2019トルコ共和国14 トプカプ宮殿  | 楢丁(YOUTEI) 旅の話

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趣味で書きためた旅日記が、膨大な量になりました。2020秋に脳出血、2023には食道癌を発症と、様々なことが起こりますが、克服してまた旅に出たいという気持ちは変わりません。
お付き合い頂けたらありがたいです。どうぞよろしく。

2019トルコ共和国14

トプカプ宮殿

 

10/30(水)①
 カーテンを開けると、昇る朝日は、建設中のビルの窓、つまりはコンクリートの四角い穴から差し込んできた。やっぱりこのホテルにとっては大打撃に違いない。

 

              五つ星のシェラトン前に建設中の建物から陽が昇る


 さて、景色はともかく、朝食のブッフェには、さすがに一流ホテルが表現されていた。ここに連泊できれば、今日はこれを選んで、明日の朝はあれで行こうなどと考えられるだろうな、なんて妄想が膨らみ、結果として相当にゆっくり過ごすことになった。

 

                   ブッフェはさすがに高級ホテル


 ここまでの行程で、結局お土産らしきものを何にも買ってこなかったが、イスタンブールでなら、どこかでスーパーマーケットに寄れるだろう、と考えてのことだ。そればかりでなく、現地で何がどのくらいの値段で売られているかの興味もあり、それを確かめることが出来るのは、唯一そこしかない。


 この旅のはじめの頃、トイレ休憩に寄ったドライブインから我々だけ抜け出して、ちょっと離れた田舎のスーパーを覗いたことがあった。何か買おうという気持ちもなかったが、蜂蜜は、瓶に入っているのももちろんあったけれど、木枠に作られた蜂の巣そのものが丸ごと売られているのを見て驚いた。値札に書かれていた“35.000”の文字が記憶に残るが、すると日本円で¥700ほど、ということだろうか。どこだったかのホテルの朝食会場に、これがそのままの姿で置いてあり、ああ、なるほどと思ったものだ。

 

  そんな田舎のスーパーなのに、ゴディバの板チョコがたくさん並んでいる光景も、ちょっと不思議な感じがした。

 

               2日目に覗いた田舎のスーパーの「ゴディバ」


 ホテルのすぐ裏にあるショッピングモール入り口には、警備員が配置されていた。荷物のX線検査をする機械が設置され、これを必ず通すことになっている。しかし、構内に客の姿は見当たらず、どうもおかしいと思ったら、ほとんどの店舗はまだ開店前、スーパーマーケットに行きたいと聞くと、一旦ここを出て、向こうに回れということだった。


 スーパーは「ミグロス」というチェーン店、相当に大きな構えだ。今時、この手の店はどこもそうだろうが、明るくてきれいな店内は、例えば日本のイオンなどと比べても遜色はない。

 

                 大変きれいな「ミグロス」店内


 さて、お土産に何がいいだろうかと物色して回る。オリーブオイルも種類と品数が豊富だが、果たしてもらって嬉しいかと考えると、まあそれほどでもないだろう。やっぱりチョコレートの類いがよさそうだ。


 アルペルさんの話では、トルコにはウルケルとエティという二大メーカーがあり、ウルケルのほうは最近、ゴディバを買収して傘下に収めたという。へえ、するとゴディバは既にベルギーの会社ではないということか。それなら田舎のスーパーにゴディバが並んでいるということも納得できる。それにしてもトルコにチョコレートのイメージは全くなく、日本でトルコのチョコレートを買おうと思っても多分、どこにも売ってはいないだろう。

 

 アルペルさんが個人的に好きなのはエティの方、というが、日本でなら、森永と明治、それにロッテのどれを買うかと迷ったところで、まあ、どれでも大差はないだろうと思うのと多分一緒。当然ゴディバもたくさん並んでいたが、トルコ土産にゴディバというのも説明が面倒くさそうだし、それにやっぱりゴディバブランドは割高だ。バラマキ用には袋にたくさん入ったチョコレートバー、これはエティのものが多い。板チョコはウルケルのホワイトチョコレートがよさそうだったので、これを籠に入れた。


 ワインもざっと見てみたが、外国産のものが多く、見たことのある銘柄なら、むしろ日本で買った方が安い印象。あえてトルコ産のものを買っていくほどのことはないか、とやめておいた。
 本日の集合は11時、このくらいゆったりしていると気持ちが休まる。


 はじめに連れて行かれたのは昼食のレストランだった。イスタンブール市内の、やはり昨夜と同じような城壁沿いの斜面に建つ店だったが、今日は中華料理だ。ちょっと時間が早い上に、朝のブッフェでゆっくりしたせいもあって、まだちっとも腹が減った感じがしない。

 

             中華料理は大変美味しかったが、残念、腹が空いていない


 エビチリやチャーハンなど5品くらい出されただろうか、中華として極めてスタンダードな料理が円卓に運ばれる。味付けは日本人に提供することを意識したものか、全くクセのない、なかなかに美味しいもので、ホテルのブッフェを除くこの旅の食事の中では、最も豪華なものと感じた。そんな機会に食欲が湧かないのは残念至極。とどめに蒸し魚が出されたが、これが見たことのない種類で、海のだろうか川の魚かと、ちょっと話題になった。

 

                       謎の魚


 さて、今日、最初の観光はトプカプ宮殿である。はじめに、いかにも西洋のお城、という印象の、立派な門が現れる。ここに来れば、あれ、どこかで見たような、という気持ちを皆さん抱かれるものと思う。これを真似たのがディズニーランドのお城だ、と聞いて納得。確かに全く新しいデザインを起こすよりは、現存するどこかの建築の、いいところを参考にした方が手っ取り早いのは頷ける。

 

              あれ、どこかで見たような?でもこっちが本家本元


 まずはメインとなる建物内部を案内されたが、イズニックタイルと黄金をふんだんに使った装飾には目を見張るばかり、という程度の形容しか出来ない、我が筆力の乏しさよ。すごい大広間が出現するわけではなく、次から次へと現れる部屋を移動していくが、ヴェルサイユ宮殿の壮麗さとはまた違う、精緻な装飾が特徴と表現しておこう。ここから出ると、しばらくは自由散策の時間となった。

 

                 精緻な意匠の施されたトプカプ宮殿


 ハーレムの名で有名なここの後宮。仕えるのは、中国ならば宦官ということになるが、ここでは黒人だったという。それはしかし、人種差別というものとはちょっと違い、仮に不義があったとして、女性が妊娠、出産した場合、生まれた子供の肌の色でそれと分かるように、という、合理的?な理由からだそうで、オスマン帝国では人種による差別はなかった、というのだが本当だろうか。


 アルペルさんのお勧めは、展示館にこの期間だけ出陳されている、世界で一番大きいというダイヤモンドだ。是非見てくださいと言われて、これを見ないで済ますわけにはいかない。


 展示館は、トプカプ宮殿に伝えられた、銃や刀剣など、極めて美しく装飾された武具を中心に展示が行われていた。その中をずっと嘗めるように見ていくと、ありました、ダイヤモンド。確かにそれは大きく、たくさんの小さな(といっても一般的にはかなり大きい部類だ)ダイヤで取り囲まれた宝飾品となっていた。専門家なら、宝石としての価値に驚嘆するところだろうが、素人目には単に大きいダイヤとして映るだけで、特にどうといって感激はない。猫に小判、豚に真珠などというのはまさにこのこと。 

 

                たぶん、これ。ネットで探したが、出典不明


 展示物もさることながら、各国から訪れている観光客は様々な人種の人たちだ。たまに日本人らしき集団もいるが、東洋系はむしろ少数派。トルコ人とヨーロッパ、あるいはアメリカ人の区別も定かでないが、あ、こりゃヘレニズムだな、という顔立ちをした若い女性の一群がいた。みんな花の髪飾りをつけていたので余計に目についたのだが、ギリシャやマケドニアという地域はここからそう遠くないはずで、そのあたりの人たちなのかな、という漠然とした思いが頭に浮かぶ。風景を撮るふりをしてでも、写真に収めてくればよかったなどと、今にして思うことは多い。


 


2019トルコ共和国15につづく