日銀の国債買い切りオペについてご質問がありましたので、改めて中央銀行のバランスシートについて考えてみたいと思います。
日銀には銀行券ルールっていうのがあります。
発行銀行券量を日銀の国債保有額が超えてはならないという日銀独自の内規です。
現在の日銀の長期国債保有額は60兆円程だったと思います。
資料を見つけられませんでしたが、そのくらいのはずです。
日銀の資産の部に貸借対照表の左側にありますね。
対して日銀券発行残高は78兆円くらいだったかと思います。
つまり日銀の国債保有が78兆円を超えてはならないというものです。
しかし、ここで理解しにくいのは日銀の長期国債保有高は日々変化するんです。
前提として2年以下の短期国債は日銀のバランスシートに載せなくてもいいんです。
何か変なんですが、これは事実です。
極端に言えば、今年の国債発行をすべて2年以内の短期国債で政府が発行してすべて日銀が買い取っても銀行券ルールには抵触しません。
しかし国債の内訳をみていただくとわかりますが、日本に存在している国債の70%以上は残存期間が2年以上の長期国債です。
そして次の前提は償還期間が過ぎれば日銀のバランスシートからその国債は消失していくんです。
当たり前・・・と言われればそうなんですが、残存期間が過ぎればバランスシートから消失していくと考えるとバランスシートの規模を維持するためには新たに国債を買い続けなければなりません。
つまりバランスシートの規模を大きくするという行為は国債を現金化し続ける行為に等しいんですよ。
国債の購入を止めてしまえば、バランスシートの規模は小さくなっていきますからね。
僕のようなリフレーション政策を推奨する連中はバランスシートを大きくすることで、今後も国債を買い続けますよ、っていうメッセージを市場に与えることが重要と考えるわけなんです。
FRBがQE2で6000億ドルのバランスシートを拡大し、それを維持すると約束しています。
この規模を維持するためにはものすごい額の国債が現金化され続けているわけなんです。
残存期間が過ぎればバランスシートは縮小して行ってしまうからなんですよ。
それでも低インフレなんですね。
日本はデフレですから、バランスシートの規模を大きくして国債を今後も現金化し続けると約束しなければならないのでは?と主張するわけなんです。
銀行券ルールの楔を外してインフレ率だけに縛られるべきである、と主張しています。