中学生の頃、社会科の授業でアダムスミスの「見えざる神の手」って習ったと思います。
あれは不況になれば価格が過度に低下するから、再び消費が盛り上がり、所得が戻ってくる。
そしてまた需要が過多になれば価格が高騰して誰も買わなくなり、不況になる。
自然に景気は循環して良い方向にいくはずだ、という理論であったと思います。
この理論は価格や所得が景況感や不況感によって自在に伸縮的であることが前提です。
国民全員が完全雇用が達成されていて、不況になればみんな一律に給与が下がりモノの価格も自在に下がる。そして再び価格が下がり切ったところで需要が増えてくる。
現実にはありえませんね。
景気が悪くなっても、正規社員の名目賃金は下方に硬直的です。公務員もそうです。年金もそうです。
現実は景気の悪化による売り上げの低下ほどは賃金は下げられないのです。
だから価格に占める賃金の割合が高くなる。実質賃金の上昇です。
しかし、そのツケはだれかが払わなければならない。
非正規雇用の解雇や新規就職者を減らすことによって代替されるわけです。
価格もそうです。公共料金やNHK受診料、新聞代、公的機関のサービス料や交通運賃の価格も景気が悪いからと言って下げることはできません。
価格も賃金も下方硬直性があるのです。
だから、短期的には自動調整作用は働かない。
政府の手当てが必要です。それを唱えたのがケインズです。
日本は財政出動も十分してるし、ゼロ金利政策で日銀もしっかり働いているはずなのにどうして?
次回はそれを考察してみたいと思います。