金融政策がなぜ需要を上げていくのか?
金融政策はわかりづらく、国民の認識もほとんどない。
景気が悪くなれば政府が補正予算を組んで、財政政策を打つ。
それが、繰り返されてきた。
しかし、需要を活性化させるツールは財政政策だけではない。
金融政策が需要を上げるルートは三つある。
ひとつは労働市場である。
金融政策をあるインフレ率を目標にして打ち続けるとすると、当然物価は上がってくる。
金融政策に効果がないとする妄言はあるが、間違いなく効果はある。
そういう虚言妄言はここでは成立しないとする。
物価が上がれば日本の労働市場全体からみれば実質賃金が下がるのである。
賃金は下方にも上方にも硬直性があり、賃金Wはそう簡単には変化しない。
つまり、物価Pが上がることで実質賃金W/Pは下がるのである。
企業は実質賃金が下がることで雇用を増やしやすくなる。
失業率が低下し、雇用の見通しが改善することで消費が上がる可能性がある。
二つ目は金融市場である。
金融政策で期待インフレ率が上がれば実質金利=名目金利ー期待インフレ率が下がるので企業はおカネが借りやすくなる。インフレ誘導すれば、名目金利は上がるがインフレ予想はそれ以上に上がるので実質金利は下がる。こういうオペレーションは企業の設備投資増という需要項目を引き上げるはずだ。
三つめは資産市場である。
企業は通常、資産と負債を持っている。
インフレ誘導することで、不動産を中心とする企業の資産価値は上がる。
しかし、借金の総額は増えないので自己資本=資産ー負債は増える。
企業は当然、担保価値が上がるので銀行からも融資を受けやすくなる。
デフレになればこれと反対の現象が起こる。
追加融資は資産価値の棄損による自己資本の低減によって絶望的になるだろう。
資産インフレは企業の活動事態を活性化させ、雇用や設備投資を増やすだろう。
そして、金融政策をしてインフレ率を上げれば、円安になる。
円安は日本の交易条件を改善し、株高になる。
企業の円建ての収益は伸びる。
以上、金融政策の効果をまとめてみました。
日本がインフレターゲットを施行することで間違いなく、今よりは景気は浮揚します。
こういうオペレーションは明日からでもできるんです。
我々は明日からでも豊かになれる手段を持っているんです。
しかし、日本政府は20年、このオペレーションを不十分にしかやってません。
日本の不況は政策不況なんです。