『茶の民族誌』p226:広西龍勝県に住むヤオ族の「団茶」の記述 | 船橋市茶文化資料室

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『茶の民族誌』p225-226:(青字は原書の記述)

「鉄鍋の炒り蒸し茶は、主として茶団(団茶)の原料となる散茶を造るもので、直径一メートル、深さ三十センチの鉄鍋が用いられ、この鍋に水を鍋の底の部分に1~2センチの深さに入れ、加熱煮沸する。完全に煮沸したところへ、茶葉を投入し、撹拌しながら約20分ほど煮る。最初は立ち上がる蒸気で蒸すような状態になるが、やがて茶葉の水分も出て、完全に煮る状態になる。」

殺青が終わってから揉んで乾燥させると団茶の原料になる。団茶についてp225より転載:

「団茶は一心一~ニ葉の芽を使い、蒸した茶の芽を両手で、にぎりめしの如く、にぎり固めるので、直径五~六センチの茶団子となる。これを天井に並べて乾燥する....」

龍勝各族自治県は有名な桂林市管轄下の自治県。人口は約14万人。「各族」はトン族、ヤオ族、ミャオ族、チワン族など少数民族を指し、トン族の人口が最も多く、全人口の26%を占めている(漢族は21%,瑶族は18%)。龍勝県は広西省の最北端に位置し、西隣の三江トン族自治県と合わせて、「桂北油茶文化圏」を形成している。県内にある龍脊棚田が人気の観光スポット。

 

瑶族やトン族に「油茶」を飲む文化があるとのことはよく紹介されているが、この地域に「餅茶」や「団茶」が作っていたことについて中国側の資料には殆ど出てこない。今日、『茶の民族誌』を再読した時、龍勝ヤオ族団茶の記述はいかにも貴重であることはつくづく思った。