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ウルトラマラソンランナー、日本一タフな質量分析屋、高橋豊です。
このテーマでは、日本電子を退職して起業した話を、時系列に沿って書いています。
前回は、国プロ(MCPT)でのことを書きました。
http://s.ameblo.jp/yutaka-ironman/entry-12111177032.html
今回は、MCPT終了後、会社に戻ってからのことを書いてみます。
MCPTでの最終的な成果は、MICCSと言うNMR用マイクロチップデバイスで、
http://s.ameblo.jp/yutaka-ironman/entry-12110862888.html
これを会社に戻って製品化することになりました。
MCPT出向前の職場は、質量分析(MS)の応用研究グループで、NMRとは装置が異なるし、応用研究グループで製品化に関わるのは難しいだろうということで、
機種にあまり依存せずに、基礎的な研究開発をやっている¨開発本部¨と言う部署に移動して戻ることになりました。
基礎的な研究開発をする部署と言っても
当面の仕事はMICCSの製品化
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NMR装置の製品開発をしている部署と協力して、MICCSの製品化を進めました。
製品化の仕事は初めてでしたが、それはそれは、とても地味で大変なものでした。
製品化する時になんと言っても大切なのは、安全性と安定性。
MICCSというデバイスは、数千万円~数億円もするNMR装置のアタッチメントとして発売する計画になりました。アタッチメントですから、価格は本体の一割に満たないです。
MICCSをNMR装置にセットして、外部から試薬溶液を送液しながら使うのですが
最初の頃は、配管の接続部から希に液漏れが起こってしまいました。
液漏れによってNMR装置がダメージを受ける可能性があったため、希にでも起これば、研究用には使えても製品としては❌です。
この部分の改良は徹底的に行いました。
小指の爪の半分程の大きさの部品を、何度も試作しました。
また、MICCSを使うためには、日本電子で扱っていない部品や小型装置を他の会社から購入する必要があるので、
それらの会社の選定や仕様の検討もやりました。
新製品を売るためには、アプリケーションデータが重要なので、それももちろんやりました。
アタッチメントとはいえ、自分が開発した装置の製品化に関われたのは、幸せなことだったし、貴重な経験になりました。
ただ、この時の仕事の中で、幾つか腑に落ちないことがありました。ここでは、二つ挙げます。
一つは、会社内での書類のやり取りが、非常に煩雑で時間がかかること。
これは、前にいた部署でも感じでいたことだし、日本の会社ってどこも似たり寄ったりだと思いますが...
書類って、本来の目的は、良い製品をお客様に提供するために、手順を明確化したり、エビデンスを残したり、と言うことだと思うのですが、
その時は
書類を作って規定ルートに回すこと自体が目的になっていました。
いわゆる
¨手段が目的になる¨
ってヤツです。
そのことを疑問に思う人が、周りには居ませんでした(>_<)
もう一つは、協力企業への対応です。
MICCSと言うデバイスは
厚さ約1 mmのガラス板に幅0.5 mmの
溝を掘り、三枚重ね合わせて加熱接着させた後、幅約3 mm、長さ約150 mm(更に配管接続部を残して)に切断すると言う、
日本電子のような分析機器メーカーでは到底不可能な、最先端な微細加工技術が必要なものでした。
なので、微細加工技術の優れた企業に作製をお願いした訳です。所謂中小企業です。
で、その会社とのやり取りを管轄する部署の方が、凄く上から目線でその会社の担当者に接するのです。
何故? と聞いてみると...
うちは一部上場企業であちらは中小企業
当然でしょ❗
呆れました。唖然としました。
自社にない技術で、製品構成の主部品を作製してもらう
大企業も中小企業もない
立場は 50/50 の筈です。
残念ながら、そう考える人は、日本電子には全体的に少なかったようです。
でも、日本の大企業は、どこもそんな体質なのだと思います。
ドラマ¨下町ロケット¨でも
それを伺わせる場面が出てましたね。
大企業には大企業の良いところがあるし
大企業にしか出来ない仕事はある。
でも自分がこの先仕事をする場所は大企業じゃない
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そう思いました。
20年勤めた会社を辞める理由は単純ではありません。
でも今回の記事に書いたことも、理由の一つになりました。
仕事をする環境に対する考え方は人それぞれですが、何かの参考になればと思います
![ニコニコ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/002.png)
今回は少し長かったですね。
最後まで読んで頂きありがとうございましたm(__)m
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