http://www.jiji.com/jc/v?p=ve_eco_bop-balance
今年は震災の影響もあり、経常収支が減少している。
しかし、依然として黒字である。
Y=C+I+G+Nxであるから、変形するとY-C-I-G=Nxである。
Y-C-G=S(国内貯蓄)である。
つまりS-I=Nx>0なのでS>Iである。
日本という国は国内貯蓄が常に民間国内投資を上まっている。
だから行き場のない過剰貯蓄が長年に渡ってあるのである。
これはストックの話しではなくフロー、単年度の話しである。
今年も確実に過剰貯蓄が積み上がっている。
この貯蓄をどう使うか?がひとつの論点になっている。
G政府支出を増やすことでこの過剰貯蓄を国内投資として使おう、というのが積極財政派の考え方だ。
外国から借入する必要もなければ国債は低金利のはずである。
ひとつの考え方としては妥当であろう。
またこの過剰貯蓄を為替介入に使うという方法もある。
政府短期証券という国債を発行して外為市場で円を売り米国債を買う行為である。
今年も巨額の為替介入があった。
わざわざ外国の国債を買うことによって日本の過剰貯蓄を消費するなど、とんだ売国行為である。
日本の過剰貯蓄は日本のために使うべきだ、というのも積極財政派の言い分だ。
個人的には積極財政派とは違うスタンスを取る。
どうして民間国内投資が増えないのか?に焦点を当てる。
民間国内投資Iを増やすことで過剰貯蓄を解消していけばいいんじゃないかと。
そのためには国内に有望な投資先がなければならないし、デフレでは民間投資は絶対に増えない。
だから、何としてもデフレを脱却したいと考える。規制緩和をすることで新たな投資先を作った方がいいと考える。
僕は政治家や官僚なんかは全く信用してない。
自分たちの都合の良いように資源配分をするに決まってる。高齢者や既得権益層に、そして官僚の都合のいいような施策をするに決まってると考える。そしてデフレは国債の低金利を誘発するから、自分たちの差配の機会が増える。もし、インフレになり民間投資が活性化したら国債金利は上昇し、政府の資金調達が困難になり、自分たちの権利は制限されるだろう。彼らがそんなこと、するはずないのである。
僕は積極財政に懐疑的なのは以上の理由からである。
市場に潤沢に資金を投入し、インフレ予想を起こし民間が設備投資を始めればいい。
政府は市場の失敗や効果的な再分配、規制の緩和に経済的には専念すべきである。
政府がしゃしゃり出てきても、得するのは政府に近い存在と票の厚みを持つ高齢者だけだ。
何より政府投資は非効率であり、十分なリターンが起きずらい性格のものなのである。
公共投資であれ、民間投資であれ投資には元本と利子を返さなければならない。
公共投資は元本割れでも民間の血税から補填すればいいので、確かに投資家からみれば安全資産である。
しかし、非効率にならざるを得ない、十分なリターンが見込めない公共投資を増やして結局補填するのは税金を払う一般庶民である。一般庶民から血税を吸い上げて富裕投資家に元本保証する国債を、もろ手を上げて賛成はできないのである。