2019春の富山14 高岡街歩き~動物園 | 楢丁(YOUTEI) 旅の話

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趣味で書きためた旅日記が、膨大な量になりました。2020秋に脳出血、2023には食道癌を発症と、様々なことが起こりますが、克服してまた旅に出たいという気持ちは変わりません。
お付き合い頂けたらありがたいです。どうぞよろしく。

2019.4/1~6 春の富山 その14
高岡街歩き~動物園

4/4(木)④
 ここから続くアーケード街は、残念ながら寂れている、と表現するほかはない。シャッター率は半分ほどだろうか。すでに商店街で買い物を、という時代は過去のものとなり、車で行ける大きな駐車場を備えたスーパーやショッピングモールに対抗できる策は、容易に見つかりそうにない。それでも頑張る店はあるもので、まずは文具、雑貨とギャラリーを併設した店を覗いてみる。写真展のポスターが貼ってあったからだが、ざっと見た限り、クオリティーは低い。もっとも、日常の何気ないところを切り取り、わざと粗い印刷で提示し、猥雑な気分を出そうというコンセプトを理解しないわけではないが、アングラなりパンクを指向するなら、もっとインパクトがなくちゃ。アラーキーが登場したときなど、世間をあっと言わせる衝撃力があったぜ。そこまで求めるわけではないとしても、これじゃあな、というものだった。


                   文具店併設のギャラリーで開催中の写真展ポスター

 この店の並びに自然食を指向した「わろんが」というカフェがあった。ちっともおしゃれな店ではないが、だいぶ歩いて疲れたこともあり、入ってみることにした。

 壁際のカウンターに赤ちゃん連れの若いお母さんと、後から来たこの人の友達が我々以外の客だったが、章湖は先にいたお母さんはきれいな人だったという。俺は背中を向けた位置だったせいか、あまり印象にはないが、章湖がそんなことを言うのはちょっと珍しい。ともかく、この手の店は客層というのも重要な要素なのは間違いない。この二人はずっとおしゃべりしていたが、時折耳に入る話の内容にいやな感じを受けることはなかった。

 

                「わろんが」は自然食指向の喫茶店

 カウンターにあった洋菓子を一つ頂き、俺はコーヒー、章湖は昆布茶を注文、コーヒーには小さなクッキー2枚、昆布茶にはおかきがついてきた。例によって日記を書きつつ小一時間はいただろうか。

 短いアーケード街を抜けると、路地は大仏通りと名前を変える。高岡大仏はもう目の前だが、その手前に、老舗の雰囲気をたたえる雑貨屋さんがあった。素敵なガラスの器や陶磁器、セレクトされた雑貨の類いは、おおむねシンプルなデザインのものが多く、統一された印象が残る。店舗とガラス戸を隔てた隣が事務所になっていて、店員が5~6人いただろうか。何より印象的だったのは、店の方にイギリスのスピーカービルダー、「ハーベス」の比較的大きなスピーカーが据えられていたことだ。たかだかBGMごときにこんな高級スピーカーを使うか?

 

  何という店だったか思い出せず、後からストリートビューで確認しようと思ったら、撮影当時はすっかり工事中のようで分からずじまい。
 

この店だ(2024/01/01追記)

 

 交差点に出ると、右手に大仏が見えてきた。へえ、こんなところにあるのかというのが第一印象、大きさは確かに大仏の名にふさわしいが、姿もいい。入り口の両脇に控える仁王も鎌倉仏のように筋肉質で、これまた格好よかった。

 

                 名前だけは聞いていた「高岡大仏」

 この通りをまっすぐ行くと、もとの城址公園に突き当たるが、途中の左手に、小さいが重厚な古民家の荒物屋があった。わらや竹で作った箒やブラシ、籠などはただの道具というよりは民芸品、あるいは芸術性さえ感じさせるものがあるが、そういう手作りの荒物ばかりを集めて商う、ちょっと珍しいお店だ。どの商品にも生産地が書かれた札がつけられ、うちにあるのと同じ、針金と馬の毛で作られたビール瓶洗いのブラシには、「埼玉県」と表示があったが、どこで作られているのだろう。買ったのは確か神保町のお店、てっきりそこで作っているものと思い込んでいたのだが。日常の道具だけに、それほど値が張るものではないが、ここにある品物は、ある意味で高級品ばかりと言っていい。外観とあわせ、特筆すべき店だが、ここも店名はメモに残されていない。


                   重厚な蔵造りの荒物屋さん

 出発したときと、まるで反対側から濠に架かる橋を渡り、城址公園に戻る。濠の桜はまだ一分咲き程度だが、さっき見た時より開花が進んだ印象だ。ここの桜は何よりゴイサギが群れをなして陣取る様が凄い。

 

                 半日ばかりだが、開花は進んだ印象

 

                   桜に群がるゴイサギが凄い数

 

 ここから入っていくと忠魂碑や護国神社、そして前にも来たことのある動物園がある。入場無料の小さな園だが、檻の前にある、職員の手作り感満載のフリップが好ましい。中々に上手な絵入りで、動物それぞれの習性などが、飼育員の視点から面白く紹介されている。


                    職員の努力はあちこちに



                飼育員による手書きの解説が面白い

 併設の博物館には多数の動物の剥製が展示されるが、かつてここで飼育されていたという雌ライオン「バビッタ」の名前の由来が、当時人気のあった女優、「ブリジット・バルドー」だったというのが印象的だ。バルドーを知らないという人も今では多いと思うが、彼女はマリリン・モンローと並び称される、いわばセックスシンボル的な存在だった。後に動物愛護活動に熱心に取り組んだという。


     雌ライオン 「バビッタ」の名は、往年の名女優「ブリジット・バルドー」に由来する



※高岡大仏の手前にあった雑貨屋は、おそらく「雅覧堂」、そして城址公園の左手前にあった荒物屋さんは「大菅商店」。これをアップする前に、新たに調べてみた。両店共に、この界隈を訪れた際には立ち寄ってみる価値があると思う。

 

 


2019.4/1~6 春の富山 その15 高岡市立美術館~イオンにつづく