イオン源の分解・洗浄などのメンテナンスを自分ですることで質量分析計のことが良く解る | 日本一タフな質量分析屋のブログ

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日本で唯一、質量分析に関するコンサルタント、髙橋 豊のブログです。エムエス・ソリューションズ株式会社と株式会社プレッパーズの代表取締役を務めます。質量分析に関する事、趣味の事など、日々考えていることや感じたことを綴っています。

夏頃から、ほぼ週1日の頻度で、都内の研究機関でGC/MS分析のお手伝いの仕事をしています。

 

普段はデータ解析をするのですが、先週は解析待ちのデータがなく、洗浄しなければならない予備イオン源があると言うので、イオン源洗浄Dayでした。

 

前職である日本電子の装置。GC-MSのEIイオン源、学生時代~日本電子に入って暫くは、自分でよく洗浄していましたが、LC/MS専門になってからは殆んどせず。

(* EIはElectron Ionization(電子イオン化)の略)

 

自分一人で分解して研いて組み立てたのは、多分20年以上ぶりでした。

 

GC-MSのEIイオン源を分解すると、こんな感じ。

dsc_1614

これはレンズ系(イオンの通り道)なので比較的簡単。

 

チャンバー(試料分子がイオン化する部屋)の方が難しい。

dsc_1616

分解前のイオン源チャンバー

 

チャンバーやレンズのイオンが通る場所が、焼き付いたように黒く汚れるので、と~っても細かいサンドベーパーのようなもので研きます。

 

三種類目の細かさを変えて研くと、最後はピカピカになります。

 

アセトンで超音波洗浄して、次は組み立て!

 

直径1 mm位の小さなネジが何本かあって、何しろ目が悪くなったのが堪えましたが、手先はいまだに器用な方なので、組み立ても無事終了(^-^)

 

久し振りだったけど、機械いじりはやっぱり楽しいです。分解すると、装置のことがよく解るし。

 

昨日イオン源分解していて、日本電子に勤めていた頃(20年位前)に関わった、あるお客様のことを思い出しました。

 

とある大学の教授でしたが、LC-MSの導入を検討しているということで、装置を見に(デモ測定)来られました。私がデモを担当しました。

 

その教授曰く、

¨学生が使うからなるべく簡単で何も考えずに使える装置が良い¨

 

¨そんな装置買ったって、学生の教育には役に立たない❗¨

私は猛烈に抗議したことを覚えています。

 

すったもんだあったと思いますが、結局日本電子の装置を買ってくれました。そして、納入後のトレーニングも、お客様のご指名により、何回か対応しました。

 

 

最近は、ニーズ的にもシーズ的にも、¨装置は簡単な方が良い¨という風潮があります。

 

でも、質量分析計ってスゴく人間くさい装置なので、装置の声を聞いて、しっかり向き合ってあげないと、本当の意味での良い仕事はできないのです。

 

装置の声を聞くというのは、生データや装置の様子をしっかり見ることです。装置の機嫌が分かります。音に表れることもあります。

 

イオン源洗浄とか真空ポンプのオイル交換とか、簡単なメンテナンスは、自分達で(大学であれば学生が)やった方が良いです。

 

そうすることで、質量分析計のことを良く理解でき、質量分析の本質に近づくことができると思います。

 

 

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