こんばんは✴
ウルトラマラソンランナー、日本一タフな質量分析屋、高橋豊です。
このテーマでは、前職の日本電子での仕事と、同社を退職して独立・起業する話を、時系列に沿って書いています。
前回は、農工大の先生との共同研究で、2回の国プロをスタートさせた話でした❗
http://s.ameblo.jp/yutaka-ironman/entry-12121464275.html
開発テーマは、
LC/MSでリン酸塩緩衝液を使えるようにする技術開発
でした。
液体クロマトグラフィー(LC)をご存知ない方には、何のことだか訳分からないと思います。
LCとは、液体を移動相として使うクロマトグラフィーのことです。
クロマトグラフィーの解説は以下⬇
クロマトグラフィーとは
液体の連続流の中で、混合物試料を成分毎に分離する技術ですが、
その液体として、
リン酸塩を添加した水やアルコールなどを使うと、分離する能力が高くなる訳です。
そうそう
ここで検出の話をする必要がありますね❗
何故LCを使うと混合物が分離するのが判るのか?
目で確認するんじゃあないですよ!
有機化合物の多くは、水などの溶媒に溶解させてしまうと無色透明になるので、目視では確認できません。
例えば、緑茶は緑色ですが
それは、クロロフィルと言う、緑色の光を吸収する化合物が、僅かに含まれているからです。
緑茶をLCで分析すると、数百もの成分に分離されますが、その9割以上は目に見えません。
ではどうするか?
目には見えないけど、多くの化合物が吸収する光(紫外線)をあてるのです。
石英と言う種類の細いガラス管を挟むように、紫外線ランプと、紫外線があたると電流が流れるフォトダイオードという部品を置きます。
ガラス管には、混合物が分離された状態の液体(水やアルコール)が流れています。
紫外線ランプから、例えば250 nmと言う波長の光を照射します。
(クロロフィルが吸収する光の波長は大凡500 nmです)
石英のガラス管、水、アルコールは、いずれも250 nmの光を吸収しないので、ガラス管を流れる液体の中に混合物中の何かの成分が含まれていなければ、
光はほぼ100%ガラス管を通過して、フォトダイオードにあたります。光量が多いので、たくさんの電流が流れます。
もし液体の流れの中に250 nmの光を吸収する化合物が含まれていれば、光の一部が吸収されてフォトダイオードにあたる光は少なくなるので、流れる電流量も少なくなります。
時間軸に沿って電流量を測れば、その増減から、元の混合物がいくつの成分に分離されたか解る訳です。
↑これがLCで得られるデータで、クロマトグラムと言います。
上で書いた電流量の増減が、クロマトグラムのピークとなって現れます。
紫外光を使ってLC分離を観測する装置を、
紫外吸光光度検出器(UV)と言います。
上で書いたリン酸塩を含む液体(リン酸塩緩衝液Iは、
LC/UVでは問題なく使えますが、LC/MSには使えないのです。
優れた分離が得られるリン酸塩緩衝液なので、
LC/MSでも使いたいという要求が20年以上前からありますが、
でもそれが長い間できないでいるのです。
その不可能を可能にする技術開発に、私たちは挑みました。
この話は長くなるので、続きはまた次回にしたいと覆います。
ではまた~
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