前回第1部は、景気回復局面において、
大企業と中小企業の格差が開いている、
という内容でしたが、第2部では、
生産性向上により企業の業績改善だけでなく、
日本経済の成長に寄与するための
方策についての分析となります。
(* 「⇒」に続く記述と■サマリ■は個人的な意見となり、
白書記述とは異なる部分があります)
=============================================
第2部 1章 中小企業を巡る構造変化と生産性
■今後の日本経済に大きなインパクトをもたらすのは、
少子高齢化・人口減少の進展。
具体的には、
①総人口減少により消費支出減少し、国内市場が縮小する
②労働人口減少によりアウトプットであるGDPが減少する
■このネガティブインパクトを緩和する方法としては、
①高齢者・女性の就労を支援し、労働人口減少を緩和する
②労働生産性を上げ、GDP減少を緩和する
があげられる。今回の白書では②について考察する
■「労働生産性=付加価値額/労働投入量」
⇒労働投入量を減らしても生産性は向上するが、
とるべき道とはいえない。
やはり、最終的には付加価値額向上を目指すべき。
なお、アメリカの労働生産性を100とすると、
ルクセンブルグ:約140
ノルウェー:約140
ドイツ:約90
日本:約70
小国の生産性の高さ(少ない人口で多くのGDP)が
目立つ一方で、日本はアメリカの70%程度と
かなり低レベル
■中小企業の労働生産性は、ほぼ全業種において、
大企業より低くなっている。
これは、労働生産性の式を下記のように分解すると
原因の一つが分かる。
「労働生産性=資本ストック/労働投入量*付加価値額/資本ストック」
ここで、前者は労働力あたりの資本の大きさを表し、
後者は資本あたりの付加価値額を表している。
後者は大企業と中小企業で大きな違いはなく、
前者に差があることから、前者(資本装備率)が
生産性が劣る原因。
⇒ただ、この計算式自体が大企業向け
(資本ストックの大きさを測る点で)だと思う。
資本ストックを大きくすれば中小企業ではなくなる面もあり、
やはり規模の小さな企業は、付加価値額の増加が
目指すべき道と考える。
■労働生産性と企業の取り組みの相関を見てみると、
下記のような企業の生産性が高い傾向が見られる。
①IT化:EC取引やネットワーク構築に積極的
②グローバル化:直接輸出の割合が高い
③人的資本:終身雇用前提の年功序列賃金
④外部資源活用:業務委託・外注利用に積極的
⇒人的資本部分は意外な面はあるが、
終身雇用ということで、正社員としての定着率が向上し、
結果として労働投入量単位あたりの付加価値額は
向上していると考えると、妥当ともいえる。
つまりこの式が、労働対価(賃金)ではなく、
労働時間(もしくは人数)を使用しているため、
同じ人数もしくは時間であれば、正社員として
定着している社員が多いほうが有利なことが多い。
■サマリ■
中小企業は資本も小さく、投入できる労働力も少ない。
となれば、やはりいかに効率的に価値を生み出していけるか、
を検討し、実践していくことが重要になってくると思う。
上記労働生産性の高い企業の取り組みを見ていて思うのは、
「レバレッジをかける」ことが一つのポイントではないか、
ということである。
EC取引などで使用する労力を抑えながら市場を拡大し、
外部資源も活用することで、
自社がもともと持つ力以上に価値を創出していく仕組みを、
組み立てていく必要があると考える。