経済学で扱う概念に機会費用というものがある。
僕は経済学とは全く無縁であった。
しかし、この機会費用の概念を知った時、愕然となった。
一般社会生活を営む上でも非常に有用であるからだ。
我々は何かの行動を選択するということは別の行動を放棄しているわけである。
例えば、休日に家で寝っ転がって休んでいるとする。
それは休日にしかやっていないイベントに出席して得られる満足感を放棄しているわけである。
勿論、休日に体を休めることは大事な効用が得られるが、要はどちらが得であるか、ということを無意識のうちに我々は選択しているのである。
今はゼロインフレの時代である。
高邁な物価上昇におびえることはないが、逆に株式相場や投資信託などは低迷が続いている。
我々は現金やほとんど利子がつかない預金などで手持ちの資産を退蔵しておこうとするだろう。
そのほうが絶対合理的であろう。
しかし、株式相場や地価が上がり続け、政府や日銀がインフレターゲットなる不思議な概念を導入したとしよう。
我々は今までと同じように現金を退蔵しておくだろうか?
現金のまま置いておくことは投資することで得られる利益を放棄してしまうことに等しい。
あまりに機会費用が甚大ではないだろうか?
物価も年々上がるのが政府によって約束されれば、何とか工面してでもおカネを使うだろう。
以上のような現象が起これば名目の給与は増える、雇用は拡大する。
景況感が拡大することは間違いないだろう。
誰かの消費は誰かの所得になる。
こういう市場の予想を変化させるように、景気誘導していくことが金融政策なのである。
そして、キーワードは機会費用なのである。