続きです。
 

四半期成長率は「なぜ」予想を使わないのか? その1

四半期成長率は「なぜ」予想を使わないのか? その2

 

前回、予想四半期の業績をどうやって求めるのかを書きました。

ただ、こうして求めた予想値を参考に出来るかというと微妙なのです。
業績予想には、慎重や楽観といった各企業の性格が出て来ます。
また、アナリスト予想なども100%正確とは言えません。

そのことは通期の予想にも言えるのですが、

通期予想は1年間で完結しています。

 

一方で、

予想四半期には通期予想という縛りがあります。

 

特定の四半期が突出した実績を上げたとしても、

通期予想がそれに見合った上方修正を出さなければ、

次に控えている四半期の予想業績は悪化することに成ります。

 

具体的な数字で見てみましょう。
毎年、通期:100、各四半期:25ずつの業績を出す企業があるとします(図1)。


■図1:例年のパターン

 

今期も同じ収益パターンだと予想していたところ、

今期は3Qが40と大きく伸びました。例年よりも+15増益です(図2)。

 

※拙著『四半期成長率とチャート分析』の読者特典で付けている

エクセル計算シートで実際に数字を入力すると理解が深まると思います。

 

■図2:第3四半期実績が増益の場合

 

四半期成長率(前年同期比ベース):0%→13.04%

と伸びました。株価が上がる可能性が高いです。

通期予想は据え置かれました。

 

その結果、

4Qの予想四半期成長率(前年同期比ベース):0%→▲15.00%

と悪化しました。

つまり株価は「実績では上げる」判断となりますが、

「予想では下げる」判断となってしまします。

 

 

次に逆のパターンを見てみましょう(図3)。

 

図3:第3四半期実績が減益の場合

 

3Q単体が10と大きく減少しました。例年よりも▲15の減益です。

 

四半期成長率(前年同期比ベース):0%→▲17.65%

と落ちました。株価は下がる可能性が高いです。

通期予想は据え置かれました。

 

4Qの予想四半期成長率(前年同期比ベース):0%→15.00%

と良化します。

株価は「実績では下げる」判断となりますが、

「予想では上げる」判断となってしまします。

 

 

■まとめ

両方とも第3四半期の発表と同時に上方や下方の修正が無かったとしていますが、

仮に修正が入ったとしても、よほど大きな修正が出ない限り、同じような傾向となります。

 

因みに、

増益の場合

 4Q予想成長率を13.04%以上にするには、

 通期予想を133(4Q単体では43)以上に上方修正しなければなりません。

減益の場合

 4Q予想成長率を▲17.65%以上にするには、

 通期予想を72(4Q単体では12)以下に下方修正しなければなりません。

※実際にエクセル計算シートに入力してみてください。

 

つまり企業が相応の上方、下方の修正をしないと、

4Qの四半期成長率は3Qの逆になってしまうのです。

 

その結果が、下図(その1の5分位分析を再掲)のような

有効性と非有効性の逆転が起きている原因となっています。

※赤がもっとも有効、青がもっとも有効でない

 

■“予想”四半期成長率の5分位分析



■“実績”四半期成長率の5分位分析

 

 

なお、予想四半期成長率のプライムは、

有効性と非有効性の通りに末広がりの形になる傾向がありますよね。

プライム上場企業は、業績予想の修正に信頼性が高いからだと思われます。
 

逆に、新興や小型株の多いスタンダード、グロースの四半期の場合、

業績予想のブレが大きいものが多く、

予想よりも実績から求めた方が信頼性が高いと言えます。

 

ただし、スタンダードやグロースで予想四半期が全く使えないかと言うと、

そうでもありません。

通期予想が据え置き、あるいは微修正だったとしても、次の発表日までに、信頼性のある上方(下方)修正が出ることはあります。
特に発表が近くなって出て来た業績修正は、発表が前倒しになったのと同じ様なものなので、ほぼ実績と同じような扱いで構いません。

 

そういう場合は、以前ブログでも紹介した修正ファクターも併せて使うと

より正確な判断が出来ることと思います。

参考記事:上方修正ファクター銘柄を買い続けるとどうなるか?

 

 

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