限界-その3:組織の限界と個人の限界 | 日本一タフな質量分析屋のブログ

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日本で唯一、質量分析に関するコンサルタント、髙橋 豊のブログです。エムエス・ソリューションズ株式会社と株式会社プレッパーズの代表取締役を務めます。質量分析に関する事、趣味の事など、日々考えていることや感じたことを綴っています。

こんばんは☆

今日は、(私の)仕事における”大企業の限界”と”個人の限界”について考えを書いてみたいと思います。

その前に...

私の仕事の事を書いておく必要があるでしょう。

ただ、これを書き始めると、今日は本題に入れないカモ...


私の仕事は、”フリーランスの質量分析屋”です!


20年間勤めた質量分析関係の一部上場企業を5年前に退職し、
一人で今の仕事を始めました(^o^)


ここで、殆どの人は、”質量分析って何よ!”って思う筈です。

       はい、ご説明しましょう!!


質量分析とは...質量分析計という分析装置で得られたデータを扱う学問のことです。


     たぶん、益々分からなくなったでしょう(^o^;


で、質料分析計とは何かというと...分子の質量を測る装置のことです。



原子や分子の質量を整数で表すと
例えば水(H2O)は18、酸素(O2)は32です。


質量分析計の内部で、分子に何らかのエネルギーを与えて気相イオンにして、
そのイオンを真空中で運動させます。
イオンの質量によって真空中での運動の挙動が変わるので、
いくらの質量のイオンがどういう挙動で運動するかということを、
予め質量分析計のコンピューターに教えてあげることで、
未知の分子でも、その質量を知ることができる訳です。


質量は物質(原子や分子)に固有な物理量なので、質量を知ることで、その物質が何かを
推測することができます。



一台数百万円~数千万円(最も高いのは一億円以上)もする高価な装置ですし、
殆どの方は、聞いたことも(もちろん)見た事もないと思います。



でも、私達の身近なところで、とても役に立っているんですよ~(^_^)


例えば、私達が普段食べている野菜や肉などの食材や加工食品、
多くは輸入品だということはご存じですねオレンジ



日本では使用が認められていない農薬や動物医薬品が、
外国では認められているというケースは多々あります。
日本で認められていない、そのような農薬や動物医薬品が、
輸入されるそれらの食材や食品に使われていないか(残存していないか)、
調べるのに質量分析計が使われています。


あるいは、


病気に関与しているタンパク質の構造を調べたり、
その病気に効く薬を開発する途中の段階でも、
質量分析計は活躍しているんですビックリマーク


この装置は、食品関係・医薬関係・化学品・化粧品関係など、非常に多くの
企業の研究開発部門や、大学や研究機関などで使用されています。


    大分前置きが長くなりましたが、ここからが本論です(^^;


そして、私の仕事は、これら質量分析計が使用されている現場に出向いて
装置がその会社の研究目的に合うように正しく使われているか、最高の
パフォーマンスを発揮させられているかを確認・指導したり、使用上の
問題点を一緒に解決したり、といった事になります。


装置の使い方そのものは、装置を売ったメーカー(大企業)が教えてくれますが、実際に使用
する上での細かい分析上のノウハウや、個々の分析上の問題点については、メーカーは個別
には対応してくれないことが殆どです。


私は以前は質量分析計メーカーに勤めていて、お客様に近い立場で仕事をしていましたので、
大企業のこのような対応に限界を感じ、”現場で困っている人達の手助けをする仕事をしたい
という思いから、独立して今の仕事を始めました


メーカーは装置を売る、あるいはメンテナンスすることで収入になるので、個々の納入先
に合わせてカスタマイズしたアフターフォローは、出来なくても当然だと私も思います。
車のディーラーが、カスタムカーを作るような事をしないのと似ています。


しかし、実際には、カスタマイズしたアフターフォローを望む人は多い筈だと考えました。


とは言え、一人で仕事をしていることも、また多くの限界を抱えている訳ですが...


今日は長くなってしまったので、続きは次回に書きたいと思います。


では、また~♪