非効率性の存続と公共投資 | グレッグのブログ

グレッグのブログ

ブログの説明を入力します。

非効率性とは何だろうか?

例えば電力会社。

送電線を持っているので、これには多額の初期費用が必要なのである。

だから作れば作るほど送電線に必要とした初期費用の割合は軽減されていく。

こういう産業は費用逓減産業と言って新規参入が事実上無理なのである。

自由に価格を設定できる。自然独占である。


国は価格の高止まりを黙って傍観しているわけではない。

いくつかある電力会社の生産性の上昇に合わせて価格を下げることを強要している。

しかし、競争原理の働かない自然独占では競争企業のような費用縮減は進まない。

どうしても高給や高い年金、福利厚生を実現しがちだ。

そしてそのツケは世界でも高い電気料金として国民に跳ね返ってくる。


国民は可処分所得のうち、電気料金にかかる費用が高い分その他の消費を抑えなければならない。

消費を抑えられた分、電力会社に取られた分、その他の企業の売り上げは減るのである。

家計ひとつで見れば大した額ではないがこれが日本全国に波及しているのである。

その損失は明らかに無視できないはずだ。


こういう産業は日本にはまだまだ多数ある。

介護や保育の分野でもそうである。

国民の可処分所得が減る以上に、新規参入企業が減るので雇用の場も少なくなる。

そして高い失業率が維持されてしまえば労働によって得られたであろう付加価値も減少する。

同じ付加価値でも少数でシェアされるよりは多数でシェアされた方が税収も上がり波及効果は高い。

こういう非効率は明らかに国家的に大きな損失なのである。

働く意欲のある人を失業に追い込むほど国家的財産の棄損の大きいものはない。


こういう状態を放置しておいて国債発行で景気回復を、なんて賛成できるわけがない。

既存の企業が健全な構造であって景気循環の底で苦しんでいるならまだしも、非効率性を存続しておいて税収が上がらないから国債発行なんてちゃんちゃらおかしい。


まずはインフレ予想形成による消費や投資の促進と雇用の場を確保するような規制の緩和を可能な限り早急に行われなければならない。