そうなるのも無理はない | 神田勇哉のブログ

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フルーティスト 神田勇哉の日記

今回は実際にあった、とあるコンサートの話。




司会者がいるコンサートで

その日のソリストさんにインタビューをするシーンてのがよくあるのだが、


「聴衆が気になる質問」の代表と言えば

「いつ頃から楽器を始めたんですか?」

とか

「一日どれくらい練習するんですか?」

とかがメジャー。


そして

「この楽器はおいくらなんですか?」

というのも外せない。



我々フルート業界の

ルイロットやムラマツ だと

あっそ、としか思われないが


 ヴァイオリン業界の名器

「ストラディバリウス」のネームバリューは

やっぱり圧倒的!


「億!?」「楽器なんかに…億!?」

っていう感覚が浮世離れしているのがまた良い。



というか使ってる人も

「それそれ!」

「それを聞いて欲しいのよ!」

って側面もあって


宣伝とか、アーティストの格のアピールとして使ってるんじゃないかとすら思うのだが、


この日のコンサートは違った…



ソリストさんの演奏前のインタビューコーナーで

「この楽器はストラディバリウスと言う楽器で〜」


「おお〜」と客席からどよめきが上がる。



「知らない方のために説明しますと、

何百年前に出来た楽器で世界にいくつしかなくて

うん億円もするんですよ。」


という説明…

ここまでいつも通り。




その後そのめちゃうまソリストのすんばらしい演奏が

会場を包み込んだのだが、



演奏が終わって拍手が鳴り続ける中

司会者がステージにやってきて一言、


「いやー皆さんどうでしたかー?

ストラディバリウス!」



!?🫣




これ文章じゃ伝わりづらいけど

オケの人たちはみんなその瞬間

「え!?」😅って思ったはず。



この素晴らしいソリストの演奏は

その方の実力ではなくて「楽器の力」

みたいな感じになっちゃう。笑


もちろん、そんな事でソリストは

微塵もめくじらたてないので、


ありがとうございました〜!


で幕を閉じたが。




これを日常生活に当てはめるなら


カップルが


👩🏽‍🦰「ねぇ〜ダーリン。私のどこが好きなのぉ〜?」

🧑「顔」


というのと同じなのだ!



それは下手すると


🧑「顔が良くなかったらお前なんかと付き合ってないし」


という意味にすらとれる。


言葉って難しい。




でも、例えば私が他人のフルートの演奏会を聞きに行って

終演後に

「いやームラマツのゴールド良かったねー」

って奏者に言うのは


なんか許される。



同業者間で楽器のポテンシャルの話をしてるんだな、

と想像できるから。




同様に

パバロッティ 声が良いよねー

は、なぜかOKだけど、



会社のお仕事にて

👨🏼‍🦳「神田くん、さっき頼んだ資料…」

「え!?もう出来たの!  早い!」


の後に

「さすが最新型のパソコンだね!」



って言うのはダメ。笑