「十津川警部 陰謀は時を超えて リニア新幹線と世界遺産」
(西村京太郎著 文春文庫)
少し前に西村京太郎さんが亡くなりました。
本当に大往生と言えるくらい活躍されていました。
その追悼の意味を込めて、ブックオフで買って読んでみたのが本書です。
本作の舞台は、東京、名古屋の高速鉄道研究所、そして白川郷。
そこである登場人物が白川郷に生息する「秘薬」を住民に嘘をついて持ち出します。
そしてそれを薬剤会社に勤務している知り合いに研究を依頼。
その知り合いからの連絡があり合おうとした直前に、その知り合いは何者かに殺されます。
そしてこの登場人物も殴られて殺されかけます。
ここで初めて十津川警部が登場することとなります。
この作品、名古屋や白川郷をうまく表現しており、読んでいる僕も旅をしている気分にさせられました。
そのあたりの表現はとても素晴らしかったと思います。
ただ読んでいるだけでは、殺人事件の犯人やトリックを推理することはできませんでした。
結果的には犯人は逮捕されます。
ただその人物は終盤になって登場する人物でしたし、結果的にはなぜ2人を死傷させたのかという点も書かれていませんでした。
そういったことも含めて、この作品は「謎」の点が多く残ったまま、話は終わってしまいました。
なので読み物としては文句なしでしたが、真相をもう少し書いてくれていれば…
と思う1冊でした。
最後に余談ですが、僕が西村京太郎作品を読んだのは2回目です。
1回目は何という作品が忘れましたが、東北地方が舞台の作品でした。
そのときに東北新幹線が登場するのですが、その区間が
「大宮~盛岡」
と書かれており、カルチャーショックを受けました(笑)
今は
「東京~新函館北斗」
ですから…
今作はそういったことはなかったので、安心して読めました。