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探偵ジャッガ (Jagga Jasoos) 2017年 162分
主演 ランビール・カプール(製作も兼任) & カトリーナ・カイフ
監督/製作/脚本/原案 アヌラーグ・バス
"ジャッガのお話は本当のこと…このピアノの調べのように、ね"

 

 

 1995年12月17日。
 西ベンガル州プルリアの村々に、突如軍用輸送機から大量の武器弾薬が投下された。誰が、一体なんのために…?

 そして現在。コルカタにて、人気漫画シリーズの新刊「探偵ジャッガと赤い輪の魔法」の出版イベントが開催。主催者シュルティ・セーングプタは、子供たちを前に漫画の主人公ジャッガは実在するとして、その生い立ちを語り始める…
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 モイナグリの病院で発見された孤児ジャッガは、その病院の中で育てられた。好奇心旺盛で卓越した推理力を持ちながら、どもり癖のために無口な彼は、ある日大怪我した男を助けたことでその男…トゥティフティから「言葉を喋ろうとせず、歌で話してみるといい」と教えられて意気投合。大の親友同士になった後、ついに義理の親子と認められて病院を後にする。
 一風変わった教育方針のトゥティフティとの幸せな毎日を過ごすジャッガだったが、ある日、政府関係者から手紙を受け取ったトゥティフティは、ジャッガをマニプル州の寄宿学校に入れて何処かへと旅立ってしまう…。

 

 

挿入歌 Ullu Ka Pattha (陽気に行こうゼ)

 


ニコニコ 「バルフィ!(Barfi!)」の監督アヌラーグ・バス7本目の監督作であり、その「バルフィ!」から続投して主演する男優ランビール・カプールの、プロデューサーデビュー作となるサスペンスコメディ・ヒンディー語(インドの連邦公用語。主に北インド圏の言語)映画。
 その作りは、インド映画というよりブロードウェイミュージカルのように、セリフの多くを歌にした舞台演劇ミュージカル風に仕立ててある(劇中歌は実に29曲。インド映画は歌が8割、とかテキトーに断言する人こそこの映画を見るべきジャ!!)。

 ニュージーランドで初公開された後、インド本国の他アラブ、クウェート、オーストラリア、英国、アイルランド、オランダ、パキスタン、米国、インドネシアなどでも一般公開。

 日本では、2023年(?)にNetflixにて配信。


 1995年に実際に起きた、プルリア武器投下事件(その真相については、色々に取りざたされて国内外さまざまな政治組織・武装組織を巻き込んだ捜査や裁判が続きながら、なお詳細不明らしい…?)をネタ元に、その政治闘争に巻き込まれて姿を消した父を探す主人公ジャッガの冒険譚を、ヒロイン シュルティが子供達に語って聞かせると言う体で進む一本。

 「バルフィ!」と同じく簡単に喋れない主人公が、歌を通してコミュニケーションすることで映画全編がブロードウェイミュージカル調の歌と踊りの物語となり、ベンガル~マニプルの風光明媚な光景(実際にはダージリン、タイ、南アフリカのケープタウンでロケしたそうな)をキャンディカラーで映し出す画面のきらびやかさとも相待って、絵本やバンド・デシネを読んでるかのような雰囲気に魅了されるおとぎ話調映像の数々が素晴らしきかな(インドでも指摘されてたそうだけど、その骨子として「タンタンの冒険」あたりが意識されてたり…するんかなあどうかなあ)。
 「探偵」とタイトルにある如く、主人公ジャッガが難事件を推理して解決する名探偵ぶりを発揮するエピソードも盛り込まれてはいるものの、映画中盤以降の父親探しではユーモアたっぷりの破天荒展開はあるものの、推理ものと言う雰囲気は姿を消してユーモアサスペンスなロードムービーに変わっていく。
 「バルフィ!」から続投出演の、ジャッガ役のランビール・カプールやシンハー事務官役のサウラブ・シュクラーの息ぴったりの演技も見所なら、「バルフィ!」に登場していた舞台などが別の形で本作で再登場してるのも見もの(ジャッガの通ってるマニプルの寄宿舎学校とか、ヒロインの名前が"シュルティ・セーングプタ"になってるとこなんて…!!)。「バルフィ!」よりもさらにキャッチーに、より叙情的に奏でられるプリタム作曲の音楽の数々も、ミュージカル演出をより巧妙に盛り上げる点で要注目ポイントでもありまする!

 監督を務めたアヌラーグ・バスは、1970年マディヤ・プラデーシュ州ビラーイー(現チャッティースガル州ビラーイー)のベンガル系家庭生まれ。
 両親ともに製鉄所幹部兼劇団員で、幼少期から舞台演劇を身近に見て育つ。物理学の学士号を取得後、ムンバイの大学に編入して映画を研究しようとする中でTVドラマシリーズ「Tara」の助監督として働き始め、すぐにTV界で数々の賞を獲得する演出家兼プロデューサーに。
 映画プロデューサー マヘーシュ・バットに推されて、03年のヒンディー語映画「Saaya(影)」で映画監督デビューし、2作目の監督作となる04年の「Murder(殺人)」からは脚本も兼任。07年の4本目の監督作「Life in a... Metro(ライフ・イン・ア…メトロ)」でフィルムフェア脚本賞はじめ複数の映画賞を、12年にはビッグ・スター・エンタテインメント監督賞も受賞。翌13年には「バルフィ!」でIIFA(インド国際映画賞)の監督賞他も獲得し、本作では主演のランビール共々プロデューサーデビューしている。

 劇中の重要人物であるジャッガの養父トゥティフティを演じるのは、1970年西ベンガル州コルカタに生まれたシャーシュワト・チャテルジー。父親は有名な映画男優スベンドゥ・チャテルジーになる。
 ヒンディー語TVドラマ「Kaalpurush」で男優デビューし、96年のベンガル語(北東インドの西ベンガル州とトリプラ州の公用語)映画「Baksho Rahashya」で映画&主演デビューを果たす。以降はベンガル語の映画界とTV界で活躍する中で、11年に短編映画「The Forlorn」でインパール国際短編映画祭の助演男優賞を獲得。14年の「Bhooter Bhabishyat(因果の行く末)」でZeeバングラ・ガウラヴ・サンマンのコメディ賞と助演男優賞も受賞している。
 12年の「女神は二度微笑む(Kahaani)」でヒンディー語映画デビューし、この映画の大ヒットによって役名ボブ・ビシュワースの方が有名になって、ネットを中心に「ボブ」が通称名扱いされているそうな。本作は、これに続く2作目のヒンディー語映画出演作となる。

 西ベンガル州の政治闘争や、兵器ビジネスによる戦争屋の暗躍などを背景にしているお話しながら、架空の人気漫画の主人公の冒険譚と言う形をとってるためにその語り口は実に軽快かつノリノリで楽しい。
 観察力・推理力ともに高いながらコミュニケーションに難ありの主人公ジャッガが、養父と同じく「事件巻き込まれ体質」で「なにかと落下体質」なヒロイン シュルティに惹かれていくことで父親探しへの一歩を踏み出していく軽やかさ、次々と舞い込む難題を斜め上な発想で乗り越えていく2人のノリのいいポジティブさが終始微笑ましい。
 舞台となるコルカタやマニプルの風景、カヤン族(=首長族)の村、ケニアのモンバサの光景(実際のロケ地ではないにしろ)の異国情緒豊かな美しさも必見。この映像美と飄々とした物語展開は、映画好きを名乗るならなにはなくとも一度は見ておくべきってもんですゼ!

 


挿入歌 Khaana Khaake (食べて飲んで [もうすっかりお開きだ])

 


受賞歴
2017 Screen Award 振付賞(シアマーク・ダーヴァル / Ullu Ka Pattha)・男性プレイバックシンガー賞(アルジット・シン / 【Raees】に対しても)
2017 Zee Cine Awards ポストプロダクション賞(アジャイ・シャルマー & NY VFXWAALA)・振付賞(ヴィジャイ・ガングリー & ルエル・ダウサン・ヴリンダーニー / Galti Se Mistake)

2018 Films of India Online Awards 音楽監督賞(プリタム)・振付賞(ヴィジャイ・ガングリー & ルエル・ダウサン・ヴリンダーニー / Galti Se Mistak)・特殊効果賞(プラサード・ヴァサント・スタル & NY VFXWAALA)
2018 Filmfare Awards 音楽アルバム賞(プリタム)・BGM賞(プリタム)・作詞賞(アミターブ・バッタチャルヤー / Galti Se Mistake)・振付賞(ヴィジャイ・ガングリー & ルエル・ダウサン・ヴリンダーニー / Galti Se Mistake)
2018 Mirchi Music Awards リスナー選出アルバム・オブ・ジ・イヤー(プリタム & アミターブ・バッタチャルヤー & ニーレーシュ・ミスラー)
2018 Bollywood Film Journalists Awards 台詞賞(アヌラーグ・バス & アミターブ・バッタチャルヤー & デバートマ・マンダル & サムラート・チャクラバルティ)・音楽監督賞(プリタム)・BGM賞(プリタム)・音響効果賞(アビシェーク・ナーイル & シージン・メルヴィン・フットン)・撮影賞(S・ラヴィ・ヴァルマン)・プロダクションデザイン賞(パリジャット・ポダット & ラジャット・ポッダル)・視覚効果賞・振付賞(ヴィジャイ・ガングリー & ルエル・ダウサン・ヴリンダーニー / Galti Se Mistake)・作詞賞(アミターブ・バッタチャルヤー / Khaana Khaake)
2018 International Indian Film Academy Awards BGM賞(プリタム)・振付賞(ヴィジャイ・ガングリー & ルエル・ダウサン・ヴリンダーニー / Galti Se Mistake)・特殊効果賞(プラサード・ヴァサント・スタル & NY VFXWAALA)
2018 Screen Weekly Awards 振付賞(シアマク・ダーヴァル / Ullu Ka Pattha)

 

 

(。・ω・)ノ゙ JJ を一言で斬る!
「ダチョウって、本当に人を乗せて走れるのね…!!(日本でも、騎乗できる所があるみたいだけど)」


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