読書感想124 陰謀は時を超えて(ミステリー・小説) | フリスビーの読書感想

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「十津川警部 陰謀は時を超えて リニア新幹線と世界遺産」

(西村京太郎著 文春文庫)

 

少し前に西村京太郎さんが亡くなりました。

本当に大往生と言えるくらい活躍されていました。

その追悼の意味を込めて、ブックオフで買って読んでみたのが本書です。

 

本作の舞台は、東京、名古屋の高速鉄道研究所、そして白川郷。

そこである登場人物が白川郷に生息する「秘薬」を住民に嘘をついて持ち出します。

そしてそれを薬剤会社に勤務している知り合いに研究を依頼。

その知り合いからの連絡があり合おうとした直前に、その知り合いは何者かに殺されます。

そしてこの登場人物も殴られて殺されかけます。

ここで初めて十津川警部が登場することとなります。

 

この作品、名古屋や白川郷をうまく表現しており、読んでいる僕も旅をしている気分にさせられました。

そのあたりの表現はとても素晴らしかったと思います。

 

ただ読んでいるだけでは、殺人事件の犯人やトリックを推理することはできませんでした。

結果的には犯人は逮捕されます。

ただその人物は終盤になって登場する人物でしたし、結果的にはなぜ2人を死傷させたのかという点も書かれていませんでした。

そういったことも含めて、この作品は「謎」の点が多く残ったまま、話は終わってしまいました。

なので読み物としては文句なしでしたが、真相をもう少し書いてくれていれば…

と思う1冊でした。

 

最後に余談ですが、僕が西村京太郎作品を読んだのは2回目です。

1回目は何という作品が忘れましたが、東北地方が舞台の作品でした。

そのときに東北新幹線が登場するのですが、その区間が

「大宮~盛岡」

と書かれており、カルチャーショックを受けました(笑)

今は

「東京~新函館北斗」

ですから…

今作はそういったことはなかったので、安心して読めました。