何でしょうか?
「ミッキーのクリスマスキャロル」は現在ディズニープラスで配信中です♪
はーい。
というわけで!
今回はこの辺で〜。
いつもこんな駄文にお付き合い頂き本当にありがとうございます。感謝です!
では、また次回!
しーゆーねくすとたぁーいむ。