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グレッグのブログ

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http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20120229/229276/?P=1


アレシナ米ハーバード大学教授の財政再建と経済成長を両立させたケースの研究結果です。


要するに7:3の確率で歳出削減と増税を組み合わせたケースの国々で財政再建と経済成長に成功しているという論旨です。

歳出削減は公共投資の削減ではなく、公務員給与や社会保障を削減した方がいい。

そして増税は社会保険料や所得税ではなく法人税や間接税が良いとの結論でした。


これは日本に当てはまるでしょうか?

このままでは当てはまらないでしょう。

日銀法改正になり、日本が名目GDP成長率4-5%になり、利払い費が増え基礎的財政収支を均衡させなければならなくなったときにこの法則は適応されるべきです。


名目GDP成長率が増えれば今の社会保障や公務員給与は維持されるんでしょうか?

答えは完全にNOです。

名目GDPが増え、それと同率に社会保障や公務員給与が増えればなんら基礎的財政収支は均衡しません。

これはいずれアップしますが、この視点は非常に大事であろうと思います。

公務員給与削減反対、社会保障は名目GDPを上げるのに必要・・。

マクロではデフレなんだから非効率だろうがなんだろうが、とにかく政府支出を拡大しろ!なんて馬鹿げた議論にうなずく人もどうかしています。


官民格差がひどい状態で貨幣が偏り、貨幣の退蔵する層にばかり政府支出をつぎ込んだって消費は増えず何の効果もありません。

ホントに馬鹿げています。

今後、必要になるのは日銀の確固たる金融政策によるインフレ予想と富裕層への所得移転を止め、公共投資教育投資、子育て世代への支援を拡大することです。

それでも足りなければ増税すべきです。

筆頭は相続税でありましょう、そして最後に消費税です。


とにかくデフレなんだから、既得権益層だろうがなんだろうがばら撒けばいいなんて議論に乗っかってはダメです。景気回復が遅れ、貧富の差はますます拡大するばかりです。

「ナナサンの法則」は重要な示唆を含んでいると思います。

嘉悦大学の高橋洋一教授が提言されております、「歳入庁」の創設を取り上げてみたいと思います。


一般的に税は国税庁で徴収します。

社会保険料は日本年金機構の管轄です。

しかし、税は滞納すれば国税による財産差し押さえがありますが、一部の自治体を除いて年金未納でも財産差し押さえなんてありません。

また、国税が把握している企業は280万企業ありますが、年金機構は200万件しかないんです。

そして赤字企業は税を払わなくてもよいはずですが、年金は赤字企業でも必要なんですね。

ここに明らかに取り漏れがあるでしょう。

税と年金では明らかに徴収の強制力が違います。

これは不当に保険金逃れをしている企業があるということです。

公平性の観点から問題ではないでしょうか?

「マクロでは徴収しない方が経済のためだから、大目に見ろ」という意見が聞こえてきそうですが・・。


国は徴収は完全公平でなければならないと思います。

しかし、マクロ経済政策が不十分であるならマクロ政策を批判すべきであって、不公平に目を潰れ!というのは明らかに論点ずらしでありましょう。シバキ上げ派と何と言われようが、ここは譲れません。

貧乏だから盗みをしてもいい・・そんな意見に聞こえます。

歳入庁を作って、税と社会保険料を一体で徴収すれば、こういう取り漏れを防ぐことができます。

高橋教授は10兆円くらいは財源が出るのでは?と試算しておりますが、「言いすぎ」という意見もありホントの数字は分かりかねるのが現状です。


また増税者番号制度で銀行や証券会社の口座番号を国税庁が把握すれば税金の取り漏れは激減するでしょう。

そして消費税のインボイス方式です。

事業者の消費税は本来、売り上げで徴収した消費税から仕入れで払った消費税を差し引いて計算されるのです。しかし、日本では仕入れで払った消費税額は自己申告で良いので業者はいくらでも操作可能です。

他の先進国はインボイス方式を採用している国が多い。

高橋教授は前者で5兆円、後者で3兆円の増収になると試算していますが、これも正確な金額は分かりません。


増税の前に公平な税や保険料の徴収が図られなければなりません。

そして保険料や税金を低所得の方は払えないでしょう。

そう言う方には税金で補填してあげるべきです。


税と社会保障の一体改革のダメなところは不足分を税金でただ補填するところです。

社会保険料の原資は自分で払っているという意識が明らかに薄れます。

何だか良く分からないけど、そういう美味しい制度があるなら乗っかった方が得です。

だからどうしても社会保障にコスト意識が消失してしまう。

自分が払い込んだ分しか給付は原則受けられないと国民が分かれば、給付に慎重な意見が出て当然ですから。


歳入庁を創設することで保険料や年金の取り漏れを失くし公平性を担保するとともに、国民のコスト意識を芽生えさせ、社会保障システムが持続可能な制度になることを切に望みます。


http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20120305/229462/



一橋大学の小黒一正先生の論説です。

この方は増税派ですので、あまり好きではありません。

しかし、現状認識では共通するところもありますので引用させていただきました。


論旨は世代間不公平があり、将来自分たちの社会保障原資が少なくなると予想できればそれを先取りして消費を減らし貯蓄することによって現在の成長阻害要因になるのではないか?ということです。

そしてデータでも実際、40代の貯蓄率が増えています。


社会保障の持続性に疑問を持たない人っているんでしょうか?

全然問題ない、今の年寄りと同程度に年金も医療も介護も給付してもらえる、と信じている方がいらっしゃればそれはそれでいいと思います。しかし、今の水準の社会保障制度を続けることはほぼ無理です。人口構成が違います。

試算では今の70台と今生まれてくる赤ん坊の給付格差は一人当たり1億円以上です。

どう考えても持続的じゃない。

それを僕ら40代以下の人間は確実に意識しています。

住宅ローンを組んだり教育ローンや車のローンを組むより貯蓄するインセンティブが働いても何の不思議もない。

ですから、社会保障制度の制度変更は是非やらなければいけない、ことには同意します。

政府は声なき声を無視するのではなく、是非取り込んでいただきたい。

しかし、いかんせん人口のボリュームが違います。

今の高齢層は投票率も高く声も大きい。

この層を敵に回しては選挙が戦えないことも事実でしょう。

だから未来への投資、公共事業や教育投資なんかよりも年金や医療や社会保障の温存なんですね。

そして声なき声を無視して増税とか、言っちゃうわけなんです。

「強きを助け弱きを徹底的にやっつける政治」

こういう政治が信認される世の中なんですよね。全く狂ってるとしか言いようがない。


ですが、仮に社会保障システムが改善され持続可能な社会保障システムが小黒先生の主張通り通ったとしましょう。

少しは改善するでしょうが、結局、景気回復には至らないと思います。

なぜなら不況の本質はデフレだからです。

デフレで消費を増やす、デフレで設備投資が増えるわけないんです。

どんなに社会保障が持続的なシステムになろうとも現役世代の所得が減り続ければやはり社会保障システムは持続的になりません。

世代間不公平の解消には①経済成長②インフレ率③人口動態の変化が必要です。

③は短期間で改善できません。

①②でカバーするしかないんです。


ロゴフ仮説通り、政府債務の大きな国は市場機能が停滞していますから生産性が上がらない、よって経済成長が低くなるというのはその通りでしょう。

だからと言って現役世代の過剰貯蓄は国債を発行することでしか、市場に流す術はないわけです。

こんな悪循環を早急に断ち切り、インフレを起こすことで民間の消費が増え民間の設備投資が増え成長に資する経済に一刻も早く戻さなければなりません。


世代間不公平は制度の変更が必要であることは勿論ですが、今の現役世代の所得を上げなければ話しが始まりません。

政治家は制度変更も放棄、好景気を演出することもしない。

二重の意味で現役世代を貧困に陥れ、この国の将来を潰しているんです。

そういう認識を持つべきだと思います。