シュンペーターの創造的破壊 | グレッグのブログ

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日本人はこの思想が大好きである。

特に団塊の世代以上はこの思想に毒されている。

シュンペーターという経済学者は日本にもなじみが深く、慶応大学でも教鞭を採ったこともあり、この信奉者が後を絶たない。

大正から昭和初期に活躍した経済学者である。

非常に優秀な経済学者であることは間違いのない事実だが、どうもこの思想だけが独り歩きしていると思う。


創造的破壊とは不況期には古い体質の企業が潰れて新しい先進的な企業が誕生しなければ本当の意味での景気回復はないとする議論である。

つまり、過度な不況が生産の新陳代謝を起こし、本当の景気回復をもたらす、とする。

では、この考え方は現代にも通じるだろうか?

確かに古くて使いものにならない生産設備や労働を淘汰して新しい産業に雇用や設備をシフトするというのは一見良いように思う。しかし、現実にはどうだろうか?

不況期でも生き残る企業というのは古い体質のキャッシュリッチな企業であろう。

例えば政府に独占を許されているような企業や老舗企業などである。

不況が深刻でもこういう企業は滅多に倒れない。


不況が深刻で倒れる企業は間違いなく新興企業のはずだ。

こういう企業は新しい生産のノウハウを持っているかもしれない。

技術革新や新しい革新的なサービスの考案を実現するような会社かもしれないんだ。

つまり、不況の深刻化で起こることは古い体質の企業が延命し新しい企業が潰れるという現象である。

創造的破壊は全く当てはまらないと考える。


そこで景気の安定化政策が必要なのである。

不況期には積極的に政府が関与して、金融財政政策を打っていく。

景気の極端な過熱や冷え込みを防ぐことこそ、肝要なのである。

景気の好不調の波が小さければ小さいほど、企業は安心して設備投資ができ、雇用を膨らませ社員教育にもおカネを投資することができるんだ。

事実、実質経済成長率はケインズ的な安定化を施行した戦後と不況を放任した戦前とでは雲泥の違いである。


日本にも不況を良しとする風潮が残っている。

そしてそれを主張する輩は決まって景気の影響を受けない職種の人種だ。

マスコミや御用学者たちである。

一時的な不況を是とする主張をする経済学者や似非コメンテーターの言うことは絶対的に信用してはならない。