バカな議論が巷を闊歩してます。
「原油価格が高騰してるから日本は円高の方が良い」というものです。
ちょっと考えてみましょう。
原油や天然ガスを買うには外貨が必要なわけです。
外貨はどこから調達してくるかと言えば輸出や所得収支です。
通貨高になれば輸出量は下がってしまう。所得収支は外貨建てなら一定なんですが。
今は貿易赤字で、それが継続しそうですから所得収支に日本の資源購入問題は依存していることになります。
結局、輸入価格と輸出価格の相対価格が問題なわけです。
これを交易条件っていうんですが、輸出価格/輸入価格の問題です。
たしかに原油の円建ての価格は円高で安くなるでしょう。
でも円高で日本人の人件費や設備が高騰すればそもそも生産設備が海外へ逃げてしまう。
輸出で原油を買う原資を稼ぐ方法が断たれてしまうわけです。
そもそも輸出企業の最大の費用項目って人件費なんです。
そして設備のレンタル料です。
円高ではこういう費用の最大項目が上がってしまうので、日本でモノを作るインセンティブがなくなってしまう。
確かに資源価格の高騰は交易条件を悪化させますが、円高で交易条件が改善することはないんです。
円安で資源価格が高値になっても財やサービスの生産を活発化させることによってそれを補うことが重要です。
原油価格や資源価格は短期的に乱高下します。
しかし、失われてしまった生産設備や日本人の雇用はそう簡単に返ってきません。
短期的な問題には短期的に対処するべきで、シロアリを退治するにはシロアリ駆除剤を使うべきで、ダイナマイトを使って家全体を破壊することは全くの愚策と言えましょう。