2015春の琵琶湖2
養老天命反転地
4/2(木)②
一気に琵琶湖まで、と思わないでもなかったが、何となく昔から気になっていた、「養老天命反転地」にまず寄っていこう、ということになった。これを知ったのは岡山の県北をうろうろした揚げ句に立ち寄った、岡山県奈義町の現代美術館で荒川修作の作品に触れてからだったと思う。
もう5~6年は前のことだったか、丁度あの年、彼が亡くなったというニュースを耳にしたのだった。天命反転地は荒川修作+マドリン・ギンズのコンビで制作した代表作のようなもの、という認識である。もっとも、彼らについて知っているのかと問われれば、それ以外の知識はほとんどないので、何とも答えようがない。
荒川修作+マドリン・ギンズ(天命養老反転地HPより転載)
ナビに従って、大垣ICを降りてしばらく行くと、千代保神社?の看板が目にはいる。あれ、なんだっけと記憶をたどれば、大河ドラマで、唐沢寿明と松嶋菜々子が主演した「利家とまつ」に出てきた、利家が手をつけた女性の名前が確か千代保だったな、と思い当たる。歌が好きな女中、という設定だっただろう。果たしてそれと関係があるかどうかも分からぬが、看板の示す横道に入り損ね、これはまた後日、ということにする。
利家が手をつけた千代保とは関係なかった
前方の、そう高くはない山の中腹に、天命反転地らしいものが見え始めた。桜の木が多く、良い季節に来たものだと思う。あたりは子供の国とか養老公園と、一帯が園地になっているところだった。
天命反転地もまた公園の一種だが、起伏のある敷地に鉄筋コンクリート造を主体とした、異様な構造物が所々に建ち並ぶ妙なところである。駐車代に300円、入場料750円は安いとはいえない。
大きな岩を積み上げた小山のてっぺんに手動の井戸用ポンプが設置されているところがあったが、ポンプを操作しても一向に水を汲み上げる気配がないのは、そのような演出なのだろうか、と書くのはちょっと皮肉か。
構造物のひとつにはいると、地震で倒壊した家屋を模したような感じで、ベッドやら流し台、電話やテレビなどの家具類が配置され、地面は斜めに、そして迷路のような壁で視界が遮られ、平衡感覚が失われそうになるお得意の手法だ。その作戦には見事にはまり、こちらは異様な空間をさまよっているうち、三半規管の反応が追いつかなくなったのか、いささか気分が悪くなった。
いくつか手法を変えた施設が続くが、古くなって手入れも行き届かなくなっているのだろう、汚れたり、壊れたりしたところが気になる。
地震で倒壊したような、あるいは床と天井が相似形になった建物に入ると、平衡感覚が変になる
敷地自体も山あり谷ありの地形だが、コンクリートの斜面も多く、下手すりゃ怪我人が出るのではないかというような、要らぬ心配までしたくなる。ヘルメットや運動靴を貸し出す、という看板が受付にあったが、入場料には保険分の費用も入っているのかもしれない、と勘ぐりたくもなる。
広い敷地を存分に使った現代アートといえるか?
アイデアは面白いと思うがもう一つ工夫が欲しい、あるいは整備が行き届かないせいでだいぶマイナスに感じるところがある、というのが正直な感想だ。全体を見渡せば、なるほど大規模な現代アートかな、という印象もあるが、周囲が満開の桜で助かった、という気分も残る。園内はそれほど人が入っていた訳ではないが、子供達が楽しそうに巡っていたのが印象的であった。
こんなのを見ると面白そう(ぎふの旅ガイドより転載)
ここを出てから気づいたが、受付でもらったパンフレットには、この施設の利用マニュアルが記されてあった。施設の構造物内でも制作者本人が語るビデオが流されていたが、人間は死ぬもの、という常識?これを天命と表現し、それをここで反転させるという、本気かよ、と思えるような発想で造られた施設らしい。あえてマニュアルどおりに実践しなくてよかった、とも言える。かなり面倒くさそうだったからだ。
後にこんな本を手に入れた
2015春の琵琶湖3 彦根城につづく