※私の実の祖父ではありません
彼は完全に信じきってる。
助けてあげたいけどどうしよう。まだ被害は何もないから、どうにも出来るものでもない。
でも、事が起こってからでは難しい気がする。幻想の中に生きていたいんだなって。
悲しいかな、いつかは栄華を極めたスーパーエリートがこんなに無様な姿になるなんて。
私にはとてもじゃないけどもう耐えられない。おじいちゃんの嬉しそうな顔が忘れられない。その喜びが虚像であるということは確証はないけど、考えただけで切ない。
私は、彼と勉強してる時がとても楽しかった。楽しそうだった。経済が知りたいと言ったのは、ガン無視で化学とか大企業の彼の得意分野の話を沢山沢山されたけど。
それでも良かった。新聞の切りはしをいつも持ってきてくれた。経済紙の気になるところをピックアップしてきてくれた。
7月から10月にかけて、週に一度はカフェで勉強した。私は毎回熱心にノートを取って、初めは全く感じなかったおじいちゃんの若い頃の面影をそこに感じた。
ノーベル賞を、本気で取るほど熱心にやっていないことは知っていた。けれど、それはおじいちゃんの夢だった。妻と離婚して子供たちとも会わせてもらえず、毎日寂しい中で輝ける要素だった。
わたしは、無理でも不可能でもいい、やるだけやらせてあげたいから応援しますと言った。そこに何の壁があるのか?一体とれない理由は何なのか?それを知るだけでも十分有意義な戦いになるとかんがえた。
中嶋さんあなたのことが気に入った!あなたに僕は任せるよ、あなたならきっと出来る!って、僕は体が悪くていつ死ぬか分からないから僕の代わりに頑張ってほしいと。もし仮にノーベル賞をとれたら、中嶋さんと壇上に上がりたい。
そのあとにわたしのことが本気で好きだと言ってきて、断ったあたりから頓珍漢なことを言い出した。
ホテルに言ったら天皇と会わせてあげるとか、意味不明なことを。私はハッキリと若い女の子なら誰でもいいなら他を当たってください、あなたは頓珍漢なことを言って恥ずかしくはないんですか?と本気でかいた。
この10月以来、おじいちゃんからとの勉強会は途絶えていた。
しばらくして秋頃、おじいちゃんは研究所で働かせてもらえるとメールをしてきた。良かったですねと。
誕生日をお祝いするとつい先日久しぶりにあ った。予告なく別のおじいちゃんがいた。
私は今の仕事に大変満足しているし私なりの構想があるが、コネでどこでも働かせてあげると勝手に提案してきた。
おじいちゃんの心底嬉しそうにしてる顔が本当に忘れられない。
その天皇の血筋とか言ってるおじいちゃんとは、私と会わなくなった頃、10月から3月までほぼ毎日あってるそうだ。
元エリートほど騙されやすいとはこのことだ。
過去の栄光や、夢、孤独で寂しい気持ち、私への気持ちにつけこんだ内容で私は絶対に許せない。
今、夢の世界に完全に入り込んだことをおじいちゃんと直接会って感じて、涙が止まらない。
天皇と日銀総裁の名を騙って
お前らただで済むと思うなよ