2024中国茶産地訪問⑭博物館標本館に保管されている「宋茶1号」 | 船橋市茶文化資料室

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撮影:20240514  撮影場所:潮州鳳凰単叢博物館内(潮州鎮)

 

鳳凰単叢茶が好きな方だったら「宋種」というお茶をご存じだと思います。「宋種」は単叢茶の中で樹齢が古く、鳳凰水仙の実生栽培老叢を指す。最も樹齢が古いものは烏崬山李仔坪村左側の茶園にあり、海抜は1150m、樹齢は600年余り。現在、烏崬山300-400年辺りの老叢は皆、宋種の子孫だと言われている。近年挿し木で「宋種」の栽培面積を増やしている。

 

この烏崠山李仔坪村1150mにある600年以上の茶樹は「宋茶」と呼び、一説による「南宋末期」烏崬村李姓という人に育成され、故に「宋茶」と呼ばれるようになった。また「大庵宋種」という古茶樹園もあり、それは烏崬中心寅村の「老宋種大草棚単叢」(1928年枯死)の実生繁殖樹で、前者(李仔坪村の宋時代茶樹)を「宋茶」、後者を「大庵宋種」と呼ぶようにした。言い方は違ってもともに宋の時代の名残のお茶という意味合いをもっている。

 

専門家によると李仔坪村の「宋茶」は推定樹齢は700年、烏崬地区で最も古いものという。しかし2016年、枯死してしまった。枯死した「宋茶」茶樹(単叢茶王宋茶とも呼ばれている)はその後鳳凰鎮にある「潮州鳳凰単叢茶博物館」に保管され、標本として展示することになった。先月烏崬山に行った時、まずこの博物館に行くことにした。

「潮州鳳凰単叢茶博物館」。潮州市内から車で1時間ほど距離の「潮州鎮」にある。

「宋茶1号」標本館。

枯死した「宋種1号」の現在の姿。

根はやはり太く樹齢を感じる。

かつてこんな元気な時代もあったよという写真も展示されていた。茶樹も人間と同じ生老病死があっただろうが、標本の姿をみると、やはり寂しい。

この宋種の茶樹はいろいろ名前を持っている。最も有名なのは「東方紅」という名称。この「宋種1号」はまだ元気な時、1958年、この茶樹の製品茶を毛沢東に献上したことがあったため、「東方紅」という名前が付けられた。

同行したHさんがこの「宋種1号」がまだ現地に在った時一度みたことがあり、10年も経たないうちに標本になってしまったことにさごかし残念ならない。

今月の月茶会の「烏崬東方紅」についてこちらの記事をクリック。