液クロ分取屋小原佐智子のブログ:サンプルを溶かす溶媒について | 日本一タフな質量分析屋のブログ

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日本で唯一、質量分析に関するコンサルタント、髙橋 豊のブログです。エムエス・ソリューションズ株式会社と株式会社プレッパーズの代表取締役を務めます。質量分析に関する事、趣味の事など、日々考えていることや感じたことを綴っています。

小原佐智子のブログ復帰2回目、以前投稿していた記事を再度掲載します。分取するサンプルを溶解する溶媒についてです。

 

20142月まではパラレル合成とフラッシュカラム精製を担当していましたが、20143月に分取担当の派遣の2人の方が退職し、それをきっかけに引継ぎ、現在分取を担当しています。

合成をやっていた時は分取の大変さを分かっておらず、お願いすれば何とかきれいにしてくれる!と思っていました。しかし、実際に自分が分取を担当してみて厄介だったり、大変だと思ったりすることが多々ありましたので、その辺の経験やその時思ったこと、アイディアだったりを思い立った順に書いてみます。今回はサンプルを溶かす溶媒についてです。

 

私の中での溶解溶媒の優先順位

MeOH>DMF>THF:MeOH=1:1>DMSO

 

分取をする上で、グラジエントの最初の溶媒組成で分取するサンプルを溶かすというのは基本ですが、扱っている化合物は基本的に水には溶けないので、上記の優先順位で溶かしてもらっています。(自分が担当するのは溶かしてもらったサンプルを分取するところから。)ただ、分取のバイアルに移している間に析出してきたり、分取中に析出してきたりということも多々あります。そういう場合は析出してきたものが目的物でなければろ過、目的物なら倍量で薄めたり、違う溶媒を試したりという作業が入ります。(なるべくやってもらっています)

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自分の感覚では、DMFは顕著にUVが出てくるので、そこに目的物が出ないようには気を付けますが、分離には影響を与えません。THFでサンプルを溶解すると、化合物によっては分離が悪くなってしまいます。また、PEEKチューブはもろくなるらしいので、注意が必要です。SFCでは、サービスマンさん曰く、一時的に温度が下がる箇所があり、DMSOは詰まる可能性があるためあまりお勧めではないそうです。これも自分の感覚ですが、DMSOはピークの形が変わったり、カラムに量を乗せられなかったりします。特に順相条件でのキラル化合物の分取には要注意です。再度申しますが、基本は分取するときの最初の移動相と同じ組成の溶媒でサンプルを溶解ということをお忘れなく!

 

自分が合成やっていた時にあった特別な事例は酸で脱保護しアルカリで中和して水溶液のまま分取してもらうということでした。化合物ライブラリーを担当していたころのことで、水溶液のままの分取は脱保護後一度乾燥させてからMeOHに溶かして分取した時よりも飛躍的に目的物の回収率が上がりました。ただ、精製する量が4 mL~10 mLで、実際に自分が分取する側になったときには嫌な客だと思いました(苦笑)。

 

小原佐智子は現在派遣会社で働いており、転職活動中です。一日単位での分取代行にも対応できます。ご依頼はエムエス・ソリューションズまでご連絡ください。

 

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