嘉悦大学の高橋洋一教授が提言されております、「歳入庁」の創設を取り上げてみたいと思います。
一般的に税は国税庁で徴収します。
社会保険料は日本年金機構の管轄です。
しかし、税は滞納すれば国税による財産差し押さえがありますが、一部の自治体を除いて年金未納でも財産差し押さえなんてありません。
また、国税が把握している企業は280万企業ありますが、年金機構は200万件しかないんです。
そして赤字企業は税を払わなくてもよいはずですが、年金は赤字企業でも必要なんですね。
ここに明らかに取り漏れがあるでしょう。
税と年金では明らかに徴収の強制力が違います。
これは不当に保険金逃れをしている企業があるということです。
公平性の観点から問題ではないでしょうか?
「マクロでは徴収しない方が経済のためだから、大目に見ろ」という意見が聞こえてきそうですが・・。
国は徴収は完全公平でなければならないと思います。
しかし、マクロ経済政策が不十分であるならマクロ政策を批判すべきであって、不公平に目を潰れ!というのは明らかに論点ずらしでありましょう。シバキ上げ派と何と言われようが、ここは譲れません。
貧乏だから盗みをしてもいい・・そんな意見に聞こえます。
歳入庁を作って、税と社会保険料を一体で徴収すれば、こういう取り漏れを防ぐことができます。
高橋教授は10兆円くらいは財源が出るのでは?と試算しておりますが、「言いすぎ」という意見もありホントの数字は分かりかねるのが現状です。
また増税者番号制度で銀行や証券会社の口座番号を国税庁が把握すれば税金の取り漏れは激減するでしょう。
そして消費税のインボイス方式です。
事業者の消費税は本来、売り上げで徴収した消費税から仕入れで払った消費税を差し引いて計算されるのです。しかし、日本では仕入れで払った消費税額は自己申告で良いので業者はいくらでも操作可能です。
他の先進国はインボイス方式を採用している国が多い。
高橋教授は前者で5兆円、後者で3兆円の増収になると試算していますが、これも正確な金額は分かりません。
増税の前に公平な税や保険料の徴収が図られなければなりません。
そして保険料や税金を低所得の方は払えないでしょう。
そう言う方には税金で補填してあげるべきです。
税と社会保障の一体改革のダメなところは不足分を税金でただ補填するところです。
社会保険料の原資は自分で払っているという意識が明らかに薄れます。
何だか良く分からないけど、そういう美味しい制度があるなら乗っかった方が得です。
だからどうしても社会保障にコスト意識が消失してしまう。
自分が払い込んだ分しか給付は原則受けられないと国民が分かれば、給付に慎重な意見が出て当然ですから。
歳入庁を創設することで保険料や年金の取り漏れを失くし公平性を担保するとともに、国民のコスト意識を芽生えさせ、社会保障システムが持続可能な制度になることを切に望みます。