日本が有する生産能力に需要が追い付いていない状況が続いている。
そして価格が下がっている。
GDPギャップが存在している。
そこでこのGDPギャップを埋めることで国民所得を上げようというのには異論はないと思う。
(異論がある人も存在するが・・・。)
需要を活性化する方法に金融政策と財政政策がある。
財政政策は分かりやすい。
国が公共事業などをして国民に直接所得移転する。
もっと単純におカネを給付金などでばら撒く手法もある。
財政政策で期待されるのが乗数効果である。
ある人に所得が付与されればその人がおカネを使うことでおカネが循環し何倍もの国民所得の上昇を生む。
しかし。財政政策は政府の借金によって賄われる。
つまり将来の税負担が担保の政策なのである。
現代の経済学では国民の予想を重視する。
財政政策で国民は何を予想するだろうか?
民間は依然として円高で企業の収益率は上がらない。
地方には公共事業以外、介護や小売りの仕事しかない。
そんな状態で国民は将来に希望を持っておカネを使うだろうか?
ありえない。
金融緩和はどうだろう?
金融緩和は期待インフレ率を上げることを目的としている。
実質金利が下がり投資が膨らむだろう。
実質金利の低下は円安を誘導し製造業の収益率を改善するだろう。
輸入品の価格上昇は国内企業を元気にするはずだ。
そういう所得の上昇予想が消費を盛り上げるはずである。
GDPギャップが30兆円あるなら30兆円分金融緩和で賄えばいい。
日本企業の資金需要がないのは円高でデフレ期待しかないからである。
民間経済を元気にすることなしに政府の借金を積み重ねたところで国民は将来に明るい希望など持てないはずである。