スター楽屋訪問 | 神田勇哉のブログ

神田勇哉のブログ

フルーティスト 神田勇哉の日記





私は長野県松本市育ち。

子供の頃から一丁前にフルートをピッピキ吹いていたので

それを見て
「楽器を持ってスターの楽屋に突撃して
演奏を聞いて貰いなさい」
みたいなことを言う大人がいた。


いかにも田舎のおじさんらしい、
常識の無い話だけど、

「出世したかったら それだけ貪欲にいきなさい。」
という風に見れば有難いお話である。



現実で考えてみると、
田舎のぼっちゃんがいきなり本番前の楽屋に突撃してきたとして  

演奏聞いて
「お!こいつ才能あるな!」
って思う事なんてまず無いと思う。

っていうか正直
「親はどういう教育してんだ?」
って思うかも🫣笑


たとえ若きマリア・カラスやパヴァロッティがやって来て

「これはダイヤの原石だ!」
「この才能を世に出さなくては!」
なんて思ったとしても、

結局は「ちゃんと勉強して音大に行きなさい。」
と言うだけである。

…それって突撃してもしなくても
おんなじ結果って事。



プレーヤーからしたら
地方の美味しいもの食べに行って
着替えてからゆっくり休んで…本番、

というルーティンが乱されるのは困るし


演奏を聴くって事は例え15分だろうが
立派な「レッスン」になるので、

「聞いて下さい!」とは
コンビニの商品を「タダで下さい!」
って言ってるのと同じなのだ。

いや、いくらなんでも厳しい言い方になってしまったが、💦


実際にそんな子がやって来た事は過去に一度も無いです。😅



今時の地方公演はコンサートの宣伝と絡めて
ホール主催のマスタークラスがあったりするので、
そこに正規の手続きをとって参加して

その場で実力とヤル気を示して
連絡先を貰うのが正しいやり方であろう。

今時はそんなに大御所でもなければ
大抵のプレーヤーは、TwitterのDMとかでもレッスンを受け付けている。

良い時代だ。



その昔のおじさんの話の続き

「演奏させてくれるなら どこでも演奏させて貰いなさい!」

って言う人もいた。


これまた難しい問題をはらんでいて

客前での演奏はとても勉強にはなるのは間違いない!
でも音大卒業した若者に
「下手に出てなんでもやれ」ってのもねぇ…😅


若手はよいのだ。それで納得してるのなら。

ただ主催者側である 大人が、
プロの卵に対してノルマや参加費を課したり、
「学生だから」と無料で演奏させる、

そんなコンサートを主催する意義とはなんだ?
と考えると、

正直私は同意できない。



実際音楽イベントに参加したりすると
「私はコンサートのプロデュースをしてます!」
っておじさんがいて、名刺配ってたりして、

その方の主催のコンサートをネットで見てみると


音楽の実績が何一つない子…それも
かわい子ちゃん、美人さんばかりを集めてコンサートを主催している。

なんていうどうしようもない輩だったりする。😓


そんなコンサートも需要があるなら別に構わないし、
そのおじさんがエロオヤジなだけで、
別に悪人というわけでは無いが、

リサイタルやらない?と聞かれて
イエスと答えたら後日チケット30枚渡されて
「これ買取でお願いします。」とか

ノルマでなくとも後から
「チケットが売れてないじゃないか!」
「もっと死ぬ気で宣伝しろよ!」
と文句を言われたりとか、
 
駆け出しの音楽家達と話をすると
そんなケースがゴロゴロ出てくる。


最終的には嫌な思いするのは自分…

なので先述の
「演奏させてくれる所はどこへでも行きなさい!」
は絶対にそのまま受け取ってはならない。




まぁ、貪欲にいく、って姿勢は、全てにおいて大事な事。

ヨーロッパにはフルートを持って
ニコレの老人ホームに突撃したり
パユをベルリンフィルの出待ちして
「レッスンしてくれ」って言う人がいるとの事。


話を聴くと大抵がラテン系奏者。

そういう度胸が羨ましい。😚