2001年東北の旅5 早池峯神社~エーデルワイン | 楢丁(YOUTEI) 旅の話

楢丁(YOUTEI) 旅の話

趣味で書きためた旅日記が、膨大な量になりました。2020秋に脳出血、2023には食道癌を発症と、様々なことが起こりますが、克服してまた旅に出たいという気持ちは変わりません。
お付き合い頂けたらありがたいです。どうぞよろしく。

2001年東北の旅 その5

 

 ずっとテント泊なので、こいつら風呂入ってんのか、といぶかる方もおられることだろう。心配御無用。この頃はどこへ行っても立派な日帰り入浴施設があって、風呂に不自由することはまずない。ただ、釜石の時は、橋上市場へ寄ったあと、いつもの川にちょっと釣りに入ったので、そこで水浴びをして済ませてしまった。遠野には「たかむろ水光園」という施設があり、ここはすいている上、仮眠室も自由に使えるなど、いたれりつくせり。という訳なのだ、念のため。

 

 

 遠野のテン場では二晩とも夜半、雨に見舞われた。テントの中で聞く雨粒の音はけっこう盛大だ。こっちが濡れてしまうわけではないが、雨はやっぱり嫌なもの。特に撤収するときがやっかい。テントにはべたべた草がくっつくし、車の中で乾かす工夫もしなくちゃならんし…。


 片付けを済ますと一路、早池峯神社へ。早池峰山に源を発する猿ヶ石川沿いに車を走らせる。朝の陽を反射してキラキラ光る川面を眺めながらのドライブは気持ちいい。背後に早池峰山を頂いたこの神社は深閑としていて、いかにも神の居ます所、といった雰囲気。樹齢何百年と思われる太い杉の木を見れば、歴史のほども偲ばれる。山門の神像はどういうわけか二体とも片目がつぶれている。隻眼の由来でもどこかに説明があるかと思ったが、ここにそれは見あたらなかった。

 

早池峰神社にて


 手元に「幽境岩手の釣り」という一冊の本がある。この本は書名からも察せられるとおり、岩手県の釣り場案内なのだが、この本には「黄金の国の神々」という一文が寄せられてあり、上代、中世の東北の黄金文化や大和政権とエミシの関係、宗教、思想といった事柄が随想風に書かれている。ここにも早池峯神社の片目の神像が登場する。この本に載る、もう一本の随筆「みちのく山人考」と合わせ、広範な視点に教えられることが多かった。

 

幽境岩手の釣り 1988年 山と渓谷社刊

 

幽境岩手の釣りに載る「黄金のくにの神々」

 

 後に、神社などに片目の像がある土地は、製鉄が関係しているという説に触れたことがある。鉄を精錬する過程で、視力を失うような事故がたびたび起こるということだろう。なるほど、そういうことなら合点がいく。

 

手水は湧き水


 どういう訳か、釣りは文学、あるいは哲学といったものに縁があるようだ。事に渓流釣りにその傾向は顕著のような気がしている。この本にしてもそうだが、釣り場案内とともに地域の歴史や史跡に言及した出版物は数多い。


 さて、遠野をあとにして、盛岡へ向かう。途中大迫町のワイナリーでワインのテイスティング。聞けば、オーストリアワインを手本に醸造しているという。こことオーストリアの気候風土が似ているとでもいう理由からなのか。オーストラリアのワインならよく知ってはいるが、オーストリアのワインは初めてだ。ドイツワインに近いのかと思えば、これが全く違う。ドライな白が主体らしい。

 

ハイアンドロークイズに挑戦中


 ハイアンドロークイズ、という企画があり、100円払って挑戦。要は数種類のオーストリアワインを飲み比べ、値段の順に並べるクイズ。1000円~2500円の値幅だというが、これが全く分からない。どれも辛口だが、特にうまいという感想も出ては来ず、判別不能。田崎真也ならこんなもの朝飯前なのだろう、と思えば彼我の実力の差は明らかなようだ。成績は、今となってはもう分からないが、どうせさんざんなものだったに違いない。

 

20年も経っているから当時と様子は違うと思うが、このワイナリー

 

 酔いざましに、ここで作っているというリコッタチーズを買って食べ、さらにすぐそばにある物産館を覗いてみる。もーのすごい人出に驚く。本日は8月12日、日曜日でもあり、帰省客もたくさんいるのだろう。ここではトマトをほおばり、おからドーナツを買い、ソフトクリームまで食べたが、到底酔いはさめるはずもなく、盛岡まで運転交代。


 なんだか悪酔いしたみたい。もしかしたら車酔いも重なったのかもしれないが、盛岡の川岸でやってしまいました。不覚でした。でもおかげで気分スッキリ、お腹もスッキリ。

 

 

2001年東北の旅 その6につづく