2021 夏 京都の旅24 鷹峯1 | 楢丁(YOUTEI) 旅の話

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趣味で書きためた旅日記が、膨大な量になりました。2020秋に脳出血、2023には食道癌を発症と、様々なことが起こりますが、克服してまた旅に出たいという気持ちは変わりません。
お付き合い頂けたらありがたいです。どうぞよろしく。

2021 夏 京都の旅24
鷹峯1

8/20(金)①
 処方された薬が効いたらしく、章湖の体調はかなり回復したようだ。しかし、やっぱり昨夜はよく眠れず、しかも明け方には足がつったとこぼした。

 天気の方もすっかり回復し、朝から青空が覗いているが、昼からはまた雨がひどくなる、というまことに困った予報、しかしこればかりは仕方がない。雨の降らぬうちに、と今日は鷹峯を最初の目的地に定めた。

 車で出かけると、まず気になるのが駐車場のことだ。「しょうざんリゾート」というのはホテルをはじめ、結婚式場、レストランや有料の庭園を備えた施設だけに、おそらくここに駐車は可能だろう。

 鷹峯に入り、「しょうざんリゾート」はこのあたりかなと、それとおぼしき路地を折れたが、どうも様子が変だ。だいぶ高級なホテルの敷地に入ってしまったようで、ちょっと気後れした。感じからすると、本格営業を前に上客を招待したんじゃないか、という様子が見て取れる。宿泊客の見送りに出ている従業員がこちらを一瞥した目に、なんだこいつらは、という様子がありありと現れているように感じたのは錯覚じゃなかったと思う。結局、我々が曲がったのは目的の一つ手前の路地だった。

間違えたのはここだ。ロク・キョウトLXRホテル&リゾーツ


 目標にした「しょうざんリゾート」も、さっきの程ではないにせよ、高級ホテルである。駐車場には守衛の常駐する四阿があるが、庭園の案内を兼ねているようだ。指示通りに車を停め、まずはトイレを拝借、ついでにホテル内の売店を覗きに入った。広い店内には、服飾品や、色とりどりの工芸品など、目にも鮮やかな商品が並ぶ。さながら高級デパートの一画、といった趣だ。したがって我々に縁のありそうなものは多くないが、アルコール類が10%OFFというのに目が行った。ここには滋賀県産という、目にしたことのないワインがあり、リーズナブルな値がついていたものだから、あとで買おうかと相談がまとまった。


ホテル内の売店「染織工芸館」(しょうざんリゾートHPより転載)


 ホテルの手前、渓谷に沿って下ったところに、鳥料理が専門のレストラン「わかどり」があることは確認してあった。そこも「しょうざんリゾート」の一画なのだろう、予約すると庭園の入場が¥500から¥300に割引になるというではないか。どうせこのあたりのどこかでお昼を、と考えていただけに、渡りに船とはこのことだ。おまけに常駐の守衛さんに言ったら、ここからすぐに予約してもらうことが出来た。こういうのはどことなく気分がいい。


鳥料理のレストラン「わかどり」(しょうざんリゾートHPより転載)

 庭園はホテルの目の前だが、小さな門をくぐり、入ってみると、たちまち魁偉な景観が目の前に広がった。庭のほとんどに植えられているのは北山台杉、剪定された枝から、さらに生え出た枝が垂直方向に伸びる樹の姿は、奇妙ともいえるが、これが全面に植えられた庭園は、全体として独特の、峨々たる景観を造り出す。


北山台杉の姿は独特

 どう表現していいか分からないが、墨絵に描かれた樹木にもこんな姿のは見たことがないし、いわゆる杉という木からイメージされる姿とも全く違う。地面を覆う苔も美しく、どこからか流れてきた小川は池となって庭に趣を加える。一画に建てられた茅葺きの小屋や、屹立した北山台杉を中心に、梅や楓などの樹木が織りなす景色は、よくあるタイプの池泉回遊式庭園とは全く違い、大変面白かった。ここの庭を巡って考えたことだが、庭園を愛でるという行為は、現代アートを鑑賞するそれと、気持ちにおいていくらも違わないのかも知れない。





様々な表情を見せる庭園

 反対側にある出口から一歩外へ出ると、盆栽がたくさん並ぶ、園芸の店だった。店内に竹筆や竹紙といった竹製品があり、ちょっと竹筆の書き心地を試させてもらった。普通の毛筆と比べ、さほど違和感のないものだったが、荒々しい筆致は、やはり禅語のようなものを書くにはいいのかも、という感じだった。

茶花園という店だ(しょうざんリゾートHPより転載)



竹筆を試した

 

 

 

2021 夏 京都の旅25につづく