ワルラスの法則はすごい。
今の日本のデフレ不況の現状を非常にわかりやすく、そしてその処方箋を簡単に説明してくれる。
是非、ご理解願いたい。
世の中にはたくさんの市場がある。
財やサービスを扱う市場、貨幣を取り引きする市場、株や不動産などを取り引きする市場である。
基本的に我々がその市場に参加するのに、ふたつのものを同時に得ることはできない。
例えばサービスを受けたら我々の手元の貨幣は減る。
何かの財を株式を担保に手に入れたとしても財は増えるが手元の株式は減るのである。
これはすべての市場から見れば、需要と供給の過不足はない状態、つまり全部の市場の需給は均衡していると考えられる。すべての市場での需要と供給の和はゼロなのである。つまり、ある市場で超過需要であるなら別の市場では超過供給が起こっていると考えられる。
日本はずっとデフレの罠に嵌っている。デフレということは年々貨幣の価値が上がり、貨幣市場以外の価値が下がっていく状態と考えられる。つまり貨幣市場は超過需要だが貨幣以外の市場では超過供給なのである。国民の総意が財やサービスや株や不動産を売って現金に換えることを望んでいる状態だ。今の日本の現状そのものだろう。
では処方箋はどうしたらいいか?
貨幣市場が超過需要なら貨幣を潤沢に供給すればいいのだ。貨幣供給が多くなれば貨幣の超過需要は減っていくとともに貨幣以外の超過供給も減っていく。すべての市場の需給の和はゼロだからだ。
逆ならどうか?貨幣を財やサービス、資産市場につぎ込むというのは貨幣市場が超過供給であり、その他の市場が超過需要なのである、であるならば貨幣の供給を減らせばいいことになる。これがインフレの状態だ。
では貨幣の供給を増やしてデフレを脱却するにはどうしたらいいか?
マネーが増えるには信用創造が機能しなければならない。
信用創造が機能するためには国民が借金してもおカネを使うことが得になる環境を作り出す必要がある。
僕のようにとにかく中央銀行が貨幣を刷れ!国民のインフレ予想に働きかけろ!と言う人。
いや、財政だ、財政を出して実際におカネを使うべきだ、そうすれば景況感から人々はおカネを使うはずだ。
いやいや、規制緩和だよ。規制緩和して新規参入を増やせば企業は借金して人を雇うはずだ。新たなビジネスチャンスの創造は自然利子率の上昇となり、貨幣は投資に動くはずだ。
どれも正しいと思う。
経済は損得で動くもので倫理観で動くものではないから、貨幣を使った方が得になる環境作りが急がれる。
僕はインフレ予想醸成のためには何がなんでも日銀が貨幣を刷り、ある一定のインフレ率までは引き締めないとコミットすることがすべての出発点であろうと思う。
ワルラスの法則の凄さがわかっていただけたでしょうか?