2023大阪の旅39 ホルモン坂上 裏なんば店1 | 楢丁(YOUTEI) 旅の話

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趣味で書きためた旅日記が、膨大な量になりました。2020秋に脳出血、2023には食道癌を発症と、様々なことが起こりますが、克服してまた旅に出たいという気持ちは変わりません。
お付き合い頂けたらありがたいです。どうぞよろしく。

す2023大阪の旅39
ホルモン坂上 裏なんば店1

1/6(金)
 なんばパークスは南海電車の難波駅近くに展開していたのだが、昔の記憶がふとよみがえった。あれは、大学3年の時だからすでに40年以上も前、夏休みに開催された全国大学書道連盟の関西合宿は、大阪教育大が幹事校だった。このときの会場が高野山の宿坊、梅田から乗った御堂筋線を難波で降り、南海電車に乗り換えるつもりだった。しかし、着いた駅からは一旦地上に出、重い荷物を持ったままかなり歩かされたのだ。同じ駅で乗り換えるだけ、とばかり思っていた「なんば」だけに、意外だった覚えが残る。

 話がちょっと横道にそれた。ここから我々はミナミの繁華街に突入、おぼろげな記憶を辿ると、しまいに堺筋線に乗るつもりだったから、日本橋駅に向かったのだと思う。飲食店を物色しながら、どこをどう歩いたのかはすでに分からないながら、大阪らしい雰囲気のあるホルモン焼きの店を見つけた。「ホルモン坂上 裏なんば店」という、提灯が沢山吊された、3階建てほどの店である。すんなり入れたのはラッキーだったようで、後から店を覗いた客はかなりの数に上ったが、予約以外みな断られていた。


ホルモン坂上 裏なんば店。「肉汁廻し」って?

 引き戸を開けると店内は煙が充満、ハンガーに掛けた上着にはビニールをかぶせたが、これじゃあ、いくら防ごうとしても臭いがつくのは避けられそうにない。

 案内された席はカウンター奥、角の手前だったが、備え付けのバーナーに乗せられたのは網ではなく鉄板。こんなのは初めてだが、鉄板は斜めに角度が付いている。その下の方、肉を焼いて溶けた油や肉汁が垂れる先には、どろっとした黒い液体の入った容器が置かれる。カウンターの対面には髪を青く染めた、パンキッシュな痩せた姉ちゃんが専属でついて肉を焼いてくれる。オレからはよく見えなかったが、章湖のメモには「入れ墨だらけ」と残っていた。マスクをした顔の表情がよく分からないが、これにはもう慣れた。


専属でついたねえちゃん。愛想はなかった

 注文したのはホルモンのコースをまず一つ、白ダレ、黒ダレの2種類でホルモンがそれぞれ5種ずつ、しまいにはうどんか焼きそばがつく。斜めの鉄板の、下の方にもやしを盛って、食べ頃に焼けた肉はその上に乗っけていく、というルーティーン。突き出しはタレのかかった千切りキャベツ、これにはもうちょっと気の利いたものは出せないのかい、と言いたいところ。他に小鉢を2つばかり注文し、酒は焼酎、オレは芋、章湖は麦にした。

 

 はじめは白ダレから。タレに浸けた肉は、熱い鉄板に載せると盛大に煙を出す。オレはホルモン、好きなものだから、こりゃいい、と思ったが、章湖は噛み切れない肉が苦手、そこでいつも、肉を切るためのはさみを携行しているのだが、これが役立った。


メニューの一番下にあるのが頼んだコース

 しかし、とりあえず頼んだのはコースを一人前だけである。途中で、旨かったハラミとギアラを追加した。ハラミはちょっと値が張るが、その分柔らかい。焼けて溶けた油と肉汁が、傾斜のついた鉄板から垂れる。それを受ける器に入った真っ黒の液体が黒ダレ、と気がついたのは、次は黒ダレです、と専属の姉ちゃんが、これに絡めて肉を焼きはじめたからだ。



斜めの鉄板の先にあるのが黒ダレ。ここに肉を焼いた時に出る油や肉汁が全て入る仕組み

 それにしても、この人、愛想がない。こちらから話しかけて、やっと口を開いたが、後の会話が続かない。大阪の女の子はおしゃべり好きで、仲のいい二人が揃うと漫才のような掛け合いが始まる、というのは勝手な妄想に過ぎないが、冒頭に書いた大学の時分の記憶では、確かにそんな子が多かった。

 はじめ、大阪の人には、高槻ってのは違う土地に見えるって聞いたことがあるけど、本当のところはどうなの、というような切り口で話し始めたのだが、エー、高槻って京都じゃないですか、という、いささか的外れな答えは標準語だった。これが大阪人の実感ということなのか、とも思ったが、出身は京都だというこの子に、その先はもう聞いてもしようがない感じがして、やめた。



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