それでも濃ゆい音には憧れる | 神田勇哉のブログ

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フルーティスト 神田勇哉の日記

ヴァンサンとのデュオを動画にするための

音源編集をしていて思った。




ヴァンサンはなんて良い音なんだ!🥴


もっちりと中が詰まってて煌びやか。✨


それにくらべ私の音は、

カッスカスの スカだ。



私は今まで、

遠くまで飛び、

表情を変化させやすい

そんな音を目指して色々研究してきたけど、


自分もまだまだだ、と思った。




私は昔から自分の音が好きではない。

というか、自分のウリではない事を理解している。


もちろん私の演奏動画を聞いて「良い音ですね」といって下さる人には

ものすごい嬉しく思うし


多久さんや道元さんと話すと

音って色んなバリエーションがある事が大事で、

カツーンと鳴らした音だけじゃ

演奏は成り立たないんだ、なんて言うけれど、



やっぱりクラシック音楽にとって

良い音のプレーヤーは魅力的なのも事実。




世の中には

故 中野富雄先生や

読響の佐藤友美ちゃんや

新日本フィルの野津くんみたいに


音だけでウットリさせるフルート奏者がいる。


私の地元で言えば、松本の教室の先輩、丸山貴菜さんがとにかく良い音。




ヨーロッパ人はみんな音がよい気がするが、

コレはもう日本人とはもう別次元だと思っている。


有名な奏者、ってだけで何百分の1の選ばれた存在であるので、裏側には音の悪いヨーロッパ人も沢山居るのは確か。


あとは体格とか骨格とか唇とか

喋る言語の筋肉だったりもするのだろうか?



これらを長年研究し続けたが

ヴァンサンやパユやブリアコフの様な

音の濃さは

一生かかってももう不可能だと思った。




でもでも、改めて考えてみると、


日本で「才能だな」と言える程の良い音を持つフルート奏者ってのは、

さして多くない事に気づいた。

(私の感覚です。)



そもそも良い楽器を手に入れて頑張ってソノリテをしたり、研究をしても、

音ってほとんど変わらない。


パヴァロッティの声をCDで聞いて

「いい声だなぁー」

と毎回思うのと同じで


フルートの音もその人の持つ音は不変。




むしろ 私は研究の結果、

「雑音こそが表情であり音の核」だと思ってるので、

時にヴァサーって汚い音で吹くのも平気なのだが、


吉岡アカリさんは

「音の良い奏者は表現のために自分の音を崩したくない傾向がある。」と言っていたけど、


なまじ自分の音が良いと

乱雑な音を使おうと思わなくなってしまうのか。


勿体無い…。




私は自分の音がたいして好きではないので、

演奏中いくらでも音色の変化の冒険ができる。


ひろゆきがよく


ネットで悪口とか書いたりして損害賠償請求を受けても

無職で貯金もなく家族もいないから

「ない袖はふれませーん。」

っていう人を

「無敵のひと」って言ってるが、



それに似てる。笑