2019トルコ共和国13ボスポラス海峡 | 楢丁(YOUTEI) 旅の話

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趣味で書きためた旅日記が、膨大な量になりました。2020秋に脳出血、2023には食道癌を発症と、様々なことが起こりますが、克服してまた旅に出たいという気持ちは変わりません。
お付き合い頂けたらありがたいです。どうぞよろしく。

2019トルコ共和国13

ボスポラス海峡

 

10/29(火)③

 ブルーモスクやアヤソフィヤのある地区から、海峡の海はほど近い。観光船の船着き場付近はこれまたものすごい人、人、人で、バスを降りて雑踏の中に入って行くと、目印のアカペル君を見失わないように付いていくのが大変なほど。若干足の不自由な人が同行の中にいるので、それが少し気がかりだった。

 

                 右端がアカペル君を掲げたアルペルさん


 やってきたチャーター船は、豪華な大型船が接岸する中にあって、かなり貧弱に見えた。何だよ、あれか、と思ったが、我々だけの貸し切りと知り、それなら仕方がないなと思い直す。

 

             貸し切りの船。他のクルーズ船に比べると、ちょっと貧弱


 わずかの時間だろうが、一応、これに備えて船酔いの薬を飲んでおいた。船はあまり揺れません、の宣伝文句にのった東京湾のキス釣りで、ひどく酔った記憶は強烈で、もう、二度とあんな目に遭いたくはないからだ。


 さて、出港すると、船はボスポラス海峡を北に向かう。ヨーロッパ側には歴史的建造物を改装したホテルや学校など、豪華な、というより風格のある建築が目立つ。対してアジア側は地形の違いもあるが、海岸線にはあまり目立ったものはなく、斜面に建つ高級住宅地が目に入る。


 アルペルさんにはドイツ人の大金持ちの顧客がいて、その歴史的建造物のホテルに貸しきりで滞在したときに招待され、朝食を共にしたことがあったそうな。一家族のために何百?という料理が並ぶ、豪華ブッフェだったという。人間、金を持つとそういう贅沢をしたいと思うのだろうか。俺はまっぴらだな、というのは負け惜しみに近い感情かも知れない。

 

                   多分これが元宮殿のホテル


 2本目の海峡大橋まで行って引き返したが、沈みゆく夕陽の下に、4本の尖塔を立てたモスク-あれはアヤソフィア大聖堂だろうか-が丘の上に見えてくる。ああ、これが重なるとラッキー、と思っていたが、船長はまさにそれを狙って船を動かしているらしく、ピタリと夕陽がアヤソフィア大聖堂の真上に沈む位置に船をキープした。周りを見渡しても、他の観光船でこんなことをしているのはそれほどなく、まさに我々だけの贅沢だ。何だよ、しょぼい船だな、と心の中で思ったはじめの気持ちを、今になって取り消そうと思った。

 

                 ああもうちょっとで、と思っていると

 

               見事、アヤソフィア大聖堂の上に日は沈んだ


 船を下りると、夕食のレストランまで、ここからバス移動となったが、かつてコンスタンチノープルという名で燦然と歴史に登場した古都だけあって、車窓から見える、市内のあちこちにある歴史的建造物に目を奪われた。建築もそうだが、それは城壁であったり、石造の水道橋も然り。そうだったか、ここもトルコか、という素朴な驚きにこの街は満ちていた。

 

                     石造の水道橋


 アルペルさんの話はこうだ。オスマン帝国のメフメット2世は天才、鉄壁といわれたテオドシウス城壁に直接挑むのではなく、ボスポラス海峡から陸路で船を運び、(この間4、3キロあるという)丘を越え、ビザンチン帝国が防衛のために鉄の鎖で封鎖していた金角湾に船団を入れるという、誰も考えつかない戦法を用いた。金角湾に突然現れた船団に敵は戦意喪失、これを撃破した、という。そしてコンスタンチノープルは陥落。これが15世紀頃の話だが、その鉄壁と言われたテオドシウス城壁が目の前に見えるのだ。建造されたのが5世紀、東ローマ帝国の時代だ。

 

                  テオドシウス城壁が街中にある


 今晩の食事はドネルケバブのレストランという。古い城壁沿いにある店は3階建てだっただろうか。食事がワンプレートに盛られて出されるところが、感覚的には給食のよう。例の少し味のついたご飯も一緒に盛られていて、味としては悪くなかった。しかし、別に出された袋に入ったパン、これがマズい。給食、と思ったのはこれのせいだったかも知れない。こんなパンを選ぶ感覚が、ちょっと信じられない。

 

       どうせなら現場で切って食べさせるケバブがよかった。青いビニール袋がまずいパン


 イスタンブールのホテルはシェラトン・アタキョイ、海峡を望む豪華ホテルのはずが、目の前の海をふさぐ形で現在、新しいホテルが建設中だ。既に視界が妨げられているが、これが完成した場合、一気にホテルとしての価値は下がってしまうのは必定。このツアーはすべてのホテルが「五つ星」、というのが売りではあるが、その状態になっても、このホテルにつけられた星は維持されるのだろうか。

 

                    シェラトンの部屋にて


 しかし、やはり「シェラトン」の名は伊達ではない。個人旅行でなら、まず選択の対象から外す豪華ホテル、滞在の時間が短いのは残念だ。

 

 

2019トルコ共和国14につづく