2001年東北の旅 その8
自転車の機動力は相当のもの。行く気になればかなり遠くへも出かけられるし、寄りたいと思ったところですぐに止まれるのもいい。(当たり前か)
盛岡の街を巡る
古本屋があると入ってみたくなる性分である。しかし今や古本屋も、郊外型の大規模な店の登場で、どうなんだろう、従来からのこういう店の経営は、というところにまず気持ちが行く。それはともかく、ひょいと手に取った文庫本は「花村萬月」。おもしろい名前の作家である。そういえばこの人、芥川賞だったか、何年か前に受賞してたっけ、と思い出し、つい買ってしまった。
たぶんこれだった
観光物産館にも寄ってみる。盛岡といえば南部せんべいに南部鉄器。その他にはどんなものがあるのだろう、と思って寄ってはみたが、こういうところで見ると、どれもこれもが月並みなものに見えてしまうから不思議である。博物館で見る仏像にありがたみが足りないのと同じようなものか。やっぱりご本尊はお寺で拝まないと。
さてここでひょいと手にとったチラシ、「わらび座」という劇団の公演だった。昔、修学旅行がらみで観劇の検討をした覚えがある。まじめな劇団という印象。演目は、と見ると「アテルイ」。これはくだんの「幽境岩手の釣り」にあった名前。早池峯神社の片目の神像の載っていた随筆だ。それには、「坂上田村麻呂の征夷軍と戦って破れることのなかったエミシの頭領、その名はアテルイ」、とあった。そしてこのアテルイのものといわれる頭像が茨城の鹿島神社に伝えられている、というのもどういう経緯によるものなのか。演劇の原作は、高橋克彦「火怨―北の耀星アテルイ―」とある。
高橋克彦といえば、浮世絵を扱った推理小説を以前、読んだことがあるが、その知識の該博なことに驚嘆した覚えがある。こいつはタダモノではない。よし、これは帰ったら読んでみよう、という気になった。
いよいよ盛岡を後にする。実は今晩はいつもと違ってホテル泊まりの予定。一泊くらいはゼータクしたい、と昨日電話で予約を入れたのだった。正直、この時期に予約が取れるとは思っていなかっただけにラッキーだった。
途中、小岩井牧場に寄り、沢内村へと車を走らせる。沢内銀河高原と名付けられた丘陵地にビール工場と、そしてテレビもエアコンもないと声高に宣言する、銀河高原ホテルがある。
我が家は銀河高原ビールの大ファン。最近はずいぶん販路を広げ、スーパーやコンビニでも買えるところが多くなった。ちょっと高いが、これにはまると一般のビールは飲めなくなる。(異論はあるでしょうが)
途中で寄った小岩井牧場
ここのラウンジでは一般には販売されていないスタウトなんかも飲めていいのだけれど、せっかく隣がビール工場なので、何かもうちょっとサービスが欲しいな、と言い始めたらきりがないか。飲み助の考えることはどうも意地きたないことばかりなのに違いなく、語るに落ちる前に止めておくのが正解。
銀河高原ホテルにて
銀河高原ビールのシンボルマークはキリンならぬトナカイである。ホテルの裏手にはトナカイ牧場があり、何十頭というトナカイが飼育されている。夏場は苦手なのだろうと思うが、結構元気に走り回っている。中でも、体の大きな雄は、角もすごいヴォリュームで、走る姿は圧巻。これなら太ったサンタの乗ったそりを引いても平ちゃらなはずだ。冬場の情景を暑いときに思い浮かべるのは難しいが、雪でも降ったら、たぶんここは絵になる所に違いない。
トナカイの牧場
2001年東北の旅 その9につづく