円高でダメージを受けるのは中小零細企業である。
なぜだろうか?
円高でも生産設備の充実した巨大企業は人件費をある程度削っても資本効率がいいので耐えられる。
しかし、中小零細企業は生産設備が脆弱であるがゆえに、どうしても労働集約的になる傾向があるからだ。
つまり、円高による人件費の高騰はもろに中小零細企業を直撃するのである。
僕は何も国内を過度なインフレにしてまで円安誘導しろ、と主張しているわけではない。
世界各国が2-4%のインフレに照準を合わせて金融政策をコントロールしてるのだから、せめて日本もその水準にしないと必然的に円高傾向が続き、日本のモノづくりが棄損されると主張しているだけである。
そんな生産性の低い企業はシュンペーター的に言えば潰せばいい、という議論が必ず起こる。
日本が真っ当な為替の状態であっても、生き残れないなら淘汰されても仕方あるまい。
しかし、現状は明らかに不当な通貨高を強いられているんだ。
それは外国の陰謀でも何でもない。
日本の政策当局の、不作為か故意なのか知らないが、デフレ通貨高政策のせいなのである。
こういう現状を知っている人は少数だろう。
円高は天与の、日本人が我慢しなければならないものであると刷りこまれているからだ。
真実は全く違う。
適切なインフレ誘導を放棄している自国の政策当局の所作であることを、広く国民に認識してもらわなければならない。